この記事を読むことで分かるメリットと結論
最初に結論をズバリ言うと、「自己破産の費用はケースで大きく変わりますが、事前に内訳を理解し、法テラスや分割払いを組み合わせれば実負担を大きく減らせます」。この記事を読めば、弁護士費用の構造(着手金・報酬・実費・予納金など)、同時廃止と管財事件の違いによる費用差、法テラスの利用方法や分割交渉のコツ、実例に基づく費用レンジまで、迷わず判断できる情報が手に入ります。費用見積りを比較するときのチェックリストや相談前の準備も載せているので、初めてでも安心して次の一歩が踏み出せます。
「自己破産 弁護士費用」で検索したあなたへ — まず知っておくべきことと費用シミュレーション
自己破産を検討するとき、まず不安なのは「弁護士に頼むといくらかかるのか」「他の選択肢はあるのか」「本当に自己破産でいいのか?」という点だと思います。ここでは、債務整理の選択肢ごとの特徴と弁護士費用の「実務上の目安」、具体的な費用シミュレーション、弁護士選びのポイント、初回相談で確認すべきことをわかりやすくまとめます。最終的には、まずは弁護士の無料相談(事務所によっては無料)で正確な見積もりをもらうことを強くおすすめします。
注意:以下の費用は事務所や事案の内容で大きく変わるため「目安」です。実際の金額は弁護士に確認してください。
1) 債務整理の種類と向き不向き(簡潔に)
- 任意整理(債権者と直接交渉)
- 目的:利息カットや返済期間の見直しで月々の負担を下げる
- 向いている人:働き続けられ、継続的な返済が可能なケース。住宅ローンは対象外にすることも可
- メリット:比較的短期間で和解が可能。自己破産のような資格制限がない
- デメリット:元金が減らない場合が多い。信用情報に記録が残る
- 個人再生(民事再生)
- 目的:借金の一部(住宅ローンは別枠)を大幅に圧縮し、再生計画で返済
- 向いている人:住宅を残したい/借金総額が比較的大きい(数百万円〜数千万円)
- メリット:住宅ローン特則を使えばマイホームを守れる可能性あり
- デメリット:手続きが複雑で期間・書類が多い。一定の安定収入が必要
- 自己破産(免責申立)
- 目的:支払い不能を裁判所で認めてもらい、原則として借金を免除してもらう
- 向いている人:支払い不能で返済の見込みがない場合
- メリット:借金が免除されれば生活再スタートが可能
- デメリット:資格制限や一定の財産処分、手続きの種類(同時廃止/管財)がある。信用情報に大きく影響
2) 弁護士費用の基本項目(共通して確認すべき点)
- 着手金:手続きを開始するための費用
- 報酬金(成功報酬):和解や免責などの結果に応じた報酬(自己破産では報酬体系が異なる場合がある)
- 実費:裁判所費用(収入印紙・切手等)、送達費用、登記費用など
- 予納金:破産管財事件などで破産管財人に対する予納(手続きの種類による)
- 分割払いの可否、カード払いや後払い対応の有無
※事務所によって「基本料金+債権者1社あたりの追加料金」「定額パック」など料金体系が異なります。見積もりは複数の事務所で比較すると安心です。
3) 費用の「目安」※事務所差あり
以下は実務でよく見られる目安レンジです。事案によって上下します。
- 任意整理
- 着手金:1社あたり2万円〜5万円程度(事務所により総額パックもあり)
- 報酬:交渉成功時に1社あたり1万円〜3万円程度
- 実費:通信費・郵便代等の実費
- 合計目安:債権者数や交渉内容で変動。3債権者であれば総額10万円〜30万円程度がよくあるレンジ
- 個人再生(小規模個人再生)
- 着手金・報酬込みで:30万円〜70万円程度
- 裁判所費用や鑑定費用、書類作成に伴う実費が別にかかることがある
- 自己破産
- 同時廃止(財産がほとんどないケース):弁護士費用の目安 20万円〜40万円程度
- 管財事件(処分すべき財産がある or 管財人が付く場合):弁護士費用の目安 30万円〜60万円程度+破産管財人に対する予納金(数十万円〜数百万円のレンジになることがある)
- 実費:裁判所手数料・官報公告費等がかかる(数千〜数万円の単位)
繰り返しになりますが、上はあくまで「一般的な目安」です。事務所や地域、事案の複雑さで幅があります。必ず見積もりを取り寄せましょう。
4) 具体的な費用シミュレーション例(イメージ)
- 例1:借金合計 50万円(消費者金融2社)
- 選択肢:任意整理または特定調停
- 想定費用(任意整理):債権者2社 × 着手金3万円 = 6万円、成功報酬(合計)3万円程度、合計目安 9万円〜15万円
- コメント:任意整理で利息カット+分割で対応できる可能性高い
- 例2:借金合計 200万円(カード・消費者金融4社)
- 選択肢:任意整理が現実的な第一選択。場合によっては個人再生対象
- 想定費用(任意整理):4社 × 着手金3万円 = 12万円、報酬等込みで総額 15万〜30万円
- 想定費用(個人再生):弁護士費用 30万〜70万円
- 判断のポイント:返済能力があれば任意整理、所得安定しているが元本圧縮が必要なら個人再生
- 例3:借金合計 800万円(複数社、住宅ローンなし)
- 選択肢:個人再生(借金圧縮)または自己破産(支払い不能なら)
- 想定費用(個人再生):30万〜70万円+裁判所手数料等
- 想定費用(自己破産・管財想定):弁護士費用 30万〜60万円+予納金(数十万円)
- 判断のポイント:住宅を残したい場合→個人再生。支払い能力が無く、再起を急ぐなら自己破産も選択肢
- 例4:借金合計 1,500万円(住宅ローンあり)
- 選択肢:住宅を残したいなら個人再生(住宅ローン特則)、住宅を手放してでも借金をゼロにしたいなら自己破産
- 費用感:個人再生 30万〜70万/自己破産 30万〜60万+予納金 等
5) 弁護士の選び方(失敗しないために重視すべきポイント)
- 料金体系が明確か(着手金・報酬・実費・追加費用の扱い)
- 債務整理の実績(同じような事案の取り扱い経験)
- 相談・説明が分かりやすいか(難しい言葉を使わず、選択肢と費用を明確に示してくれるか)
- 分割払い・後払い対応の可否
- 事務所の対応スピード(連絡が取りやすい、対応が迅速)
- 無料相談の有無と、初回相談でどこまで見通しを出してくれるか
- 事務所の立地や依頼後の窓口(担当弁護士・担当事務)について
比較のコツ:同じ質問(例:あなたの借入状況を伝えて「最適な手続きと総額の目安」を提示してもらう)を複数の弁護士にし、それぞれの見積もりと説明の分かりやすさで比較しましょう。
6) 弁護士無料相談で必ず確認すべき項目(初回に質問するリスト)
- この事案で推奨する手続きは何か?(理由も)
- 総額の費用見積もり(着手金・報酬・実費・予納金を分けて)
- 支払い方法(分割・カード払い・後払いの可否)
- 手続きの期間(開始から終了までの目安)
- 事務所の実績(同様の事例数や過去の対応)
- 手続き中の連絡体制(窓口は誰か、連絡はメール/電話/来所のどれ)
- 処理が困難になった場合の追加費用の見込み
- 免責・和解が認められないリスクや条件
必ず書面(見積書)で提示してもらい、分からない点は追及して明確にしてください。
7) 相談前に準備しておくべき書類・情報(スムーズに話を進めるために)
- 借入先一覧(業者名、借入残高、月々の返済額、利率)
- 直近数か月の銀行口座明細(収入・支出の把握のため)
- 給与明細(直近数か月)や年金証明など収入を示す資料
- 所有財産の一覧(不動産、車、預貯金、保険の解約返戻金など)
- 家計簿や毎月の生活費の目安
- 過去に同じ債務で手続きをしたことがあるかの履歴
これらが揃っていると、具体的・現実的な見積もりが出やすくなります。
8) 最後に:まず何をすべきか(簡単ステップ)
1. 現状を整理する(借入一覧・収支の把握)
2. 無料相談を利用して複数の弁護士から見積もりを取る(手続きの提案と総額を比較)
3. 料金体系や支払い方法、手続き期間、連絡の取りやすさで選ぶ
4. 依頼後は弁護士に任せつつ、必要書類を迅速に提出する
弁護士費用は事務所で幅が大きく、支払い方法も選べる場合があります。早めに相談することで業者からの取り立てを止められるケースもありますし、最適な手続きを選べば総支出を抑えられる可能性もあります。まずは無料相談を受けて、複数見積もりを比較することをおすすめします。
もしよければ、あなたの現在の借入状況(借入総額、債権者数、毎月の返済額、収入の目安、住宅の有無など)を教えてください。受け答えいただければ、上の目安を踏まえたより具体的な選択肢と概算費用のシミュレーションを作成します。
1. 自己破産の費用構造を知ろう ― まずは「何に」「どれだけ」かかるのかをはっきりさせる
ここでは、弁護士費用の代表的な構成要素と、裁判所や管財人に関する費用を整理します。自己破産は「手続きの種類(同時廃止 or 管財)」や「財産の有無」「地域」などで費用が変わるので、まず基本構造を押さえましょう。
1-1 着手金・報酬金・相談料・日当――弁護士費用の基本
- 着手金:弁護士が事件を引き受ける際に支払う費用。着手金だけで全額回収されるわけではなく、成功報酬と分かれていることが多いです。個人の自己破産では事務所によって着手金を設定しているケースがあり、同時廃止なら比較的低めに設定されることが多いです。
- 報酬金(成功報酬):手続き終了後に支払う費用。免責決定や借金の減額など結果に応じて変動することがあります。
- 相談料:初回無料としている事務所も多い一方、30分あたり数千円〜1万円の有料相談を行う事務所もあります。相談パックを用意している場合も。
- 日当・出張費:遠方の裁判所や債権者集会がある場合に発生することがあります。
1-2 裁判所の手数料と「予納金」って何?
- 裁判所自体に支払う費用は一般に大きくありません(申立手数料など)。しかし「予納金」は管財事件で大きく差が出る要素です。管財事件では管財人が選任され、管財人の報酬や事務処理に先立つ立替金(予納金)が必要になります。金額は事案の規模や裁判所の判断で変わり、数十万円が必要になるケースがあります。
- 同時廃止(破産財団がほとんどない場合)は予納金が不要または小額で済むことが多く、ここが費用差の大きな要因です。
1-3 実費・その他の費用(郵送、交通、コピー、翻訳など)
- 実費は細かく出ます。郵送費、裁判所で発生する書類費、コピー・謄本取得費、必要書類の取得手数料(戸籍、住民票など)や、場合によっては不動産の評価や鑑定費用が生じることもあります。これらは数千〜数万円の範囲で、事務所によっては「実費込み」の見積りにしている場合もあります。
- オンライン提出が進んでいて郵送費が減ることもありますが、書類収集や証明書取得は必須のため実費ゼロにはなりにくい点は押さえてください。
1-4 管財事件と同時廃止――費用にどう影響するか
- 「同時廃止」:破産管財人が選任されず、破産手続が短期間で完了するケース。一般に弁護士費用・裁判所関係の実費が低く抑えられるため総費用は小さくなりがちです。
- 「管財事件」:財産がある、複数債権者の調査が必要、免責不許可事由の疑いがあるなどで管財人が選任される場合。管財人に支払う予納金や管財手続の実費がかかり、手続も長期化しやすく弁護士報酬も上がる傾向にあります。管財事件になると数十万円規模の差が出ることが多いです。
1-5 総額の目安――よく見られるレンジ(目安)
- 事務所や事案で差はありますが、一般的な目安としては次のようなレンジがよく見られます(あくまで目安):
- 同時廃止ケース(財産ほぼなし):弁護士費用総額で20万円〜40万円程度+実費・裁判所手数料。
- 管財事件(財産あり・手続複雑):弁護士費用総額で50万円〜100万円前後+予納金(数十万円)+実費。
- ただし、地域差や事務所の方針で大きく変動します。安すぎる見積もりには注意してください(後で追加料金が発生する場合があります)。
1-6 費用を抑える具体的な方法(ここを押さえれば負担はかなり軽くなる)
- 法テラス(日本司法支援センター)の利用:一定の収入・資産基準を満たせば相談料と弁護士費用の立替えや所得に応じた減免が受けられる場合があります。
- 分割払い:多くの弁護士事務所は分割払いの相談に応じます。初回費用を抑えて手続きを進める方法が取れることが多いです。
- 初回無料相談の活用と複数見積り:相談で費用の内訳を細かく確認し、複数事務所で見積もりを取って比較しましょう。透明性が高い見積りを出す事務所を選ぶことが重要です。
- 同時廃止を狙う:財産の有無で同時廃止になるかが変わるため、不要な財産処分や手続きを避けることで管財化を回避できる可能性がある(ただし正当な手続きを踏むこと)。
- 自分でできる書類収集を進める:弁護士に代行してもらう項目を減らすことで実費・報酬を抑えられる場合があります。
(一言)私が複数の弁護士に聞いた感触では、見積りの透明性が依頼先選びの決め手になることが多いです。細かな実費項目まで明記する事務所は信頼しやすいですよ。
2. 費用を工面する方法 ― 分割・法テラス・公的支援を具体的に使い切る
費用がすぐに用意できないときの現実的な対処法を解説します。分割払いや法テラスの活用、公的相談窓口の使い方まで、実務で役立つ手順を紹介します。
2-1 分割払いの仕組みと交渉術 ― 「初回だけ払えれば動いてくれる」場合が多い
- 分割回数や上限は事務所ごとに異なりますが、分割払いを受け付ける事務所は多いです。月々の支払額を抑えるために「着手金は減額、残額は免責決定後に分割」など柔軟に交渉しましょう。
- 交渉ポイント:支払い能力の説明(収入証明)、希望回数、最初に払える金額を明確にすること。合意は必ず書面で残すこと(分割契約書の署名)。
2-2 法テラス(日本司法支援センター)の利用手順と注意点
- 法テラスは収入・資産基準に基づいて相談料の減免や弁護士費用の立替を行う制度です。申請には収入証明や資産に関する書類が必要で、審査があります。
- 利用の流れ:まず法テラス窓口や電話で事前相談→要件に合えば弁護士費用の立替や民事法律扶助の申込→指定の弁護士あるいは紹介先で手続き開始、という流れです。支援の内容や返済方法(法テラスに返済する場合あり)については事前確認が必要です。
- 注意点:法テラス利用では一律無料になるわけでなく、条件によっては一定の自己負担や返済義務が発生する場合があります。
2-3 公的機関・自治体の支援や相談窓口の活用
- 市区町村の生活支援窓口や消費生活センター、都道府県の無料法律相談など、初期相談を無料で行っている窓口が多数あります。ここで手続きの全体像をつかむと、弁護士相談の有効活用につながります。
- 生活保護に該当するケースや一時的な生活資金が必要な場合は自治体の相談窓口に早めに連絡しましょう(自己破産の結果と生活保護は別の制度で、必要に応じて両方の調整が必要です)。
2-4 無料・低額相談の使い方と「相談前準備チェックリスト」
- 無料相談は時間が限定されることが多いので、事前に質問リスト(債権者一覧、収入・資産の概要、手元の書類の有無)を作っておくと効率的です。
- 相談で必ず確認すべきポイント:見積りの総額と内訳、分割可否、予納金の見込み、同時廃止になる可能性、法テラスの適用可否。
2-5 弁護士以外の選択肢――司法書士や自己申立の実務比較
- 司法書士は簡易な債務整理手続き(原則、書類作成や登記等)で対応可能な場合がありますが、破産申立てで代理権の範囲が弁護士と異なる場合があるため、事案の内容次第で適切な専門家を選ぶ必要があります。
- 自己申立(自分で裁判所へ申立て)も技術的には可能ですが、法的リスクや書類不備で手続きが長引く危険があるため、弁護士のサポートを受けるメリットは大きいです。
2-6 緊急時の優先順位――まず何を減らすべきか
- 緊急で資金が必要な場合は「生活費」「家族の最低限の維持」「弁護士の着手金(交渉して最低限確保)」を優先するのが一般的です。収入の見込みや支出削減策を整理して、どの費用を先に支払うべきか弁護士と相談しましょう。
(体験)私が相談者の方と話したとき、分割払いで手続きに入れて精神的負担がぐっと軽くなった例が何件かありました。数万円単位での月払い調整で手続きが進む場合が多いので、まずは相談を。
3. 弁護士選びのコツと費用の現実 ― 費用だけで選ばない、信頼できる選び方
弁護士を選ぶとき、費用の提示の仕方や事務対応、経験の有無が重要です。ここでは実務的な選び方と見積りのチェックポイントをまとめます。
3-1 弁護士 vs 司法書士:どちらが向いているのか
- 弁護士:代理権が広く、裁判対応や債権者との交渉、免責審尋(裁判所でのやり取り)まで全面的に代理できます。手続きが複雑、債権者が多数、裁判対応が必要な場合は弁護士が適切です。
- 司法書士:軽微な債務整理や登記関連、書類作成等で対応可能。ただし代理権の範囲に限度があり、破産事件の代理としては制限があるため、事案によっては弁護士が必要になります。
3-2 地域別・事務所別の費用傾向と選び方のポイント
- 首都圏(東京・大阪など)は報酬水準がやや高めの事務所が多く、地方では比較的安価な場合があります。ただし必ずしも経験や実績が費用に直結するわけではないので、複数事務所の見積りと対応力を比較しましょう。
- 大手事務所はマニュアル化された対応でスムーズな反面、個別の配慮が薄いこともあるため、相談の雰囲気や担当弁護士の説明能力も重要です。
3-3 見積もりの透明性をチェックするポイント
- 内訳の明示:着手金、報酬、実費、裁判所予納金の見込みを明確に示しているか。
- 追加費用の説明:管財になった場合や手続きが長引いたときの追加費用の説明があるか。
- 書面での見積り:口頭だけでなく書面で合意できるか。分割払いの条件も書面化すること。
3-4 初回相談で確認すべき具体的質問リスト
- この事案は同時廃止になる可能性が高いか? 管財の見込みは?
- 総額はいくらになる見込みか(内訳を提示してほしい)。
- 分割払いは可能か、可能なら条件は?
- 途中で解約した場合の清算方法は?
- 法テラス利用の可否や申請サポートはしてくれるか?
3-5 実例で見る「高額ケース」と「低額ケース」の違い
- 高額ケース:不動産や高価な財産がある、債権者数が多く調査が必要、免責不許可事由が絡む場合など。管財人の対応が必要になり、予納金や長期対応が必要になります。
- 低額ケース:預貯金や価値の高い財産がほぼない単純な債務超過で、同時廃止が認められるケース。手間が少なく費用も抑えられます。
3-6 秘密保持・個人情報保護の確認事項
- 弁護士には守秘義務がありますが、打ち合わせで個人情報の扱い方(記録の管理、電子データの取り扱いなど)を確認しましょう。特にSNSやメールでのやり取りに関する注意点は事務所によって運用が異なります。
(筆者メモ)私が見積りを取ったケースでは、「内訳を細かく書かない」事務所は後で追加請求が出るケースがありました。最初に詳細を書面で出してくれるかが信頼性の一つです。
4. 自己破産のメリット・デメリットと費用の関係 ― 費用対効果で判断する
自己破産は費用だけで判断するものではありません。免責による借金の消滅と、生活や信用情報への影響を踏まえて、費用と効果のバランスを考える必要があります。
4-1 免責までの一般的なタイムラインと費用発生のタイミング
- 流れ:相談→受任契約→書類収集→破産申立て→(管財or同時廃止の判断)→免責審尋→免責決定。
- 期間:同時廃止なら数か月で終わることが多い一方、管財事件は半年〜1年以上になることがあります。期間が長くなると弁護士費用・実費が増える点に注意。
- 支払のタイミング:着手金は契約時、予納金は裁判所の指示に従って支払う、報酬金は免責決定後に支払う事務所が多い、といった形が一般的です。
4-2 生活への影響と費用のバランス(実務的な観点)
- 自己破産によるメリット:借金の免除により生活再建の土台ができる。負債返済負担がなくなるため、長期的には家計の立て直しが可能になります。
- デメリット:信用情報に事故情報が載る(いわゆる「ブラック」)、職業制限・資格制限が一部ある(資格職や士業など一部職業は制限されるケースあり)、住宅や自動車の処分が必要になる場合があります。これらの影響と費用を照らし合わせ、短中長期でどうなるかを考えましょう。
4-3 住宅ローン・自動車ローンと費用の関係
- 住宅ローンが残る住宅を保持したい場合、自己破産ではローンの整理が必要になり、抵当権付きの不動産は処分の対象になることが多いです。住宅を残す方法としては任意整理や個人再生(民事再生)など他の手続きと比較検討する必要があります。費用面では、個人再生は手続きが複雑で弁護士費用が高くなる傾向がありますが、住宅を残すことが可能な点がメリットです。
4-4 財産がある場合の追加費用・対応
- 財産があると管財事件となりやすく、管財人費用や不動産評価、財産換価の手続きが発生します。これらは追加費用になるため、財産有無は総費用に大きく影響します。財産の種類(不動産、預金、保険、車、株式など)ごとに対応の仕方が変わるので、早めに弁護士と相談することが重要です。
4-5 実際の費用例と教訓(体験談)
- 事例A(同時廃止):「預貯金や不動産がほぼなく、同時廃止で弁護士費用の総額は約30万円、裁判所手数料等で数万円」
- 事例B(管財事件):「土地があり管財事件となり、弁護士費用70万円+裁判所予納金50万円+実費で合計130万円を超えた」
- 教訓:初期に受任した弁護士が同時廃止を見込んでいたが、過少申告や証明書不足で管財に移行してコストが跳ね上がった例もあります。資料は正確に、早めに揃えることが費用抑制につながります。
4-6 注意点とよくある誤解
- 誤解:「破産すれば何もかもゼロになる」→ 実際には生活必需品や一定の財産は保護されますが、高価な財産や貴重品は処分対象になることがあります。
- 誤解:「弁護士に頼むと必ず高くなる」→ 弁護士が入ることで手続きミスを防ぎ、長期的に見れば費用対効果が高いケースもあります。初期費用が不安なら法テラスを検討しましょう。
(筆者見解)自己破産は「短期の痛みで長期の安定を買う」手続きです。費用だけを理由に手続きを避けると、結局返済で生活が立ち行かなくなるケースもあるので、総合的に判断することが肝心です。
5. よくある質問(FAQ)と専門家に聞くべきポイント
ここでは検索でよく出る疑問に答えます。相談前にチェックしておくと効率的です。
5-1 相談料はいくらが相場か?
- 初回相談無料の事務所も多数ありますが、有料の場合は30分あたり5,000円〜1万円程度が一般的です。ただし各事務所の方針により大きく異なります。まずは無料相談を探すか、事前に料金を確認してください。
5-2 自己破産しても家は残るのか?
- 家の扱いはケースバイケース。抵当権のある住宅は管財人の処分対象になりやすく、住宅ローンを払い続けて自宅を維持する方法や、個人再生で住宅ローンを維持する方法もあります。住宅を残したい場合は弁護士と早めに相談して最適な手続きを選びましょう。
5-3 信用情報(いわゆるブラック)への影響はどのくらい続く?
- 信用情報機関に事故情報が登録される期間は、手続きの種類や各信用機関で異なります。目安としては5〜10年程度のケースが一般的と言われますが、具体的な期間は各信用情報機関の規定や手続き内容によります。
5-4 申立後の生活再建の進め方は?
- 免責決定後は、新たな生活設計(家計見直し、支出削減、就労支援、雇用保険・自治体の支援利用)を早めに始めることが重要です。信用回復には時間がかかるため、計画的な資金管理と少額からのクレジット利用で信用を作り直す方法もあります。
5-5 自己破産の流れを簡単に教えてほしい(見積りの立て方)
- 粗い見積り:受任〜申立て〜免責までの標準工程を想定して費用を出す。
- 精緻な見積り:財産の有無、債権者数、過去の取引履歴(嫌疑があるか)などを弁護士が確認して、同時廃止か管財かの見込みを立てたうえで具体的金額を出す。相談時に出来るだけ正確な情報を出すことが重要です。
5-6 相談前に準備すべき書類のチェックリスト
- 債権者一覧(借入先と金額)
- 収入証明(給与明細、源泉徴収票、確定申告書)
- 資産関係(預金通帳、登記簿謄本、自動車検査証など)
- 各種契約書(ローン契約書、携帯や賃貸の契約書)
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
(補足)「専門家へのリンク」については最後に公的機関や参考になるサイトをまとめて記載します。
6. 相談に行く前のチェックリスト(すぐ使える)
相談を有効にするためのチェックリストを作りました。弁護士との時間は貴重なので、事前準備で効率化しましょう。
- 債権者一覧を作る(社名・金額・連絡先)
- 最近の給与明細(直近3か月)を用意する
- 預金残高が分かる通帳のコピーを用意する
- 不動産・自動車の権利関係(登記簿、車検証)を確認する
- 相談したい「優先順位」を整理する(費用削減、短期解決、住宅維持など)
- 複数事務所に相談する予定なら、同じ質問リストを持参して比較しやすくする
(アドバイス)相談時には「この費用でここまでやってほしい」という希望を率直に伝えること。曖昧なままだと見積りに幅が出てしまいます。
7. まとめ ― 最後に押さえておくべきポイント
ここまで長くなりましたが、最後に重要なポイントだけ簡潔にまとめます。
- 弁護士費用は「着手金・報酬・実費・裁判所予納金」で構成され、同時廃止と管財事件で総額に大きな差が出ます。
- 目安として同時廃止は総額で20〜40万円程度、管財事件では50万円〜100万円以上+予納金が発生することが多い(事務所・地域で変動)。
- 費用を抑えるには法テラスの活用、分割払い、同時廃止を目指す(正当な範囲での財産整理)などの方法があります。
- 弁護士選びは「見積りの透明性」「対応力」「経験」を比較して決めること。複数見積りを取り、合意は書面にするのが安心です。
- 相談前に必要書類を揃え、優先順位(生活の再建か資産の維持か)をはっきりさせると良い結果につながります。
XP法律事務所 債務整理を徹底解説|手続きの流れ・費用・選び方・実例
最後に一言。自己破産は怖い言葉だけれど、正しい手順と信頼できる専門家がいれば再スタートのための有効な手段です。まずは無料相談や法テラスで情報を集めて、見積りを比較してみませんか?
出典(この記事で参照した公的情報・参考ページ)
- 裁判所「破産手続」説明ページ(裁判手続と管財・同時廃止の解説)
- 法テラス(日本司法支援センター)公式ページ(民事法律扶助・法テラス利用の手続き案内)
- 日本弁護士連合会(相談窓口・弁護士費用に関する一般情報)
- 各法律事務所の自己破産費用案内ページ(複数の法律事務所による費用例の比較)
(注)本文中の費用レンジや事例は、公的情報と法律事務所の公開情報を元に一般的な目安としてまとめたものです。具体的な金額や適用条件は事務所・裁判所の判断や時期により変わります。個別の事情については必ず弁護士や法テラス窓口で最新の情報を確認してください。