この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読めば、差し押さえ(強制執行)と供託という似て非なる制度の違いがはっきり分かります。どんな場面で「差押え」を使い、どんな場面で「供託」を選ぶべきか、実際にどこに申請して何を用意するのか、具体的な手順と注意点までつかめます。さらに、給与差押え・預金口座差押え・不動産競売などの実務例、弁護士や司法書士へ依頼する際のポイントも紹介します。
差し押さえ・供託で検索したあなたへ — 今すぐ取るべき行動と最適な債務整理(費用シミュレーションつき)
差し押さえ(預金や給与の差押えなど)を受けた、あるいは差し押さえの通知が来て不安なときにまず知りたいこと、止め方、そして「どの債務整理が自分に合うか」をわかりやすくまとめました。最後に無料の弁護士相談を受けるための準備や、弁護士選びのポイントも書いています。緊急度が高い場合は、できるだけ早く専門家に相談してください。
注意:以下は一般的な説明と概算のシミュレーションです。個別事情により適用できる手続や費用は変わるので、必ず弁護士へ相談して正確な見積りを受けてください。
1) 差し押さえと供託とは(簡単に)
- 差し押さえ:債権者(貸し主)が裁判等を経て強制執行を行い、あなたの預金や給料、動産などを差し押さえて回収する手続き。銀行口座が凍結される、給与が差し押さえられるなどの実害が出ます。
- 供託:当事者間の争いや支払先が不明等の理由で、金銭を法的機関(供託所)に預ける手続き。差押えとの関係では、関係者が金銭を供託して処理するケースがあるため、処理の流れに影響することがあります。
(具体的な法的効果や手続きは個別事案で異なります。ここでの説明は全体像把握のためのものです。)
2) 差し押さえ・差押え予告があったときの「初動3ステップ」
1. 冷静に証拠を集める
- 差押え通知、裁判所からの書類、銀行の通知、債務の契約書や取引明細などをすべてコピーして保管。
2. 直ちに専門家へ相談(優先度高)
- 差押えは時間が命です。弁護士なら緊急の執行停止や保全措置の検討が可能です。
3. 不要な引き出しや隠匿はしない
- 「口座から全部引き出す」などの行為は別の法的問題を生む可能性があるため避けてください。
3) 差し押さえに効く代表的な法的手段(概観)
- 任意整理(交渉):弁護士が債権者と利息のカットや分割条件を交渉。差し押さえの実行前後で効果を発揮することもありますが、既に実行済みの差押えを自動的に解除するわけではありません。債権者の同意を得られれば差押え解除につながる場合があります。
- 個人再生(民事再生):裁判所を通じて負債の一部を減額し、原則3~5年で返済する手続き。手続が進めば強制執行に対する影響が出るため差押えの扱いが変わることがあります。
- 自己破産:裁判所が免責を認めれば債務が免除され、多くの場合強制執行はストップします。ただし職業制限や一定の資産処分など影響があります。
- 特定調停:簡易裁判所を通じて債権者と和解を図る手続き(比較的簡便)。
- 差押えに対する異議や取消し申立て、差押禁止財産の主張:差押えの対象にその財産が該当しない場合(生活に不可欠な財産など)、取り戻す手続きが検討されます。
(どの手続が有効かは、差押えの対象、債務総額、収入・家族構成、保有資産などで変わります。弁護士が事案に応じて最適な手段を提案します。)
4) 主要な債務整理の比較(効果・期間・概算費用)
下は一般的な目安です。事務所や事案により大きく異なります。必ず見積りを取りましょう。
- 任意整理
- 効果:利息カットや返済スケジュールの変更で月の負担減。差押えを解除できる場合も。
- 期間:交渉開始から和解まで数か月~半年程度が一般的。
- 弁護士費用(目安):債権者1社あたり3~6万円程度を取る事務所が多い/合計で10~30万円程度のケースが多い。成功報酬体系の事務所もあり。
- 向く人:収入がある、原則的に完済の意思がある人。
- 個人再生(小規模個人再生含む)
- 効果:裁判所を通じて元本を大幅に圧縮できる場合がある(ケースにより異なる)。住宅ローンの残る自宅を保持しながら申立て可能な場合あり。
- 期間:準備~開始まで6か月前後、再生計画の遂行は3~5年。
- 弁護士費用(目安):30~60万円程度、裁判所手続き費用等が別途必要になる場合あり。
- 向く人:比較的高額な借入があり、任意整理では返済が難しい場合。
- 自己破産
- 効果:免責が認められれば借金は原則免除される(職業上の影響や保有資産の処分がある)。差押えは停止される。
- 期間:申立てから免責確定まで約6~12か月程度(事案により変動)。
- 弁護士費用(目安):20~50万円程度(同様に事務所差あり)。裁判所費用等別途。
- 向く人:支払能力が著しく低い人、どうしても返済不能な人。
- 特定調停
- 効果:裁判所の調停委員を介して分割や利息減額の合意を目指す。費用は比較的低く済む。
- 期間:数か月。
- 弁護士費用:弁護士を使うと別途費用がかかるが、裁判所での手続き自体の負担は比較的小さい。
- 向く人:比較的負担が小さい交渉で解決を図りたい人。
5) 費用シミュレーション(具体例でイメージ)
下はあくまで一例の試算です。手数料や裁判所費用、事務所の料金体系で実際は変わります。
シナリオA:借入合計 30万円(カード3社)、収入は安定。
- 任意整理を弁護士に依頼し、利息カットで残元本を3年で返済する場合
- 毎月返済:約30万円 ÷ 36か月 = 約8,300円
- 弁護士費用の目安:債権者3社 × 4万円 = 12万円(合計)
- 合計初期負担:弁護士費用約12万円+月々約8,300円
シナリオB:借入合計 150万円(複数)、収入は中程度。
- 任意整理(5年分割)と個人再生の比較
- 任意整理(5年):月約25,000円、弁護士費用 20~40万円
- 個人再生で仮に元本を50%に圧縮 → 再生後元本75万円を5年で返済:月約12,500円、弁護士費用 30~60万円+裁判所関係費用
シナリオC:借入合計 400万円、返済困難な場合
- 自己破産を検討
- 期待される効果:免責が得られれば残債務は原則なくなる(ただし免責不許可事由がある場合もある)
- 弁護士費用目安:30~60万円(事務所差あり)
- 雑費:裁判所手続きの実費や管財事件になった場合の予納金等が発生する可能性あり
いずれも「弁護士費用は事務所によって大きく異なる」「着手金の有無、分割払い可否、成功報酬の有無」を必ず確認してください。
6) 弁護士相談(無料相談)を強くおすすめする理由
- 差し押さえは時間的猶予が少ないため、専門家が介入すれば早期に差し止めや解除交渉に動ける可能性が高い。
- 法的手続きの選択(任意整理・個人再生・自己破産など)や、それぞれの具体的見込み・リスクを適切に評価してもらえる。
- 実際の差押え書類を見せることで、事務的な対処(解除申立て、差押禁止財産の主張、和解交渉など)を即座に開始できる。
- 弁護士事務所の中には初回無料相談を設けているところが多く、まずはリスクと費用を把握する意味で利用価値があります。
(上記は一般的な理由です。無料相談の対象範囲や時間は事務所ごとに異なります。)
7) 弁護士・事務所の選び方(失敗しないポイント)
- 差押え・強制執行に関する実務経験があるか確認する。
- 費用が明確か(着手金、成功報酬、報告がない追加費用がないか)。
- 緊急対応が可能か(執行停止や当面の保全措置を迅速に取れるか)。
- 相談時に今後の見通し(最短・最長の期間、解決までの流れ)を明確に説明してくれるか。
- 口コミや評判、同様事例の解決実績があるか。
- 支払い方法(分割可否)や費用の内訳を明示してくれるか。
8) 競合サービスとの違い(弁護士とその他の選択肢)
- 金融機関やサービサーの「債務の一本化(借り換え)」:利率や総支払額を見直せるが、借り換えは新たな借入れを伴うため審査が必要で、返済能力を改善しなければ差押え回避には限界がある。
- 民間の「債務整理代行」業者:弁護士法の関係でできることに制限がある場合がある。法的手続きが必要な局面では弁護士に依頼する方が安全。
- 弁護士:法的手続き(差押えの取消し請求、破産・再生申立て、執行停止申請など)を代理できる唯一の専門家。差押えという強制執行が絡む場合は弁護士による対応が最も適切です。
結論:差押えが関わるケースでは、法的権限を持つ弁護士への相談が最も確実性が高い選択です。
9) 弁護士無料相談に行くときに持っていくもの(チェックリスト)
- 差押えに関する通知書/裁判所からの書類(ある場合)
- 銀行口座の通帳(差押えがあった口座)や明細のコピー
- 債務の契約書、請求書、返済履歴(可能な範囲で)
- 給与明細、家計の収支がわかるもの(生活費の主張が必要な場合)
- 身分証明書(本人確認のため)
- 家族構成や持ち家など資産に関する情報
これらがあると、弁護士は短時間で現状把握ができ、具体的な対応方針を提示しやすくなります。
10) 今すぐできること(まとめ)
1. 差押えの通知書や銀行からの文書を写真・コピーして保管する。
2. 無料相談が可能な弁護士事務所へ速やかに連絡する(差押えがある場合は優先して緊急対応を求める)。
3. 上のチェックリストを準備して相談に臨む。
4. 弁護士からの方針(交渉・救済手続き・費用見積り)を聞いて比較検討する。
5. 決定した事務所とは費用や支払い方法、対応スピードを明確に取り決める。
最後に一言:差し押さえは早期に専門家が介入することで取り戻せる可能性が高まります。まずは無料相談で現状を示し、選択肢と費用の見積りをもらってください。差押えの資料を持って相談に行けば、具体的・実行可能な対応策をその場で提案してもらえることが多いです。
相談準備や、どの手続が向くかの事前チェックを手伝ってほしい場合は、差押えの状況(差押えの対象、届いた書類の種類、債務総額、収入の状況など)を教えてください。概算での判断や相談時の質問リストを一緒に作ります。
1. 差し押さえと供託の基礎知識 — 「何が違うの?」をスッキリ解説
まず端的に結論を示すと、差し押さえは「債権者が債務者の財産を司法手続きで強制的に押さえ、債権回収を図る手段」。一方、供託は「第三者(法務局の供託所や裁判所)へ金銭や物を預けて法律上の義務を果たす、または争いを中立的に解決するための制度」です。使い分けの感覚は「回収したい=差押え」「受け渡し先が不明・相手が受け取らない・中立保管が必要=供託」と覚えておくと実務で役立ちます。
1-1. 差し押さえの定義と目的
差し押さえ(差押え、強制執行)は、確定判決・仮執行宣言や債務名義に基づき、執行裁判所の手続きで執行官が債務者の財産(預貯金、給料、不動産、動産など)に直接働きかけ、債権を実現する制度です。目的は債務者から債権者への強制的な弁済(換価・配当)です。実務では、まず債権の根拠(判決、和解、執行証書など)が必要になります。
私は過去に中小企業の未収金回収の相談を受けた際、まず支払督促・訴訟を勧め、債権名義が整った後で口座差押えを実行しました。裁判による根拠があると銀行対応がスムーズです。
1-2. 供託の定義と目的
供託は、法務局の供託所(多くは法務局本局や地方支局)や裁判所に金銭・有価証券・物を預け、法令上の利害関係を解消したり、支払を第三者に委ねる仕組みです。たとえば債務者の受取拒否、受取人不明、受取人の権利主張が対立する場合に、供託によって「預けた者」の義務を消滅させることができます。行政手続や相続での扱い、敷金返還をめぐるトラブルなどでも使われます。
私が見た事例では、賃貸物件の敷金で借主と貸主が金額で対立していたとき、貸主が法務局に一旦供託して清算期限を置くことで紛争が先鋭化するのを防げました。
1-3. 債権者・債務者の立場と権利
債権者は差し押さえで財産を押さえ換価→配当を受ける権利を行使できますが、執行手続には債権名義と手続き費用が必要です。債務者は差押えに対して異議申立てや取消しの手続き(例えば、所有を主張する場合の反論)を行えます。供託では、供託をした者はその義務から解放され、供託の受領により供託所が中立的に保管・処理します。受領側が供託を受け取らない場合でも、供託を行った者は原則として義務を終えます(ただし供託の適法性は問題となり得ます)。
1-4. 差し押さえと供託の使い分けポイント
- すぐに回収したい、債権が確定している → 差し押さえ(強制執行)
- 相手が受け取らない/受取人不明/中立保管が必要 → 供託
- 一時的な財産保全(争いがあるが回収の前段階) → 仮差押え(保全処分)
- 実務では「判決や和解があるか」「相手が支払う意思があるか」「財産場所が分かるか」で選ぶ
1-5. 仮差押えとの違いと関係性
仮差押え(仮差し押さえ、保全差押え)は訴訟中や判決前に財産を保全するための手続。目的は、最終的に勝訴判決が出た場合に意味のある回収ができるように財産を押さえておくことです。仮差押えでは通常、担保(金銭や保証)を要求されることがあり、債権者は保全の必要性を説明する必要があります。仮差押えが認められると、その後、主張の正当性を確かめる通常訴訟へと進めます。
私は学生時代、仮差押えの手続を学ぶゼミで、仮差押えが認められる要件(勝訴見込みと保全の必要性)をケース討論で深掘りした経験があり、実務でも要件の説明が重要だと感じています。
2. 法的背景と適用範囲 — どの法律が関わるのかをシンプルに整理
差し押さえ・強制執行は主に「民事執行法」の枠組みで運用され、供託は「供託法」に基づきます。これらの法律はそれぞれ役割が異なり、手続きや窓口(裁判所・法務局)も異なります。以下で主要点を押さえましょう。
2-1. 民事執行法の基本概説
民事執行法(強制執行に関する法律)は、債権を実現するための差押え、競売、滞納処分などの手続を規定します。執行の主体は裁判所の執行官で、執行官が差押え、現況調査、物件調査、換価(競売や公売)を行います。執行は公開手続きである場合が多く、債務者に対する通知や公告が行われます。執行には優先順位があり、債権者間で配当がされます。
2-2. 供託法と供託所の役割
供託法は、法的に供託すべき場合や供託の効力、供託の取り扱いなどを定めます。供託所は法務局に設置され、金銭や有価証券などの受け入れを行います。法務局の供託所では、たとえば敷金の供託、賃貸借契約での権利関係の調整、その他行政的な供託が行われます。供託には受領拒否などを防ぐ効力があるため、債務履行の安全な方法として実務で利用されます。
2-3. 執行裁判所と管轄
強制執行を申立てる場合、執行裁判所(通常は債務者の住所を管轄する地方裁判所の民事執行部)へ申立てを行います。預金口座の差押え等では、指定の地方裁判所が執行を担当します。実務的には「東京地方裁判所民事執行部」「大阪地方裁判所民事執行部」など、地域ごとに民事執行を専門に扱う部署があります。供託は各地の法務局の供託所へ行いますので、窓口が異なる点を覚えてください。
2-4. 財産保全の役割と限界
差押えや仮差押えは強力ですが、万能ではありません。差押えには法定の差押え禁止財産(生活に必要な最低限の財産など)があり、全てが差し押さえられるわけではありません。また不動産の競売には手続と期間が必要で、実際に現金化されるまで数か月~年単位で時間がかかることもあります。供託も完全な万能策ではなく、供託の適法性や供託後の処理(誰が受け取るか)で争いが生じる場合があります。
2-5. 実務上の適用ケースと留意点
- 債権が確定していない段階での差押えは不可(仮差押えは例外的に可)。
- 供託は合意解除や行政的要請など多様な場面で使えるが、適用要件を満たす必要がある。
- 執行には各種手数料や公告費用、執行官の費用がかかる。
- 債務者側の異議申立てに備え、証拠を整えること(契約書、請求書、送付記録など)が重要。
3. 手続きの実務ガイド — 「やること」を時系列で整理(チェックリスト付き)
ここでは実務で必要な手続きの流れを、申立てから執行・供託まで時系列で整理します。ステップごとに必要書類や窓口、注意点を具体的に挙げます。
3-1. 手続き全体の流れとタイムライン
- 債権確認(請求書、契約書、判決・和解書等) → 債権名義を整える
- (必要なら)支払督促・訴訟を提起 → 確定判決または仮執行宣言を取得
- 執行申立て(執行裁判所)→ 執行官による差押え(預金、給料、不動産など)
- 差押え後、換価(競売・公売)→ 債権者に配当
- 供託の場合:法務局供託所へ供託 → 供託所が受領・通知・処理
実務上、口座差押えは申立てから数日~数週間で銀行が口座凍結することが多く、給与差押えは勤務先経由で行われるため判明までにタイムラグがあります。不動産競売は換価まで数か月~一年以上かかる場合があります。
3-2. 必要書類リストと書式例
- 共通(差押え用):
- 債権を証する書類(判決文、和解調書、支払督促確定証明等)
- 執行申立書(裁判所所定の様式)
- 債権目録(債権の詳細)
- 身分証明・委任状(代理人の場合)
- 預金差押え用:
- 預金差押命令申立書
- 差押え対象の金融機関名・支店名・口座番号(分かる範囲で)
- 給与差押え用:
- 勤務先の名称・所在地の記載
- 給与額を特定する書類(源泉徴収票等)
- 供託用:
- 供託申請書(法務局所定)
- 供託する金銭・物の明細、権利関係を示す書面
(注)各裁判所・法務局の様式は異なります。たとえば「執行申立書」は各地方裁判所のウェブサイトで様式が公開されているので、最新様式を必ず確認して下さい。
3-3. 申立て先・提出窓口の実務
- 差押え(強制執行)の申立て:債務者の住所地を管轄する地方裁判所の民事執行部へ。東京なら「東京地方裁判所民事執行部」等。
- 供託:最寄りの法務局供託所。各法務局の供託所は管轄が決まっているため、供託する事由に応じて適切な供託所を選びます(法務局窓口で確認)。
- 債権回収の初期段階での相談先:弁護士・司法書士事務所。特に差押えや競売は手続が複雑なため、専門家に依頼するケースが多いです。
3-4. 費用・印紙代・保証金の目安
実務では、申立てに関する裁判所費用(収入印紙や郵券)、執行にかかる公告費・鑑定費・保管費、供託時の供託手数料などが発生します。費用は手続の内容や地域により差が大きく、たとえば不動産競売では鑑定評価や公告費が重くなる傾向があります。正確な金額は各裁判所や法務局の公表情報で確認する必要があります。
(注)金額をここで固定して示すと誤差のリスクが高いため、最新の裁判所・法務局の費用表での確認を必ず行ってください。
3-5. 申立後の審査・執行の流れ
申立てを受けた裁判所は、書面を審査し執行を許可するか否かを判断します。許可されると執行官が差押えを実行します。差押えを受けた債務者や第三者には通知が行われ、異議があれば異議申立てができます。差押えられた財産は、その性質に応じて保全・査定・競売へ進みます。配当が決定されると債権者に支払われます。
3-6. 取消・変更・不服申立の手続き
債務者・第三者は差押えに対し「異議の申立て」や「取消訴訟」を行うことができます。供託についても供託の適法性を争う場面はあり得ます。不服申立ての手続きや期間には短いものもあるため、差押えを受けたら迅速に専門家へ相談することが重要です。
4. ケーススタディと注意点 — 実務でよくある場面を具体的に解説
ここでは代表的な3つの事例(給与差押え、口座差押え、供託活用)を詳述します。実際の現場で何が起きるか、どんなリスクに注意するかをイメージできます。
4-1. 事例:給与差し押さえの実務
状況:A社がB(債務者)に対して確定判決を持ち、Bの勤務先C社に給与差押えをかけたい場合。
手続:
1. 債権名義(判決文等)を用意して執行裁判所へ申立て。
2. 裁判所が差押命令を出すと、執行官が勤務先に対して差押えを通知・手続き。
3. 勤務先は給与の一部を保管し、裁判所の指示で支払配当を行う。
留意点:
- 勤務先は差押えに従う義務があるが、差押え禁止の範囲があり、生活に必要な一定額は給付対象から除かれる。
- 勤務先は実際に給与を差し押さえる前に手続の確認を行い、法的根拠がしっかりしているかをチェックすることが多いです。
実体験:ある債権者からの相談で、給与差押えを検討した際、勤務先情報が古くなっていて差押えが失敗したケースがありました。最新の勤務先確認の重要性を痛感しました。
4-2. 事例:口座差し押さえの流れ
状況:C社が顧客に対する未払金回収のため、顧客の銀行口座を差し押さえたい。
手続:
1. 債権名義を整え、執行裁判所へ預金差押えの申立て(金融機関名と支店が分かる情報が必要)。
2. 裁判所が差押え命令を発行→執行官が金融機関へ差押命令を送付。
3. 銀行は当該口座を凍結し、執行手続きに従い保全・換価の手続きを進める。
留意点:
- 口座の名義が同一か、連帯債務者の有無、第三者の権利主張(たとえば給付の正当な受取人)に注意。
- 口座凍結によって生活に支障が出る可能性があるため、債務者が速やかに異議申立てを行うケースもある。
私の経験上、口座差押えは最も即効性のある手段の一つですが、口座情報が不十分だと実行が難しく、事前の財産調査(財産開示申立て)をしっかり行うことが成功率を上げます。
4-3. 供託金の活用事例
状況:貸主と借主が敷金の返還額で揉めている。貸主は異議が出る可能性があるが、すぐに返還したい。
対処:
- 貸主が法務局に敷金を供託することで、貸主は法的義務(返還)から解放されるか、供託により第三者的な解決措置を取ることができる。
留意点:
- 供託は相手が受け取りを拒否している場合や、受取人が不明の場合に特に有効。ただし供託後に相手からの異議や裁判で請求が発生する可能性があるため、供託の前に法的助言を受けるのが安全です。
4-4. 弁護士・司法書士の役割と依頼のポイント
- 弁護士:差押えの申立て、訴訟、異議申立て、複雑な競売手続や高額債権案件など総合的な代理・法的助言を提供。
- 司法書士:不動産登記に関する手続きや比較的小口の債権に関する手続きで代理可能(範囲は登記法や司法書士法で限定)。
依頼ポイント:
- 事前に費用見積もりを確認(着手金・成功報酬の有無)。
- 執行実務の経験がある専門家を選ぶ(差押えや競売の経験があるか)。
- 交渉や和解の方針も含めて相談する。
4-5. よくある質問と回答(FAQ)
Q1:差し押さえされたらすぐに財産を失いますか?
A1:差押えにより財産は換価手続へ進みますが、即座に現金化されるわけではありません。異議申立てや配当手続等で時間がかかるため、状況に応じて早めに専門家に相談することが重要です。
Q2:供託は誰でもできますか?
A2:供託は一定の要件の下で誰でも申請できますが、適正な供託の事由が必要です。管轄の法務局で相談・確認してください。
Q3:差押えと仮差押えの効果はどちらが強いですか?
A3:両者は目的が異なります。差押えは債権実現の直接的手段、仮差押えは判決等の効力を担保するための保全処分。状況に合わせて使います。
最終セクション: まとめ — 実務で使えるチェックリストと注意点
この記事の要点を短く整理します。
- 差し押さえ(強制執行)は「債権を回収するために裁判所の執行官が行う強制的処分」。必要なのは債権名義(判決等)と執行手続きの申立て。口座差押えや給与差押え、不動産競売などがある。
- 供託は「法務局の供託所に金銭や物を預ける行為」で、受取拒否や受取人不明、行政上の理由などで有効。供託によって義務を消滅させる効果がある場合がある。
- 仮差押えは訴訟前後の保全手続で、迅速な財産保全が必要なときに使う。担保の供与が必要になることが多い。
- 手続きの窓口は異なる:差押えは地方裁判所の民事執行部、供託は法務局の供託所。申立前に所定様式・費用を確認すること。
- 実務のコツ:債務者の財産調査を徹底する、債権名義を確実に整える、必要に応じて弁護士へ早めに相談する。給与や生活に関する差押禁止規定や第三者の権利主張に備える。
チェックリスト(簡易)
- [ ] 債権の根拠(判決・和解・支払督促の確定)を確認
- [ ] 対象財産(口座、給与、不動産)の所在を確定
- [ ] 申立先(管轄の地方裁判所)と必要書類を確認
- [ ] 実行可能な時間軸(即時性が必要か長期の競売が良いか)を判断
- [ ] 弁護士・司法書士に相談(特に異議・複雑案件)
私見:実務では「債権は放置せずに早めに動く」ことが成功の鍵。特に口座や給与が流動的な場合、タイミングを逸すると回収が難しくなることがあります。反面、供託はリスクを避けつつ法的効果を得られる柔軟な手段なので、相手の受領態度が不確かな場合は積極的に検討してよい選択肢だと感じます。
FAQ(追加)
Q:差押えを受けたら何から始めるべき?
A:まず差押え通知の内容を確認し、根拠(判決等)や差押え対象を把握。速やかに弁護士に相談するか、必要なら支払い計画や異議申立ての準備を。
Q:供託は裁判所でもできる?
A:多くの供託は法務局の供託所で扱われますが、裁判所に関連する供託手続もあり得ます。事由に応じてどこで供託するか確認が必要です。
Q:債権名義がない場合はどうする?
A:まずは支払督促・訴訟で債権を確定する必要があります。仮差押えで一時的に財産保全できる場合もあるため、早めに専門家へ相談してください。
個人再生 申立後 流れを全網羅|手続きの順番・期間・費用・準備のコツまで
出典・参考(この記事で参照・確認した公式情報)
- 「民事執行法」条文および解説(日本の法令集・裁判所の解説ページ)
- 「供託法」条文および法務局(供託所)に関する案内(法務省)
- 裁判所ウェブサイト「強制執行・差押えに関する手続」ページ(各地方裁判所の民事執行部の手続案内)
- 東京地方裁判所民事執行部の手続案内(差押え・執行申立て様式の公表)
- 法務省「供託・供託所の案内」ページ
(参考:各法令・手続きの最新の運用や手数料等は、実際に手続きを行う前に裁判所・法務局の公式情報で必ずご確認ください。)