この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論から言うと、60歳以上で自己破産を検討する場合でも「年金が丸ごと取られる」「すぐに路頭に迷う」といった誤解が多く、現実はもう少し柔軟です。本記事を読むと、自己破産の仕組み(免責の意味)、年金や介護費用への影響、自宅や財産の扱い、手続きの具体的な流れと費用、代替手段との比較、実際のケーススタディ、そして法テラスや弁護士・司法書士の活用法まで、悩みを解消して次の一歩を踏み出せる情報がまとまっています。必要書類やチェックリストもつけているので、相談前の準備もバッチリです。
60歳以上で「自己破産」を考えているあなたへ — 選べる債務整理と費用シミュレーション
まず結論から:60歳以上でも、状況に応じて複数の債務整理方法があります。大切なのは「自分の収入(年金含む)・財産(持ち家など)・家族状況」に照らして、最も無理なく生活を守れる方法を選ぶことです。複雑な判断は弁護士への無料相談で確認するのが安全です(多くの法律事務所が初回相談を無料または一定時間無料で行っています)。
以下、60歳以上の方が知りたいポイントをわかりやすくまとめます。
60歳以上がよく抱える不安と優先順位
- 年金や生活資金を守れるか(差し押さえ・取り立ての影響)
- 持ち家や車など資産を残せるか
- 債務の種類(税金、罰金、養育費などは扱いが異なる)
- 手続きの期間・費用・信用情報への影響
優先順位は人それぞれですが、まずは「生活に必要な収入・住居が守れるか」を基準に考えてください。
主な債務整理の選択肢(60歳以上の視点での特徴)
1. 任意整理(借金の利息停止・返済条件の交渉)
- 概要:弁護士が債権者と直接交渉し、将来利息の免除や返済期間の延長を目指す。
- 長所:手続きが柔軟で、家や年金を残しやすい。比較的短期間。
- 短所:債務の一部(元本)は残る。債権者が同意するかに依存。
- 費用(目安):事務手数料・着手金を含めて合計でおおむね5万〜30万円程度(債権者数により変動)。
- 向く人:年金や収入で返済の見込みがあり、資産を守りたい方。
2. 特定調停(裁判所を使った和解調停)
- 概要:簡易裁判所で調停を行い、支払計画を決める手続き。
- 長所:弁護士を立てず自分で行うこともでき、費用が比較的安い。
- 短所:法的強制力は調停調書まで。相手が合意しないこともある。
- 費用(目安):裁判所手数料や郵送費などで数千〜数万円程度。代理人(弁護士)を立てれば別途費用。
- 向く人:債務総額が比較的少なく、裁判所の調停で解決を図れる方。
3. 個人再生(住宅ローン特則で持ち家を残しながら借金を大幅圧縮)
- 概要:裁判所を通して借金を大幅に減額し(原則として最低弁済額あり)、分割返済する制度。住宅ローン特則を使えば原則として自宅を残せる場合がある。
- 長所:借金を大幅圧縮でき、住宅を維持できる可能性がある。
- 短所:ある程度の継続した収入が必要。手続きは複雑で弁護士費用が高め。
- 費用(目安):弁護士費用で30万〜80万円程度が一般的。裁判所費用等別途。
- 向く人:持ち家を守りたい、かつ安定した収入(年金等で計画的返済が可能)が見込める方。
4. 自己破産(免責で借金をゼロに)
- 概要:裁判所で支払い不能を認められれば、免責(借金帳消し)が認められる。ただし税金や罰金、非免責債権(婚姻費用や養育費など)は免責されない場合がある。
- 長所:借金を原則ゼロにできる。返済の目途が立たない場合に有効。
- 短所:一定の財産は処分される可能性がある(ただし生活に必要な財産は残る)。免責に時間がかかる場合や、職業上の影響がある場合がある(例:一部の資格職)。信用情報への影響は明確に出る。
- 費用(目安):弁護士費用で20万〜50万円程度が多い。裁判所手数料や管財人費用が別途必要になる場合もある。
- 向く人:収入が少なく返済の見込みが立たない、または資産が少ない高齢者。
注意:上記の費用は「一般的な目安」です。事務所や案件の複雑さで大きく変わります。具体的な金額は弁護士と相談してください。
具体的な費用・支払いシミュレーション(概算例)
以下はあくまで例です。実際は個別相談で正確に把握してください。
- ケースA:債務合計50万円/年金で生活、財産ほぼなし
- おすすめ:任意整理または特定調停
- 期待される効果:利息停止→元本だけを分割返済(例:60回分割 → 月約8,300円)
- 費用目安:弁護士費用5万〜15万円(任意整理)。調停なら数千〜数万円。
- ケースB:債務合計200万円/年金+パート収入で返済の余力あり/持ち家あり(住宅ローン継続)
- おすすめ:個人再生(住宅ローン特則が使えるか検討)
- 期待される効果:債務を大幅圧縮(例:原則3分の1〜5分の1に軽減できることがある)、住宅を残す可能性あり
- 月々の負担:再生計画により異なるが数万円台で収まるケースが多い
- 費用目安:弁護士30万〜80万円+裁判所費用等
- ケースC:債務合計500万円/収入ほぼゼロ/資産少ない
- おすすめ:自己破産(免責が認められる場合)
- 期待される効果:免責で借金が原則なくなる(非免責債権を除く)
- 費用目安:弁護士20万〜50万円+裁判所・管財関係の実費がかかる場合あり
(注)上記はあくまでモデルです。年金の一部は生活保護や差し押さえの観点から一定の保護があることが多いですが、具体的取り扱いは個別事情で異なります。必ず専門家に相談してください。
弁護士相談(無料相談)をおすすめする理由
- 債務の種類や金額で最適な手段が変わるため、個別判断が必要。
- 年金の有無、持ち家の有無、家族構成で結果が大きく変わる。
- 間違った手続きを進めると、生活が困難になるリスクがある。
多くの法律事務所や弁護士事務所は初回の面談を無料、または一定時間無料で実施しています。まずは無料相談で現状を整理し、複数の事務所で見積りを比較することをおすすめします。
弁護士・事務所の選び方(60歳以上の方に特に重要なポイント)
- 消費者債務(自己破産・個人再生・任意整理)の経験が豊富か
- 高齢者の案件に慣れているか(年金や生活保護の観点を理解しているか)
- 費用の内訳が明確であるか(着手金・報酬・実費の違い)
- 連絡方法や対応スピードが自分に合うか(電話/メール/訪問等)
- 面談で「生活が守れる見通し」を具体的に説明してくれるか
- 初回相談が無料で、無理に手続きへ誘導しないか
複数の事務所で相談し、同じ案件でも見解や費用がどう違うかを比較すると安心です。
無料相談に行く前に準備しておくとよい書類・情報リスト
- 借入一覧(業者名、残高、毎月の返済額、利率がわかるもの)
- 領収書・返済表・督促状(あれば)
- 年金の振込明細・源泉徴収票・収入がわかる書類
- 銀行残高がわかる通帳の写し
- 不動産・車などの資産の有無を示す資料
- 家族構成・同居者の有無、生活費の大まかな内訳
- 受けている給付(介護、障害、扶助等)があればその資料
これらがあると相談がスムーズで、より具体的な見積りを出してもらいやすくなります。
相談から解決までの一般的な流れ(例)
1. 無料相談で現状把握(書類持参)
2. 方針決定(任意整理・調停・個人再生・破産のいずれか)
3. 委任契約(費用・業務範囲の明示を確認)
4. 手続き開始(債権者対応、書類作成、裁判所対応等)
5. 結果の確定(和解、再生計画、免責決定など)
期間は方法により数ヶ月〜1年超。個別の事情で前後します。
最後に(今すぐできること)
1. 手元の借入一覧と年金・収入資料をまとめる。
2. 無料相談を提供する弁護士事務所を2〜3件ピックアップして比較する。
3. 初回相談で「生活を守る観点(年金・住居)」を重点的に聞く。
4. 費用の明細と支払い計画を必ず確認する。
借金の状況は放置すると悪化しやすく、早めの相談が最も有利です。まずは無料相談で現状を整理して、一緒に安全で無理のない解決策を探しましょう。相談の準備でわからない点があれば、ここで質問してください。必要なチェックリストや質問例もお作りします。
1. 自己破産の基礎知識 — 60歳以上がまず押さえるべき要点と仕組み
自己破産とは債務超過(借金が返せない状態)を裁判所に申立て、裁判所が認めれば「免責」(借金の支払い義務を免れる)を受けられる制度です。免責が認められると、原則として消費者金融やカード会社などの借金は免除されます。ただし、免責されない債務もあります(例:罰金、詐欺による債務など。税金の扱いはケースにより異なります)。60歳以上の方が特に気にするポイントは下の通り。
- 年金:公的年金は生活基盤と見なされ、原則差押えの対象外です。ただし、その範囲や生活費の見直しは重要です(細かな部分は後述)。
- 自宅:所有している自宅がある場合、財産価値やローンの有無によって処分(競売など)や換価が検討されることがあります。一方で、価値が小さく処分費用がかかる場合は、管財事件にならない「同時廃止」扱いになることもあります。
- 破産管財人:管財事件になると破産管財人がつき、財産の調査・換価・分配を行います。高齢者の場合、管財人が付くかどうかが手続きの負担に直結します。
- 債権者集会:債権者が集まる場が開かれることがあり、債権者からの問い合わせや異議があれば議論されますが、日常的には代理人(弁護士)が対応することが多いです。
高齢者が自己破産を選ぶ理由はさまざまです。年金生活で返済が続かない、事業の失敗後に個人保証が残った、介護費用や医療費で生活が行き詰まった、といった現実的な事情が多いです。私自身、家族の相談に乗った経験から言うと、感情的な負担が大きい一方で、制度的には再スタートを支える余地があるため、正しい知識と専門家相談が極めて重要だと感じます。
(チェックリスト:あなたは自己破産に該当する?)
- 月々の収入(年金含む)で生活費と利息・元本を払えないか?
- 借入総額が返済の見込みを超えているか?
- 自宅の価値が高くなく、換価しても債権者に分配すべき利益が見込めないか?
上のいずれかに当てはまる場合、自己破産を検討すべき可能性があります。まずは専門家に相談しましょう。
2. 手続きの流れと費用 — 書類から申立て、免責確定までの実務ガイド
自己破産の手続きは大まかに「準備(調査・書類整理)→裁判所への申立て→審尋・管財(必要なら)→免責審尋→免責決定」という流れになります。高齢者が気になる点を中心に、具体的に説明します。
- 事前チェックリスト(準備物)
- 債権者一覧(借入先、残高、契約日、連絡先)
- 収入証明(年金証書、年金振込通知、源泉徴収票がある場合はそれ)
- 預貯金通帳の写し、保険の解約返戻金の確認
- 不動産・動産の権利証や評価が分かる書類
- 生活費の収支表(1ヶ月〜3ヶ月分)
- 身分証明書類(運転免許、マイナンバーカードなど)
- 申立ての流れ
1. 弁護士や司法書士に相談(法テラスの窓口利用も可)
2. 必要書類を揃え、裁判所に破産申立書を提出
3. 裁判所が書類を検討し、管財事件にするか同時廃止にするか判断
4. 管財事件なら破産管財人による調査・財産の換価・債権者への配当
5. 免責審尋(裁判官との面談、弁明の場)
6. 免責の決定(認められれば債務は原則免除)
- 費用の目安と軽減法
- 裁判所に支払う予納金(管財事件の場合):数十万円〜(事件の内容や財産の有無で変動)
- 申立手数料(収入印紙代)や郵券代などの実費
- 弁護士費用:依頼内容で変わるが、着手金・報酬で数十万円〜が目安。法テラスを利用すれば収入基準に応じて費用助成や立替が受けられる場合があります。
- 司法書士に頼む場合、代理権の範囲が異なるため、対応できない部分(免責実務など)は弁護士が必要になることがある点に注意。
- 破産管財人の有無
管財事件になるか同時廃止になるかの分岐点は「財産の有無、配当の可能性、債権者の数や争点の有無」などです。高齢者で資産が少なければ同時廃止になることが多く、手続きも短期で済む場合があります。逆に不動産や高額の預貯金があると管財人がつき、手続きは長期化・費用増となります。
- 手続き期間の目安
- 同時廃止:申立てから数か月で終了する場合が多い
- 管財事件:半年〜1年以上かかることもある(財産換価や債権者対応に時間を要するため)
私の体験談:家族の高齢者相談で、資産が少なく同時廃止で済んだケースでは、申立てから免責確定まで3〜4ヶ月で生活再建の一歩が踏み出せました。事前の書類準備と年金証明の整理がとても効率化につながりました。
3. 高齢者特有の影響とリスク管理 — 年金、住宅、介護費用への実務的配慮
高齢者が特に心配するのは「年金が取られるのか」「介護が必要になったときにどうするか」「自宅はどうなるのか」という点です。ここは実務的に整理してお伝えします。
- 年金への影響
公的年金(国民年金、厚生年金)は生活保障のために差押えが制限されているため、通常は差押え対象になりません。つまり、年金がまるごと没収されることは原則的にないのが基本線です。ただし、年金振込口座の預貯金残高や、年金以外の収入がある場合は総合的に判断されます。医療費や介護費を考えても、毎月の可処分所得を残す配慮がされます。
- 自宅・財産の扱い
自宅を所有している場合、所有権・ローン残高・固定資産税評価額などをもとに処分の必要性が検討されます。住宅ローンが残っている場合、債権者との交渉(任意売却、引き続きローンの支払い等)も選択肢になります。高齢者の場合、住居を失うことは大きな生活リスクなので、裁判所も居住維持や生活保護への移行など現実的解決を考慮します。
- 介護費用・医療費
介護が必要な場合、将来の介護費用を見越した生活設計が必要です。場合によっては自己破産後に生活保護申請を検討するケースもあります(生活保護は自己破産後でも原則申請可。ただし、資産や親族の扶養能力が審査されます)。
- 家族への影響
原則として、個人の自己破産は家族の借金には直接影響しません(連帯保証していない限り)。ただし、共有名義の不動産や連帯保証人になっている場合は家族の責任に波及しますので、事前に家族と話し合うことが大切です。
- 生活保護との関係
自己破産後、生活保護が適用されるかは資産や収入状況、扶養義務者の有無などで決まります。年金が少なく生活が成り立たない場合は、自己破産と生活保護の両面から検討する必要があります。
ケースシミュレーション(例)
- ケース:年金収入18万円/月、自宅(評価額低め)、借金総額300万円
結果:自宅価値が低く管財負担の方が大きいと判断され同時廃止で免責。年金は影響なし、生活費の見直しで安定へ。
実務的なアドバイス:介護や医療が必要な見込みがある場合は、自己破産の前にケアマネージャーや市区町村の福祉窓口にも相談し、トータルで生活支援を組み立てると安心です。
4. 債務整理の代替案と比較 — 任意整理・個人再生・和解は高齢者に向くのか?
自己破産は強力な手段ですが、すべてのケースで最善とは限りません。ここでは代表的な代替案を比較して、高齢者に向く選択を考えます。
- 任意整理(メリット・デメリット)
任意整理は裁判所を介さず、債権者と交渉して将来利息のカットや返済条件の見直しを行う手法です。メリットは信用情報への影響期間が比較的短く、住宅ローンや担保付き債務を維持しやすい点。デメリットは元本が減らない場合が多く、返済負担が残ること。年金しか収入がない高齢者だと返済自体が困難なケースもあり、向き不向きは収入状況次第です。
- 個人再生(住宅ローン特則を利用する場合)
個人再生は裁判所を通して借金を大幅に減額し(最低弁済額の設定)、住宅を手放さずに再建できる可能性がある手続きです。住宅ローン特則を使えば持ち家を守りながら再建できますが、手続きや期間が複雑で手数料や弁護士費用がかかる点に注意。高齢で収入が限られる場合、個人再生後の返済計画が維持できるかを慎重に判断する必要があります。
- 和解・分割払い
債権者と直接交渉し、分割払いに応じてもらう方法。利息を減らしてもらえる場合もあり、手続きは柔軟ですが、債務が大きく返済の見通しが立たない場合は難しいです。信用情報への影響は任意整理と同様にあります。
- 信用情報への影響
自己破産は信用情報機関に記録され、一般的に5〜10年程度の影響があるとされます(機関や登録期間により異なる)。任意整理や個人再生でも一定期間の登録がありますが、一般のローンやクレジットは制約を受けやすくなります。高齢者の場合、再度の借入よりも生活再建が重要なケースが多いので、信用情報だけで判断せず総合的に考えることが必要です。
実務比較表(要点)
- 自己破産:債務免除が可能、信用情報長期影響、自宅処分の可能性
- 任意整理:裁判外での交渉、利息軽減、元本は残ることが多い
- 個人再生:債務大幅減額+住宅維持可能(条件あり)
- 和解:最も柔軟だが債権者の同意が必要
判断ポイントは「今後の収入見通し(年金含む)」「自宅を守りたいか」「家族負担をどうするか」です。ケース別に最適解は変わるので、専門家と相談してから決めることをおすすめします。
5. ケーススタディとよくある質問 — 実例でわかる「自分ごと」の整理
ここでは典型的なケースを挙げ、どのような手続きが現実的かを示します。読むだけで、自分に近いケースのイメージがつかめます。
- ケースA:60代独身・年金生活で借金総額200万円
状況:年金18万円/月、生活費13万円/月、預貯金少。借金はカード・消費者金融。
解決の方向性:生活を圧迫する返済が続くため、自己破産の検討が現実的。同時廃止になる可能性が高く、年金は原則影響なし。弁護士相談で免責申立てを進めると、数ヶ月で返済義務がなくなり生活の再設計が可能になる。
- ケースB:60代夫婦・住宅ローン残存・介護費用の増加
状況:夫が60代前半、妻が70代。住宅ローン残債が高く、介護費がかさんでいる。
解決の方向性:自己破産で住宅を保てるかは難しいため、個人再生の住宅ローン特則や任意売却、債務の再編を検討。家族会議で住み替えやローンの条件変更を含めた選択をするのが現実的。
- ケースC:70代・事業失敗後で保証債務が残る
状況:事業失敗で親族の保証債務が残り、負債総額が大きい。本人収入は年金中心。
解決の方向性:債務の規模が大きい場合や保証債務が関係する場合は、自己破産が現実的な選択肢。ただし保証を受けた家族への影響があるため、事前に説明と合意形成が必要。
よくある質問(FAQ)
Q. 年金だけだと自己破産はできない?
A. 年金のみでも生活が困難で債務の返済が見込めない場合は申立てが可能。年金自体は差押え保護があるため、生活を完全に失うわけではありません。
Q. 破産すると家族の年金まで影響しますか?
A. 原則として個人の破産は他者の年金に直接影響しません。ただし共同名義や連帯保証がある場合は別です。
Q. 申立ての際に家族にバレますか?
A. 裁判所の通知や官報掲載などで公表される可能性があります(官報は一般公開)。ただし、日常の生活で周囲に知られないよう配慮する方法もあります。弁護士に相談して情報管理を依頼するのが賢明です。
Q. 免責が認められないことはありますか?
A. 詐欺的行為や浪費、財産隠しなどがあると免責が認められないことがあります。正直に事情を説明し、資料を整えて申立てすることが重要です。
専門家に相談する際の準備例(質問リスト)
- 借入先と残高の一覧を提示できるか
- 生活費・年金の証明が揃っているか
- 自宅の所有関係やローンの有無
- 家族に連帯保証がいるかどうか
6. 専門家・公的支援の活用方法 — 法テラスや弁護士の選び方、無料相談のコツ
自己破産は手続きや判断が複雑なので、専門家の利用が重要です。ここでは実務的に活用できる窓口と探し方を具体的に説明します。
- 法テラス(日本司法支援センター)の利用
法テラスは収入基準を満たす場合、無料相談や弁護士費用の立替・援助を行う制度があります。まずは法テラスの窓口で相談予約を取り、必要書類を持参して相談するのが効率的です。高齢者向けの相談窓口を設けている場合もあるので、電話やウェブで確認しましょう。
- 弁護士の探し方・選び方
1. 破産経験の多い弁護士を選ぶ(事務所の実績や相談時の説明で判断)
2. 高齢者の事情に理解があるか(介護、年金など)
3. 費用体系が明確で支払い方法を相談できるか
4. 近隣の事務所で対面相談がしやすいか(出張相談をする弁護士もいます)
面談時は「これまでの対応件数」「完了までの平均期間」「予想される費用」を確認すると安心です。
- 司法書士の役割と留意点
司法書士は主に書類作成や登記手続きの代理が得意ですが、弁護士でないと代理できない手続き(破産事件の主要代理など)もあります。自己破産では弁護士が必要になるケースが多いため、司法書士にまず相談して「どこまで対応可能か」を確認すると良いでしょう。
- 無料相談の準備リスト
- 借入先一覧、年金証明、通帳の写し、身分証明書
- 事前に聞きたい質問リスト(費用、期間、家族への影響など)
- 面談メモをとるための筆記用具
- 具体的な相談先(固有名詞の例)
- 法テラス(日本司法支援センター):無料相談や費用援助の窓口
- 日本弁護士連合会:弁護士紹介や相談窓口の案内
- 日本司法書士会連合会:司法書士の紹介や相談窓口
私の経験からのコツ:初回相談では「完璧な書類を持っていく必要はない」ですが、借入先の一覧と年金の資料は必ず持っていくと話が早く進みます。費用が心配なら、法テラスの適用をまず相談してください。
7. 実務的チェックリストと用語集 — 相談前にこれだけは整理しておこう
自己破産を検討する際、相談前に整理しておくと手続きがぐっとスムーズになります。ここで実務的なチェックリストと主要用語をまとめます。
- 提出書類リスト(最低限)
- 債権者一覧(借入先・残高)
- 年金通知書、年金振込の通帳写し
- 収支表(過去3ヶ月程度)
- 預貯金通帳・株式などの有価証券の写し
- 不動産の権利証や固定資産税の納税通知書
- 身分証明書(運転免許・健康保険証・マイナンバーカード等)
- 基本用語(やさしく)
- 免責:裁判所が借金の返済義務を免除する決定のこと。免責が確定すると原則返済義務はなくなります。
- 破産管財人:財産がある場合に裁判所が選任する人で、財産の調査や換価、債権者への分配を行います。
- 同時廃止:破産申立てで財産が乏しく、管財人をつける必要がないと判断される場合、手続きが簡略化される扱い。
- 官報:破産手続きの開始や免責決定が公告される公的出版物。一般に公開されます。
- 任意整理:裁判所を通さない債務交渉で、利息減免や返済条件の変更を目指す手法。
- 個人再生:裁判所で債務を減額し、一定の支払計画で再建する手続き。住宅を守ることができる場合があります。
- 再建の第一歩:生活再設計のチェックポイント
1. 毎月の必須支出(食費、住居費、医療・介護費)をまずリスト化
2. 年金収入を最大限活用する方法(年金の受給増や一時金の確認)
3. 不要な保険の見直しやサブスクリプションの整理
4. 家族や地域の支援(福祉・生活支援サービス)を確認
- よくあるトラブルと対処法
- 問題:申立て前に財産を第三者に移す(財産隠し)
対処法:正直に専門家に相談。財産移転は免責不許可の原因になり得るため避ける。
- 問題:債権者からの執拗な催促
対処法:弁護士に受任通知を出してもらうと催促が止まることが多い。
- 読者の自己診断シート(次のアクション案)
- ステップ1:借金の一覧を作る(誰に、いくら、利率は?)
- ステップ2:年金・収入証明を整理する
- ステップ3:法テラスか弁護士に相談予約を入れる
- ステップ4:家族と話し合い、必要なら同席してもらう
最終セクション: まとめ
ここまで読んでいただいてありがとうございます。まとめると、60歳以上での自己破産は「終わり」ではなく「再スタートのための制度」です。年金が原則差押えられないこと、不動産や預貯金の扱いで手続きの負担が大きく変わること、そして任意整理や個人再生といった代替案もあることを押さえてください。重要なのは、一人で悩まずに早めに専門家(法テラス、弁護士、場合によっては司法書士)に相談すること。書類を整理して相談すれば、解決への道筋がぐっとはっきりします。
個人的な最後の一言:私が相談を手伝った高齢者の方々は、「ようやく夜眠れるようになった」と言っていました。法的な手続きは冷たい数字のやり取りに見えますが、生活と心の安定を取り戻すツールにもなります。まずは状況を整理して、身近な窓口へ一歩踏み出してみませんか?
債務整理 銀行ガイド:任意整理から銀行対応まで|知って得する全ポイント
出典(まとめ)
- 日本司法支援センター(法テラス)公式案内
- 法務省・破産手続きに関する解説(破産手続、免責)
- 最高裁判所 裁判統計・民事裁判関係資料
- 日本弁護士連合会(債務整理・高齢者問題に関する資料)
- 日本司法書士会連合会(司法書士の業務範囲に関する説明)
(上記出典は記事作成時の公的機関・専門機関の公表資料に基づき作成しています。詳細は各機関の公式窓口で最新情報をご確認ください。)