この記事を読むことで分かるメリットと結論
読んでいただくと、慰謝料請求が「自己破産」でどう扱われるかの基本ルールと、免責(借金の帳消し)になるかどうかの判断ポイント、手続きの進め方(申立前の準備、弁護士や法テラスの使い方)、さらに破産後の生活再建の実務的なコツがわかります。結論を先に言うと、慰謝料がすべて自動的に免責されるわけではなく、債務の性質(不法行為か契約上の債務か)や事案の経緯、免責不許可事由の有無で扱いが変わります。具体的な対応策は早めの専門家相談で大きく改善します。
「自己破産」と「慰謝料」──まず知るべきことと、あなたに合った債務整理の選び方・費用シミュレーション
検索キーワード「自己破産 慰謝料」で来られた方がまず知りたいのは、「慰謝料は自己破産で免責(支払い義務が消える)になるのか」「どの債務整理が最適か」「実際にどれくらい費用がかかるか」です。以下は現実的な選択肢と注意点を、わかりやすくまとめた実務的なガイドです。最後に、無料相談(弁護士事務所など)で何を確認すべきか、相談準備リストも載せます。
重要な前提(先に押さえるべきポイント)
- 多くの債務は債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)で軽減・免除の対象になり得ますが、「すべて必ず免責になる」とは限りません。
- 慰謝料(不法行為に基づく損害賠償)は、発生原因や内容によって扱いが変わることがあります。場合によっては免責されることが多い一方、免責が認められにくいケースもあります。
- 債務整理の選択は、金額・債権者の種類(個人・親族・配偶者・第三者)・財産の有無・今後の生活(職業)など複合的に判断します。結論は個別事情によって変わるため、実務家に相談するのが安全です。
1) 慰謝料は自己破産で「必ず」消えるのか?(短く)
- 結論:ケースバイケース。慰謝料の原因や態様(事実関係)によって、自己破産で免責(支払い免除)が認められることもあれば、認められにくいこともあります。
- 具体的に確認すべき事項:慰謝料が離婚に伴うものか(不貞など)、交通事故や暴力など不法行為に基づくものか、慰謝料請求が裁判で確定しているかどうか、相手が配偶者や親族か第三者か、など。
(補足的に重要な点)
- 債務者が故意に他人に悪質な行為(重度の暴力や性的暴行、重大な不法行為)を行った場合、裁判所が免責を制限または認めない判断をするケースがあり得ます。
- 一方で、一般的な不貞行為や婚姻関係に伴う慰謝料であっても、事案の事情によっては自己破産で免責されることがあります。
2) 選べる債務整理と慰謝料への影響(比較)
ここでは代表的な3手段を、慰謝料に関する影響と合わせて簡潔に示します。
- 任意整理(債権者と直接交渉して利息カット・分割等)
- 向くケース:比較的債務総額が少ない、給与が安定していて分割で対応できる場合。
- 慰謝料への影響:慰謝料が「分割で和解」できれば対応可。相手(請求者)が和解に応じなければ任意整理での解決は難しい。配偶者など身近な相手とは交渉が難しい場合もある。
- 長所:信用情報の回復が早い、手続きが柔軟。
- 短所:支払能力がないと成立しない、相手が和解を拒むと行き詰まる。
- 個人再生(民事再生、住宅ローン特則あり)
- 向くケース:住宅を残したい、複数の借金があり一定割合で返済可能な場合。
- 慰謝料への影響:裁判所の再生計画に基づく減額対象となることが多いが、慰謝料の性質や相手との関係によっては取り扱いが異なるため要確認。
- 長所:住宅ローン特則でマイホームを守れる可能性がある。
- 短所:一定額を返済する必要があり、可処分所得や収支計画の検討が厳密に行われる。
- 自己破産(免責によって債務を消滅)
- 向くケース:支払い能力が事実上ない場合、借金総額が大きい場合。
- 慰謝料への影響:多くの債務は免責の対象になりますが、慰謝料の原因が重大な不法行為や刑事事件に近い内容だと、裁判所が免責を制限・不許可とするリスクがある。債権者が反対して免責不許可事由を主張することもあり得る。
- 長所:根本的に債務が消える可能性がある。
- 短所:職業制限(一定の職種など)や財産の処分、信用情報への長期の登録などの影響がある。
3) どの方法を選ぶかの考え方(フローチャート的に)
- 慰謝料の相手が「配偶者・元配偶者」など親密で、感情的に和解が難しい → 法的手続きの選択を早めに弁護士と相談。任意整理は難しい可能性あり。
- 今後も仕事での資格や職業制限を避けたい → 個人再生や任意整理が検討候補。
- 支払い能力が全くなく、生活再建を最優先したい → 自己破産が選択肢。ただし慰謝料の原因次第で免責可否の検討必須。
- 慰謝料が裁判で確定している(強制執行が始まっている) → 強制執行対策(差押えへの対応)や早期の弁護士介入が必要。
4) 費用の目安(実務上の一般的なレンジ・概算。事務所により差があります)
注意:以下はあくまで目安です。事務所によって料金体系は大きく異なります。相談時に見積りを必ず確認してください。
- 任意整理
- 弁護士費用(債権者1社あたりの基準):3〜8万円(着手金+成功報酬を合算した目安)
- 全体の相場(債権者複数):10〜30万円程度(債権者数で増減)
- 手続き期間:3〜12か月程度
- 個人再生(住宅ローン特則を使う場合を含む)
- 弁護士費用:30〜70万円程度(事案の複雑性で幅がある)
- 裁判所費用・予納金等:数万円〜十数万円
- 手続き期間:6か月〜1年程度
- 自己破産
- 着手金・報酬(同時廃止か管財事件かで変わる):20〜50万円程度(管財事件になる場合は高め)
- 裁判所費用・予納金:数万円〜十数万円(管財事務手数料等)
- 手続き期間:3〜12か月程度(管財事件だとより長期)
5) 実例での費用・返済シミュレーション(例示)
ケースA:慰謝料500万円+カード・消費者ローン300万円=合計800万円、収入は手取りで月20万円、家賃あり
- 任意整理(仮に債権者数5社で和解できると仮定)
- 弁護士費用概算:1社平均5万円 × 5社 = 25万円
- 和解で利息カット・残額を48回払いにすると月支払額 = 約16.7万円(800万÷48)→ 現実的にこれは支払不能。任意整理は不可。
- 個人再生(再生計画で総額を3分の1に圧縮=約267万円を原則3〜5年で返済)
- 弁護士費用:40万円(仮)+ 裁判費用数万円
- 月返済(5年=60回)=約4.4万円/月(267万÷60)→ 生活収支次第で可能性あり
- 自己破産(免責が認められた場合)
- 弁護士費用:30万円 + 裁判費用数万円
- 月々の法的返済は不要(生活再建に専念)。ただし免責不許可リスクがある点は要注意。
ケースB:慰謝料200万円(まだ請求段階、裁判未確定)+カード100万円=合計300万円、手取り月30万円
- 任意整理
- 弁護士費用:債権者2社×5万円=10万円
- 和解で60回分割にし、利息カット=月平均5万円前後(実際は利息により変動)
- 収入的には現実的なケース
- 自己破産
- 迅速に手続きを終えれば債務全体が免除となる可能性。ただし慰謝料の原因によって異なるため要相談。
6) 慰謝料が非免責になる可能性がある主なケース(確認すべき観点)
- 被害者に対する重大な故意の不法行為や暴行・性的暴行等、刑事的評価が高い行為がある場合。
- 債務者が債権者に対して詐欺的に借金をした・資産隠しをした等、免責不許可事由に該当すると裁判所が判断する事情がある場合。
- 裁判で既に慰謝料が確定し、強制執行が進んでいる場合でも、状況により手続きの取り扱いが変わる。
注:上のポイントは「可能性がある」「場合による」という表現に留めています。最終的な判断は事実関係と裁判所の裁量によるため、事案ごとの確認が必須です。
7) まず今すぐやるべきこと(緊急度高→低)
- 債権者(慰謝料請求者)からの「督促書」「内容証明」「訴訟」(訴状)などはすべて保存する。コピーを用意。
- 裁判所からの書類(訴状、判決、差押通知など)が来たら即座に弁護士へ相談。
- 銀行通帳の直近3〜6か月分、借入の契約書・明細、給与明細(直近数か月分)、家計簿などを整理して相談に臨む。
- 相手(慰謝料請求者)とのやり取りは証拠として残す。示談交渉は一人で行うより弁護士を通すのが安全。
8) 弁護士(事務所)を選ぶときのチェックポイント
- 債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)に慣れているか、家事(離婚・慰謝料)事件との経験があるか。
- 慰謝料に関する取扱い実績があるか(特に配偶者や親族絡みの案件)。
- 費用が明確か(着手金・成功報酬・追加費用・分割払いの可否)。
- 初回相談が無料か、無料で見積りや簡易シミュレーションをしてくれるか。
- 面談の雰囲気や説明がわかりやすいか(対応の丁寧さ)。守秘義務・プライバシー管理を徹底しているか。
9) 相談時に必ず聞くべき質問(弁護士へのチェックリスト)
- 「私の事情だと慰謝料は自己破産で免責される可能性はどのくらいですか?」
- 「任意整理/個人再生/自己破産、どれが現実的ですか?それぞれの期間と費用の見積りをください」
- 「裁判や強制執行が既に始まっている場合の対応は?」
- 「弁護士費用は細かくどうなりますか?追加でかかる可能性のある費用は?」
- 「相談内容は秘密にされますか?家族に知られたくない場合の配慮は可能ですか?」
10) 最後に(行動を促す一言)
慰謝料が絡むケースは感情的にも複雑で、法的な判断が結果に大きく影響します。まずは一度、債務整理に実績のある弁護士事務所で無料相談を受けてください。事務所では個別事情に基づいた現実的な費用見積りと、慰謝料の免責可能性についての判断(リスクと見通し)を示してもらえます。準備資料(借入明細、通帳、給与明細、慰謝料請求の書類、示談書や訴訟関連書類)を持参すれば、より正確なシミュレーションが受けられます。
もしよければ、あなたの現状(債務総額、慰謝料の金額・発生経緯、収入・家計の状況、裁判や差押えの有無)を教えてください。概算シミュレーションと、相談時に優先的に確認すべきポイントを個別に整理します。
1. 自己破産と慰謝料の基礎知識 ― まず押さえておきたい基本ルール
自己破産や慰謝料は日常生活で出会うと混乱しやすいテーマです。ここでは基礎をかみくだいて説明します。
1-1 自己破産の基本的な仕組みと手続きの流れ
自己破産は、払えない借金(債務)について裁判所を通じて「免責」を受け、法的に返済義務をなくす手続きです。通常の流れは申立て→破産手続開始→資産の把握・換価→債権者配当→免責審尋(裁判所での審問)→免責決定というステップです。東京地方裁判所や大阪地方裁判所など各地裁で運用は似ていますが、実務上の扱い(提出書類や審尋のやり方)は裁判所ごとに差が出ることがあります。
1-2 慰謝料の性質と請求の仕組み
慰謝料は精神的損害(精神的苦痛)に対する金銭的賠償で、離婚に伴う慰謝料、不貞による慰謝料、交通事故の人身損害に伴う慰謝料などが含まれます。法律上は「不法行為に基づく損害賠償」か「契約に基づく債務」かで性質が異なり、破産手続での扱いもここが分かれ目になります。
1-3 免責とは何か。破産手続における意味と目的
免責は「支払義務を法的に免れる」こと。破産の目的は生活の再出発を支援することであり、一般的債務は免責の対象になります。一方で、免責の対象外や免責不許可事由に該当する債務は免責されない可能性があります。
1-4 慰謝料と免責の関係性(基本原則)
慰謝料が免責されるかは一概には言えません。原則としては「債務の法的性質」が重要です。
- 契約上の債務(契約違反に基づく損害賠償等)は一般に免責の対象になりやすい。
- 不法行為(故意・重過失のある行為)に基づく損害賠償は、裁判所がその事情を見て免責を許可しない(免責不許可)判断をすることがあり得ます。
たとえば、被害者との関係や加害行為の悪質性(故意性・継続性)が問題になることが多いです。
1-5 免責不許可事由と慰謝料に関わるケース
破産法上の免責不許可事由には「詐欺的な借入」「財産を隠した」「浪費・賭博による多額の負債」などがあり、これらがあると免責が制限されます。慰謝料を巡っては、加害者が故意に被害を与えた場合や賠償を免れようと財産隠匿をした場合など、免責不許可の判断につながるケースがあります。
1-6 実務上の留意点と専門家の活用の目安
自己破産で慰謝料問題が絡むと、手続き設計が複雑になります。私の経験では、慰謝料が関係する場合は申立て前に弁護士へ相談して、相手との和解・分割払いや裁判による確定債権化を検討することで、その後の手続きがずっとスムーズになります。法テラス(日本司法支援センター)を活用すれば、費用負担の軽減や窓口案内が受けられます。
1-7 裁判例の要点紹介(傾向)
裁判例では事案ごとに判断が分かれるものの、「慰謝料を免責させない判断」は通常、悪質な不法行為や免責申立時の虚偽申告などがある場合に出ています。各地裁の判断は事案の詳細事実に依存するため、類似事案の裁判例を確認することが重要です。
2. 破産手続きと慰謝料の実務的な扱い ― 申立前から免責までの具体プロセス
ここでは、破産申立て前の準備から、裁判所での審査、慰謝料がある場合の実務対応までを具体的に解説します。
2-1 申立前の準備と財産の申告ポイント
申立前には財産目録(預貯金、不動産、車、保険解約返戻金など)の作成が必須です。慰謝料請求が予想される場合は、相手方とのやり取り(請求書、示談書、裁判記録)を整理しておくこと。虚偽の申告や財産隠匿は免責不許可のリスクがあるため、正確に申告することが最重要です。
2-2 弁護士・司法書士の選び方と費用感の目安
慰謝料が絡む複雑事案では弁護士に依頼するケースが多いです。弁護士費用は地域や事件の難易度で差がありますが、着手金20〜30万円、報酬50万円〜が一つの目安(事案により上下します)。法テラスを介した無料相談や費用立替制度を活用できる場合もあるので、まずは法テラス東京や法テラス大阪などで相談するのがおすすめです。
2-3 債権者集会・財産目録の作成と注意点
破産手続では債権者集会で債権のリストが共有されます。慰謝料が確定していない紛争性のある債務は「将来債権・争いがある債権」として扱われ、裁判所や破産管財人の判断が必要になります。和解済みで確定した慰謝料は債権として記録されます。
2-4 慰謝料の分割・減額・和解の可能性と交渉の基本
免責に頼らず、和解で対応するケースも多いです。相手方に事情を説明して分割払いや減額交渉を行うと、裁判で確定せずに解決できるため破産手続への影響が小さくなります。和解書は証拠として重要なので弁護士を介して作成するのが安全です。
2-5 免責の可否判断に影響する要因と判断の流れ
判断要因は主に下記です。
- 被害行為の性質(故意性・悪質さ)
- 申立人の申告態度(虚偽や隠匿の有無)
- 被害者との和解の有無・内容
- 債権が確定しているかどうか(裁判判決・和解で明確化されているか)
これらを踏まえ裁判所は免責を許可するか否かを判断します。
2-6 生活再建計画と費用の見通し(家計の立て直し)
破産は終わりではなく再出発の手段です。再出発に必要なポイントは家計の見直し(家賃、保険、光熱費の見直し)、職探しの準備(履歴書、職務経歴書のブラッシュアップ)、公的支援の活用(生活保護や就労支援)です。私自身が関わった案件では、破産後の家計プランを弁護士と社会福祉士が一緒に作ることで再起成功率が高まりました。
2-7 ケーススタディ(東京での事例イメージ)
事例:30代男性、交際相手への不貞行為に伴う慰謝料請求20万円、同時に消費者金融への借入500万円。弁護士介入で慰謝料は示談で10万円分割払いに合意、破産申立てで主要借金は免責。結果、慰謝料は和解により負担を軽減でき、破産手続は円滑に進行しました(詳細は事案に依存)。
3. 実務リソースと専門家の活用 ― どこに相談すれば早く解決できるか
司法支援や弁護士会、裁判所の情報を使いこなすことが重要です。役立つ窓口と活用法を整理します。
3-1 法テラス(日本司法支援センター)の活用方法
法テラスは無料法律相談や費用立替制度を提供しています。初回相談が無料の場合があり、経済的に困窮している場合は弁護士費用の立替や分割支払い支援も相談可能です。法テラス東京や法テラス大阪の窓口を事前に確認して申し込みましょう。
3-2 日本弁護士連合会・各地の法律相談窓口(東京弁護士会・大阪弁護士会)
各弁護士会は相談センターを運営しており、案件の紹介や無料相談の案内をしてくれます。特に慰謝料が絡む民事紛争は弁護士の交渉力が結果を左右するため、複数の弁護士に相談して相性と費用を比較するのが賢明です。
3-3 裁判所・判例データベースの活用
最高裁判所や各地方裁判所の判例データベースで類似事案の裁判例を検索できます。裁判所の運用(財産目録の書式、提出期限)は各地方裁判所のページで確認してください。東京地方裁判所や大阪地方裁判所の破産手続案内は実務上の必須チェックです。
3-4 破産関連の公的ガイドライン・資料の探し方
破産法の条文解説、裁判所の破産手続マニュアル、法テラスのパンフレットなどが基礎資料です。財産目録のサンプルや免責審尋の流れは公式資料に詳しいので、それらを事前にダウンロードして準備すると、手続きがスムーズになります。
3-5 実務的な相談の受け方と費用感の見積もり
初回相談で事情を簡潔にまとめ、相手から来ている請求書ややり取りの記録を見せると具体的なアドバイスが得られます。費用感は事件の複雑さで変動しますが、示談交渉のみであれば着手金が低め、破産手続+慰謝料対応は総額が上がるため見積もりを複数取得することをおすすめします。
4. よくある質問(FAQ)と回答 ― 読者の疑問に丁寧に答えます
相談で頻出する疑問をQ&A形式で分かりやすく解説します。
4-1 Q:慰謝料を請求された場合、破産手続きに影響はあるのか?
A:影響はあります。慰謝料が確定済みの債権であれば破産手続で債権として扱われます。確定していない(紛争中)の場合は「争いがある債権」として扱われ、裁判所や破産管財人の判断が介入します。示談などで解決しておくと手続きが楽になります。
4-2 Q:慰謝料は免責対象になるか?
A:一概には言えません。慰謝料が契約性質の債務であれば免責されることが多いですが、不法行為に基づき被害が重大・悪質であるなどの事情があると裁判所は免責しない(免責不許可)判断をすることがあります。事案の個別性が強いため、弁護士に相談するのが確実です。
4-3 Q:離婚に伴う慰謝料と破産の関係は?
A:離婚慰謝料は慰謝料の一種です。離婚後に慰謝料請求が残っている場合、破産手続で扱われます。ただし、養育費や扶養義務とは別枠で議論される点に注意が必要です。養育費は多くの場合、免責されにくい(やむを得ない例外あり)ため、家族関係が絡む場合は必ず家事事件に対応した弁護士へ相談してください。
4-4 Q:破産後の養育費や生活費はどうなるのか?
A:養育費は子の利益に関わる継続的債務で、裁判所は慎重に扱います。一般に養育費は免責の対象になりにくいとの解釈が多いですが、例外や個別事情があるため弁護士とよく相談するべき分野です。生活費に関連する公的支援(生活保護等)は自治体窓口へ相談してください。
4-5 Q:申立てにかかる費用はどのくらいか?
A:申立てには裁判所費用(予納金)、弁護士費用(依頼する場合)、その他手続費用(書類作成等)がかかります。裁判所の予納金は債務額や案件によって異なります。法テラスでの費用立替制度や分割相談を活用すると負担を軽くできます。
4-6 Q:破産後に職業や資格で制限はあるか?
A:破産者に一部職業制限(例:一定の公選職や士業の兼業制限)が課される場合がありますが、日常的な会社員や多くの職業では制限は限定的です。職業復帰のための支援制度・ハローワークの活用も検討してください。
5. ケーススタディと実務の実践 ― 具体例で学ぶ現場対応
ここでは地域別・年代別の事例をもとに「何をいつやるか」を実務的に示します。個人が直面しやすいパターンを想定しています。
5-1 ケースA:30代男性・借金と慰謝料の同時対応(東京)
状況:消費者金融への借入500万円、交際相手からの慰謝料請求30万円。対応:申立て前に弁護士が示談交渉し、慰謝料を一括15万円に減額・和解。破産申立てを行い残債は免責。ポイントは「和解による債務の減少」と「申告の誠実さ」。東京地方裁判所での審理では、被害軽減措置が評価されました。
5-2 ケースB:40代女性・離婚と慰謝料の複合ケース(大阪)
状況:離婚協議中に夫から慰謝料請求、別の借金が複数。対応:離婚調停で慰謝料を確定させ(調停成立)、その上で自己破産申立て。調停で確定した慰謝料は破産手続での確定債権となります。大阪地方裁判所では、家族事情を重視する運用があり、養育費の支払継続に関する配慮がなされるケースがありました。
5-3 ケースC:50代自営業・免責をめぐる判断(名古屋)
状況:事業失敗で多額の負債と、過去の取引先への不法行為に関する民事賠償請求。対応:破産申立てをしたが、不法行為の悪質性が認められ免責が一部制限。名古屋地方裁判所の判断では、意図的な不正行為があると免責が認められにくい点が示されました。
5-4 ケースD:60代・年金生活者の生活再建(札幌)
状況:年金収入のみで、過去のトラブルによる慰謝料請求が残存。対応:法テラス札幌で相談し、生活状況を丁寧に示した上で破産申立て。結果、免責が認められ、最低限の生活保護ラインを確保したうえで年金と生活を再建。重要だったのは「生活の見通し」書類の整備でした。
5-5 ケースDの教訓と実務的アドバイス
- 早めに弁護士と相談すること(示談交渉や和解文書の作成が効果的)。
- 財産目録は正確に、隠匿は絶対にしない。
- 法テラスや弁護士会の相談窓口を使い、費用面を工夫する。
- 養育費や家族に関わる債務は特別な取り扱いになりやすいため、家事事件に慣れた弁護士を選ぶ。
6. 実務チェックリスト ― 申立て前に必ずやること
- 財産目録(通帳・不動産登記・保険・車・貴金属など)の作成
- 支払督促・示談書・裁判書類のコピーを整理
- 債権者リスト(消費者金融、カード会社、個人債権者)の作成
- 法テラスや弁護士会での初回相談の予約
- 家族・同居人への影響を整理(家族に内緒で進めると後で問題になるケースあり)
- 生活再建計画(住居、収入見込み、必要経費)を簡単に作成
私の経験から言うと、準備がしっかりしているほど破産手続はスムーズです。手元の資料を揃えて弁護士に見せるだけで、対応方針が明確になります。
7. まとめ ― 慰謝料と自己破産、現実的にどう動くべきか
長くなりましたが結論を端的に整理します。
- 慰謝料が自己破産で自動的に免責されるわけではない。債務の性質や事案の事情で扱いが変わる。
- 免責不許可事由(虚偽申告、詐欺的借入、悪質な不法行為等)があると免責されない可能性が高まる。
- 申立て前に和解・示談を試みることで慰謝料の減額や分割が可能な場合が多い。
- 弁護士と法テラスの活用が鍵。早期相談で手続の選択肢が増える。
- 破産は「再出発」の制度。家計の立て直しと公的支援の活用も重要。
最後に一言。私自身、相談を受けたケースで「怒り」や「恥ずかしさ」から相談を先延ばしにしてしまい、問題が大きくなったケースを何度も見ています。まずは専門家に話してみること。そこから解決策が見えます。あなたの最初の一歩が再出発への鍵になります。
よくある追加質問(短めの補足)
Q:破産で慰謝料の債務が残ったらどうなる?
A:免責されなかった慰謝料は破産後も債務として残ります。分割払いや差押えの可能性があるため、弁護士と返済計画を作るのが現実的対応です。
Q:示談書はどのように作れば安全?
A:弁護士が作成・確認した示談書が最も安全です。文言で「免責待ち」「破産手続の終了条件」などの条項を入れる場合は専門家必須です。
債務整理 例を徹底解説|任意整理・個人再生・自己破産の実例と費用・手続きの流れ
出典・参考(本文中では参照のみ、詳細資料は以下で確認してください)
- 破産法(主要条文・解説) — 法務省関連資料
- 日本司法支援センター(法テラス)公式案内 — 法テラス東京/法テラス大阪の窓口情報
- 最高裁判所 判例検索システム(破産・免責関係の判例)
- 各地裁(東京地方裁判所、大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所、札幌地方裁判所)の破産手続案内ページ
- 日本弁護士連合会および各弁護士会の相談窓口案内
(上記の公式資料で最新の運用や具体的な手続案内を必ずご確認ください。個別の事案は事実関係により結論が変わるため、最終的には弁護士に相談してください。)