この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論:差し押さえに関する陳述書は「事実を時系列で、証拠に紐づけて」「主張は簡潔に」「署名と添付書類を整える」ことが最重要です。本記事では、東京地方裁判所・大阪地方裁判所などの実務を踏まえた具体的な記入例(テンプレ)、提出の流れ、注意点、よくある失敗と回避策、弁護士や法テラスへ相談すべきタイミングまで、初心者が今すぐ使える形で整理しています。この記事を読めば、陳述書の書き方がわかり、自力作成か専門家依頼かの判断材料も得られます。
「差し押さえ 陳述書 記入例」から始める:差押えに直面したときの対処法と最適な債務整理プラン(費用シミュレーション付き)
差押え(給料・預金・動産など)を通知されると焦りますよね。まず押さえておきたいのは、「陳述書」はあなたの生活実態や資産状況を説明して差押えの解除・保留・分割払等の配慮を求める重要な書面だということです。本記事では、陳述書の役割・書き方の記入例、必要書類、差押え後に考えられる債務整理の選択肢とその目安費用(シミュレーション)、弁護士無料相談の受け方と弁護士・サービスの選び方まで、実際的に動ける手順で解説します。
注意:以下の金額や所要期間は一般的な目安です。事案や事務所によって変わるため、必ず相談先で確認してください。
目次
- 陳述書とは何か?いつ・誰に出すか
- 陳述書の書き方(構成とポイント)+記入例テンプレート
- 陳述書に添付すべき資料
- 差押え後に検討する債務整理の種類と向き不向き(メリット・デメリット)
- 費用の目安と簡単シミュレーション(3つの事例)
- 相談先の選び方(弁護士/司法書士/債務整理業者の違い)
- 無料法律相談の賢い使い方と、相談時の持ち物・質問リスト
- 今すぐやるべき3つの行動
陳述書とは何か?いつ・誰に出すか
- 陳述書は「私はこういう生活で、これだけの収入・支出・資産しかありません」と説明する文書です。差押えを行った執行官や裁判所に提出して、差押えの解除や一部免除、支払猶予などの配慮を求めます。
- 差押えの通知(差押予告や執行通知)を受け取ったら早めに作成します。放置すると預金が引き出せなくなる、給与が差し押さえられるなど生活に直結するため、到着後すぐに動くのが重要です。
- 陳述書は事実に基づいて正直に記載してください。虚偽の申告は法的に問題になります。
陳述書の書き方(構成とポイント)
基本的な構成(例)
1. 書面のタイトル:「陳述書」
2. 提出日、提出先(執行官名/裁判所名)
3. 作成者の氏名・住所・連絡先・生年月日
4. 差押えの情報(債権者名、執行番号や通知書の日付など)
5. 家族構成・扶養者の有無
6. 収入の内訳(給与、年金、手当など)と金額(直近数か月)
7. 支出の内訳(家賃、光熱費、保険料、教育費、医療費など)と金額(毎月)
8. 保有資産の明細(預金口座の残高、車、家財、株式など)
9. 債務の一覧(債権者、借入残高、返済状況)
10. 差押えによる生活影響の説明(生活維持が難しい具体的事情)
11. 要求(例:当面の差押えの解除、分割払への変更、一定の生活費は差押禁止にする等)
12. 添付資料一覧
13. 署名・押印
記載のポイント
- 数字は具体的に。一月あたりの平均額を示すと分かりやすい。
- 預金は口座ごとに残高と日付を記載する(通帳の写しを添付)。
- 医療費や特別な支出がある場合は証明書類を添付して説明する。
- 「生活できない」だけでなく、具体的にどの支出が削れないかを示す(家賃、通院費、子どもの教育費等)。
- 要求は現実的に。全額免除を求めるより、まずは猶予や分割を求める方が通りやすい。
陳述書 記入例(テンプレート)
(以下は記入例/テンプレートです。必要に応じて書き換えてください)
陳述書
提出日:2026年○月○日
提出先:執行官(または○○裁判所執行官殿)
作成者:氏名 ○○ ○○(フリガナ)
住所:〒####
電話:
生年月日:
1. 差押え通知の内容
- 債権者:△△株式会社
- 執行番号(通知日):令和○年○月○日付 執行通知第▲▲号
2. 家族構成
- 同居家族:配偶者(有無)、子ども(年齢)、その他扶養者の有無
3. 収入
- 勤務先:○○会社(業種)
- 給与(手取り):月額約△△円(直近3か月の平均)
- その他収入:年金(月額○円)、アルバイト収入等(あれば金額)
4. 支出(毎月)
- 家賃:○○円
- 食費:○○円
- 光熱費:○○円
- 保険料:○○円
- 通院費(医療費):○○円(領収書添付)
- その他固定支出:○○円
5. 資産(保有状況・残高)
- 銀行A(普通)残高:○年○月○日時点で△△円(通帳コピー添付)
- 車:○年式、ローン残高△△円(車検証写し・ローン明細添付)
- その他:家財、保険解約返戻金見込み等
6. 債務(一覧)
- 債権者A:借入残高△△円、返済状況(毎月○円返済)
- 債権者B:過去の過払いなど(あれば)
7. 差押えによる支障
- 差押えにより預金が利用できず家賃の支払いが困難になっています。生活費が不足するため、子どもの学校費用の支払いにも影響が出る見込みです。
8. 要請
- 当面の生活資金確保のため、当該預金口座から生活に必要な以下の金額(家賃、生活費、医療費等)を差押え対象から除外、もしくは差押えの一時保留(×ヶ月)をお願いします。
- 上記が困難な場合は、分割払いでの和解交渉の機会を設けていただけますようお願いいたします。
添付書類一覧
- 通帳写し(直近入出金記録含む)
- 給与明細(直近3か月)
- 家賃契約書
- 医療費領収書
- 家族の住民票(世帯確認)
作成者署名:
(押印)
陳述書に添付すべき資料(チェックリスト)
- 通帳のコピー(口座残高がわかるページ、直近入出金)
- 給与明細(直近3か月)
- 源泉徴収票または年金決定通知(年収証明)
- 家賃契約書(家賃額が分かるもの)
- 医療費の領収書や診断書(通院中なら)
- 保険契約書やローン明細(残高が分かるもの)
- 住民票(家族構成確認)
- 可能なら家計簿や月ごとの支出一覧
これらを揃えると、陳述書の説得力が高まり、執行官や裁判所側も判断しやすくなります。
差押え後に検討する主な債務整理の種類(向き不向きとポイント)
ここでは日本で一般的な主な手続きを簡単に説明します。
1) 任意整理
- 概要:弁護士が債権者と直接交渉して、利息カット・返済期間の延長などの和解を目指す方法。
- 向くケース:収入があり、原則として借金の一部または利息負担の軽減で生活再建が可能な場合。
- メリット:裁判を使わないため手続きが比較的早く、信用情報への影響を最小に抑えられる場合もある。
- デメリット:債権者全てが同意するとは限らない。債務自体の大幅圧縮は難しい場合がある。
2) 特定調停(簡易裁判所での調停)
- 概要:裁判所を通じて債権者と分割返済の調整を行う手続き。
- 向くケース:複数の小口債務があるが任意整理ではまとまらない場合や、裁判所の仲介を希望する場合。
- メリット:申し立て費用が比較的安価で済む。
- デメリット:調停が成立しないと次の手続きが必要になることがある。
3) 個人再生(民事再生)
- 概要:裁判所を通じて返済負担を大きく減らし(一定割合または最低弁済額まで)、住宅ローン特則を利用して自宅を残すことも可能。
- 向くケース:住宅を残したい、借入が多く任意整理では対応できない場合。
- メリット:債務総額を大幅に削減できる可能性がある。住宅ローンを保護しつつ再建可能。
- デメリット:手続きが複雑で費用と時間がかかる。一定の要件(継続した収入など)が必要。
4) 自己破産
- 概要:裁判所により免責(借金の支払義務の免除)を受ける手続き。
- 向くケース:返済の見込みがなく、再スタートを切る必要がある場合。
- メリット:免責が認められれば原則として借金の支払い義務がなくなる。
- デメリット:一定の財産は手放す必要がある場合があり、職業制限や社会的影響(信用情報)も大きい。手続き上の説明義務がある。
費用の目安(一般的な範囲、事務所差あり)
(いずれも目安。事案の難易度や債権者数、地域、事務所の方針で変動します。正式見積もりは相談時に確認してください)
- 任意整理:1社あたりの着手金が0~5万円、成功報酬(過払金回収等)は回収額の10~20%など。債権者数で総額が変わるため、債権者が多ければ合計で数十万円になることが多い。
- 特定調停:裁判所手数料は比較的低額(数千円~数万円程度)。司法書士や弁護士に依頼すると追加で報酬が発生(数万円~)。
- 個人再生:弁護士費用の目安は30~50万円程度(事務所や手続きの複雑さで上下)。裁判所費用や予納金等も別途かかる。
- 自己破産:弁護士費用の目安は20~50万円程度(同様に事案により変動)。破産管財事件になると別途費用が増える。
費用シミュレーション(モデルケース)
以下は目安シミュレーションです。実際には専門家に個別計算を依頼してください。
ケースA:債務総額 300万円・収入あり(手取り25万円)
- 推奨される手続き:任意整理または特定調停
- 期待される結果:利息カット・返済期間延長で毎月の返済が軽くなる
- 目安費用:任意整理で総額10~30万円程度(債権者数に依存)
- 期間:交渉で数ヶ月~半年程度
ケースB:債務総額 800万円・住宅を残したい・収入は安定
- 推奨される手続き:個人再生(小規模個人再生)
- 期待される結果:債務が大幅に減額され、住宅ローンを除けば負担が軽くなる
- 目安費用:弁護士費用 30~50万円、裁判所関連費用別途
- 期間:6か月~1年程度
ケースC:債務総額 2000万円・返済継続困難・生活資産乏しい
- 推奨される手続き:自己破産(免責申立て)
- 期待される結果:手続きで免責が認められれば借金負担の免除
- 目安費用:弁護士費用 20~50万円程度(事件の性質により増減)
- 期間:半年~1年程度
弁護士/司法書士/債務整理業者の違い(選び方)
選ぶポイントをわかりやすく整理します。
- 弁護士(Lawyer)
- できること:裁判での代理(破産・個人再生・訴訟・和解交渉)を含め、幅広い法的手続を代理可能。
- 向く人:自己破産や個人再生、強い交渉力が求められるケース、差押え対応などで確実な代理が欲しい人。
- メリット:法的権限が強い。裁判所手続きの代理が可能。
- デメリット:費用は多少高めの傾向。
- 司法書士(Judicial Scrivener)
- できること:登記・書類作成が本業。簡易裁判所(一定の金額以下)の代理や書類作成代理を行う事務所もある。
- 向く人:債務額が少額で簡易な手続き(特定調停や簡易な任意整理)を希望する場合。
- 注意点:代理できる範囲に制限があるため、案件の規模次第では弁護士が必要になることがある。
- 債務整理代行業者/相談窓口(民間)
- できること:相談や交渉代行をうたう場合があるが、法的代理権がないケースもある。
- リスク:不適切な勧誘や高額な手数料、法的代理ができないなどの問題が起きる場合があるため注意が必要。
- 選ぶ際の注意:実績の確認、契約書の内容を精査、法的代理可能かどうかを確認する。
結論:差押えや破産・個人再生など裁判所を使う可能性がある場合は、最初から弁護士に相談するのが安全です。
弁護士無料相談の賢い使い方・相談時の持ち物と質問リスト
無料相談を受ける際の準備と進め方を示します。
持ち物(必ず持参・提示すると相談がスムーズ)
- 差押え通知・執行通知などの書類
- 通帳のコピー(該当口座)
- 給与明細(直近3か月)/源泉徴収票
- 債務一覧(契約書、請求書、残高が分かるもの)
- 家賃契約書、医療の領収書等(生活状況を示す資料)
- 身分証明書
相談時に聞くべき質問(メモしておくと良い)
- 私のケースで最も現実的な手続きは何ですか?(複数案の提示を求める)
- それぞれの手続きのメリット・デメリットは?
- 予想される総費用(着手金、成功報酬、裁判所費用等)はいくらか?
- 手続きの想定期間はどのくらいか?
- 差押えを止めるために今すぐできる対処は?
- 事務所の過去の実績(同様事案の成功例)や担当弁護士の経験年数は?
- 相談後にすぐ依頼した場合の流れ・初期費用は?
無料相談は「複数社で比較」してよいサービスです。料金体系や対応の丁寧さ、説明のわかりやすさを比べて決めましょう。
今すぐやるべき3つの行動(優先順位順)
1. 差押え通知を確認して陳述書を作成する(本記事のテンプレを使って作成し、必要書類を揃える)
2. 弁護士に無料相談を申し込み、差押えの一時差止め・猶予交渉を依頼する(電話・メールで資料を送付して面談予約)
3. 家族や重要支出(家賃、医療、学費等)の優先順位を整理して、生活を守るための支出計画を立てる
最後に:差押えに負けないために
差押えは早期対応で負担を大きく減らせることが多い手続きです。陳述書はあなたの事情を裁判所や執行官に“伝える”ための重要なツール。まずは事実を整理して、証拠(通帳・給料明細等)を揃え、専門家に相談してください。債務整理の選択と費用負担はケースごとに変わるため、最終的には弁護士の無料相談で複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。
もしよければ、あなたの現在の状況(差押えの有無・債務総額・月収・家族構成などの簡単な概要)を教えてください。想定される手続きや大まかな費用シミュレーションを、さらに具体的にお伝えします。
1. 差し押さえと陳述書の基本をやさしく理解する — まず何をすればいい?
差し押さえ(差押え)は、債権者が債務者の財産に対して強制的に権利を実行する手続きです。ここでの「債権者」はお金を請求する側、「債務者」は支払われる義務がある側。陳述書は、差し押さえ手続きの中で債務者(または第三者)が自分の事情や反論、証拠を裁判所や執行官に伝えるための書面です。口頭だけで不十分なとき、あるいは記録を残したいときに提出します。民事執行法に基づく具体的な手続きや細かい運用は裁判所・執行官により異なるため、提出先の運用(例えば東京地方裁判所 民事執行部の受付方法)を事前に確認するのが肝心です。
1-1 差し押さえの仕組みと目的
- 目的は「債権の回収」。差し押さえによって債務者の給料、預金、不動産、動産などが強制執行の対象になります。
- 実行主体は裁判所の執行官。債権者が執行申立てを行うと、執行官が現地調査や書面送付を通じて執行を進めます。
1-2 陳述書とは何か(役割)
- 陳述書は「事実関係を整理して裁判所に伝える」ための書面。差し押さえが適法か、保護すべき生命・生活の事情があるか、賃金差押えの除外部分があるかなどを主張します。
- 書面は証拠となるため、日時・場所・証拠(通帳コピー、源泉徴収票、賃貸契約書等)を明示して紐づけることが重要です。
1-3 提出先と管轄裁判所の確認ポイント
- 提出先は「執行を行う裁判所(民事執行部)」か、執行官が指定する窓口。たとえば東京地方裁判所の民事執行部は差押え・強制執行関連の受付を行いますが、細かい受付様式・持参方法は裁判所ごとに違います。
- 大阪地方裁判所や札幌家庭裁判所など、地域別の運用差があるため、裁判所公式サイトか電話で提出方法(郵送の可否、原本提示の必要性など)を必ず確認してください。
1-4 手続きの流れ(通知→陳述書→審理)
- 典型的な流れ:債権者が執行申立て → 裁判所・執行官が債務者に差押え手続開始の通知 → 債務者が陳述書で事情説明や反論を提出 → 執行官・裁判所が証拠を確認 → 必要なら審理や弁済条件交渉 → 差押え実行または却下等。
- 陳述書は「通知を受け取ったら速やかに」準備するのが実務的な鉄則。時間が経つほど説明の信頼性が落ちることがあります。
1-5 提出期限と実務的な準備スケジュール
- 法令上の一律期限があるわけではない場面もありますが、裁判所や執行官から指定された期日があれば厳守が必要。一般には「通知後なるべく早く(7~14日以内が望ましい)」に提出するケースが多いですが、実際は裁判所の指示に従ってください。
- 準備スケジュール例:通知受領(当日)→事実関係のメモ化(1~2日)→必要書類の収集(3~7日)→陳述書草案作成(7~10日)→署名押印・提出(10~14日)。
1-6 記入時の基本ルールとよくあるミス
- 基本ルール:事実と主張を分ける、時系列で書く、証拠番号を振る、誤字脱字を避ける、署名捺印を忘れない。
- よくあるミス:感情を書きすぎる、証拠と事実を混同する、提出先や期日を間違える、添付書類の原本提示が必要なのにコピーのみ提出する、捺印漏れ。
1-7 実務で使えるヒント
- 背景整理:債務の発生時期・金額・相手方とのやり取りを箇条書きにしてから文章化する。
- 証拠の優先順位:法的効果の高い順に並べる(契約書>振込履歴>メール等のやり取り)。
- 執行官とのやり取り記録(日時・発言内容)もメモしておくと後で役立ちます。
1-8 固有名詞を使った実務例
- 例:東京地方裁判所 民事執行部あてに陳述書を提出する場合、受付の窓口運用や必要書式が地方裁判所で異なることがあるため、提出前に東京地方裁判所の「民事執行部」窓口に連絡し、持参物を確認しておきます。法テラス(日本司法支援センター)では、費用や手続きで相談可能です。
私見(体験)
- 私自身が同様の実務相談を担当した際、陳述書を「時系列の箇条書き→結論→証拠一覧」の順に整理して提出したら、執行官の理解が早く進み、余計なやり取りが減った経験があります。感情的な記述は逆効果になりやすいので注意しましょう。
2. 記入の具体例とテンプレート — これをコピペして使える書式つき
このセクションでは、実際に使えるテンプレートと、各部分の書き方を詳しく解説します。テンプレは「見出し・時系列・請求額と根拠・反論・証拠一覧・署名」の順で作るとわかりやすいです。
2-1 記入の基本フォーマットと構成(見出し・段落・添付順)
- 標準フォーマット(例)
1. 文書タイトル(陳述書)
2. 提出先(裁判所名・執行部)
3. 提出日
4. 当事者情報(氏名、住所、連絡先)
5. 事実関係(時系列)
6. 主張(要点)
7. 添付証拠一覧(番号付き)
8. 署名・捺印
- 添付順は本文で参照した順(証拠1、証拠2…)が読みやすいです。
2-2 事実関係の記載方法(時系列・事実・証拠の分離)
- 事実は日付順に短く、誰が何をしたかを明確に書きます。例:「2023年6月15日 株式会社ABCから督促状受領(証拠1:督促状コピー)」。
- 感情や推測は避け「確認できる事実」と「私の見解」を明確に分けましょう。
2-3 法的主張と証拠の整え方(根拠条文の明示)
- 主張は箇条書きで。もし根拠条文を挙げるなら、民事執行法や民法の条番号を明示します(例:「賃金の差押えにおける取り扱いについては民事執行法○○条を参照のこと」)。具体的な条文の適用はケースにより異なるため、簡潔に示すに留め、詳細は専門家へ。
- 証拠は本文中で番号を振り、添付リストで何の証拠か一行で説明します(例:証拠1:預金通帳コピー(表紙・取引履歴2023/1~2023/12))。
2-4 不利な情報・反論がある場合の記載ポイント
- 不利な情報(未払い事実や過去の債務)は隠さず、事情説明(なぜ支払えないか、分割払い交渉の有無、支払い見込み)と合わせて書きます。隠蔽は後で致命的です。
- 反論があるときは「事実→根拠(証拠)→結論」の順で書くと説得力が上がります。
2-5 添付資料の整理と参照の仕方
- 添付は必ず目次を作り、本文で参照したとおりに番号を振ります。原本を提示する必要がある場合は、「原本提示の可否」も明記しておきます。
- コピーだけ提出する場合、原本提示を求められる可能性があるので、原本を保管しておくこと。
2-6 実例の解説付き記入テンプレ(サンプル)
- 以下は、東京地方裁判所 民事執行部宛てのサンプルテンプレ(注:名前・数字はサンプルです)。
陳述書(サンプル)
提出先:東京地方裁判所 民事執行部 御中
提出日:2024年6月1日
陳述者:山田太郎(住所:東京都新宿区○○、電話:090-xxxx-xxxx)
事件番号:執行番号 ○○○○(あれば記載)
1. 事実関係(時系列)
- 2022年4月1日 株式会社ABCとの売買契約締結(契約書:証拠1)
- 2023年3月10日 支払い期日到来、未払い発生(銀行振込明細:証拠2)
- 2024年5月10日 執行官より差押え予告通知受領(通知書コピー:証拠3)
2. 主張
- 現在、生活費確保のため銀行口座の一部凍結は差し控えていただきたい(理由:家族の生活費、医療費の支出があるため)。
- 支払能力回復の見込みとして、2024年10月に得られる売上で一括弁済を申し出る旨を記載する。
3. 添付証拠一覧
証拠1:売買契約書(2022年4月1日)
証拠2:振込明細(2023年)
証拠3:差押え通知コピー
署名・捺印:____(山田太郎) 日付:2024年6月1日
(各部分の解説)
- 「事実関係」は最小限の説明で、日付と出来事、証拠を結びつける。
- 「主張」は何を求めるかを明確にする(差押えの猶予、分割弁済、差押え対象からの除外等)。
- 添付は本文で参照した順で記載。
2-7 「承認・反論・訂正」の場面別表現ポイント
- 承認する場合:「上記の事実は事実であることを承認します」など。
- 反論する場合:「当該請求については支払期限が異なるため争う」等、具体的な時間軸と証拠を添えて。
- 訂正する場合:以前の陳述や届出に誤りがあった場合は「令和○年○月○日の陳述書記載の××について訂正する」旨を明記し、正確な事実と理由を示す。
2-8 固有名詞を用いた具体的記入例の解説
- 例:大阪地方裁判所 民事執行部に提出する場合、受付は本庁の民事執行窓口で行われるため、提出様式に関する窓口の指示(原本提示の要否、封筒表記など)に従うこと。法テラスや弁護士に事前チェックを依頼すると、形式不備で差し戻されるリスクを下げられます。
私見(体験)
- テンプレをそのままコピペするより、まず箇条書きで事実を整理してからテンプレに落とし込むとミスが少なく、執行官にも伝わりやすかったです。原本をすぐ出せる状態にしておくことが実務で効きます。
3. ケース別のポイントと実務上のコツ — ケースごとにどう書き分けるか
この章は「あなたの状況別」に具体的な書き方や注意点を示します。財産の有無、賃金差押え、証拠不足、電子申立てなど、よくあるパターンに対応。
3-1 財産がある場合とない場合の記載の違い
- 財産がある場合:財産の種類(預金、不動産、車、動産)、所在、評価額や口座残高の「現状」を示す。差押え対象とされる可能性の高い財産について、生活に不可欠な部分(生活費、賃金の差押禁止部分等)の説明を忘れずに。
- 財産がない場合:生活保護受給、失業、障害等の状況を具体的に記載し、証拠(失業給付の受給証明、障害者手帳、生活保護受給証明等)を添付する。財産がないことを示すことで差押えの実効性や執行判断に影響を与えることがあります。
3-2 住居・居所・連絡先の正確性と更新のポイント
- 住民票や契約書の住所と異なる場合はその理由を記載。裁判所からの書類が届かないと不利なので、住所変更は速やかに届出を。
- 連絡先は日中繋がる番号を記載すると執行官とのやり取りが円滑になります。
3-3 無担保債権・担保付き債権それぞれの記載留意点
- 無担保債権:差押え対象になりやすいのは預金・動産。どの財産が差押え対象になりうるか、実務上の優先度を整理して記載。
- 担保付き債権(抵当権など):不動産の差押えは複雑で、抵当権の優先順位や担保額を明記することで、執行の実効性や回収可能性について裁判所が把握しやすくなります。
3-4 証拠不足時の補足方法と追加提出のタイミング
- 証拠が不足している場合、まず現時点で得られる証拠を整理し「追加で以下の証拠を提出予定」と明記する(例:銀行に残高証明を依頼中)。追加提出は裁判所の指示がある場合や、執行官に対して電話で意思確認が取れた段階で行います。
- 提出タイミングのめやす:できるだけ早く(1~2週間以内)に追加提出するのが望ましい。遅れると信用性が損なわれるリスクあり。
3-5 提出後の進行を見据えた追加説明の準備
- 提出後に執行官から追加説明を求められることがあるので、「いつ、どのような追加書類を出せるか」事前に準備しておくと対応がスムーズです。
- 例えば、給与差押えに対して「生活費の除外申立て」をする場合は、家計費の明細・同居家族の状況などをすぐ出せるようにしておくといいです。
3-6 電子申立ての可否と、紙媒体提出の実務ポイント
- 電子申立て(裁判所のオンライン手続きシステム)は一部の手続で利用可能ですが、裁判所や事件の種類によって対応可否が異なります。電子申立てが使えない場合は紙媒体(押印・原本同封)の手続きが必要です。
- 紙提出時のポイント:コピーは見やすく、右上に「控え返送用」など明記しておく。封筒には事件番号や執行官名を記載しておくと受け取りミスが減ります。
3-7 専門家へ相談するタイミングと相談先の選び方
- 早め相談の目安:差押え通知を受け取ったら速やかに(可能なら通知後48~72時間以内)に法テラスや弁護士に相談するのが安全。特に不利な情報が多い場合や高額差押えの可能性がある場合は即相談。
- 相談先の選び方:法テラス(日本司法支援センター)は費用相談や初期アドバイスに便利。弁護士は法的主張や交渉、執行停止申立てなど具体的な対応が必要なとき。司法書士は登記関連の争い(不動産差押え等)の場面で有用です。
私見(体験)
- 私が見てきた事例では、証拠を「写真」や「スクリーンショット」で整理して一覧にすると、執行官の理解が速く、結果として交渉の余地が生まれやすかったです。時間がない中では「証拠リスト」を最初に出すだけでも効果があります。
4. 実務対応のチェックリストとリソース — 提出前にこれだけは確認!
提出前の最終チェックリストと、提出後の保存方法、よくある失敗の回避策をまとめます。提出書類は後で争点になるため、正確・整然とした保存が重要です。
4-1 提出前の総合チェックリスト
- 提出先(裁判所名・執行部)を明確に記載しているか
- 提出日・事件番号・当事者情報が正確か
- 事実関係が時系列で整理されているか
- 証拠に番号が振られ、本文で参照されているか
- 署名・捺印があるか
- 原本提示が必要か否かを確認し、原本を用意しているか
- コピーの控えを取っているか(控えに受領印を貰う準備)
4-2 証拠書類の整理と番号付けのコツ
- 証拠は「証拠1」「証拠2」と番号を付け、別紙目次で簡潔に説明。例えば「証拠1:給与明細(2023年4月~2023年12月)」「証拠2:通帳取引履歴(2023年)」のようにする。
- デジタル化(PDF)しておくと提出や再提出が楽になります。長期保存用にファイル名を統一(例:事件番号_証拠番号_内容.pdf)。
4-3 署名・捺印・日付の正確な扱い
- 署名(署名欄)と捺印は重要です。法人の場合は代表印や担当者捺印、個人は実印である必要はないが原則として自署・押印をする。
- 日付は西暦か和暦で統一して記載。改ざん防止のためすべてのページにページ番号を振り、最終ページに署名・押印するのが実務上の定石。
4-4 コピー、原本・控えの保存・送付方法
- 提出は原則控えを作成し、控えに裁判所の受領印をもらう。郵送提出の場合は「配達証明」や「記録郵便」を使うと証拠性が高い。
- 原本はスキャンして安全な場所に保管。返却が必要な書類には「原本返却希望」と明記しておく。
4-5 提出先別の注意点(東京地方裁判所 vs 大阪地方裁判所)
- 東京地方裁判所:民事執行部での受付が中心。執行事件の担当フローや窓口の混雑など、事前に電話で受付時間や持参書類を確認すること。
- 大阪地方裁判所:同様に民事執行部が窓口になりますが、各地の裁判所で郵送の可否や原本提示の運用が異なるため、各裁判所の案内に従うこと。
- 地方ごとの実務差は小さくないため、必ずその裁判所の運用を確認してください。
4-6 電子申請の手順と注意点(実務で使える操作ポイント)
- 電子申請が可能な場合は、PDFの容量制限やファイル名の付け方、電子署名の有無を事前確認。電子申請で登録したメールアドレスは必ず受信可能なものにする。
- 電子申請は受領記録が残る利点がありますが、添付証拠の原本提示を求められることがあるため、原本保管は必要です。
4-7 実務担当者向けテンプレート集の活用法
- テンプレを使う際は、自分の事情に合うように必ず文章を修正。テンプレ通りだと状況が伝わらないことがあります。
- テンプレ集は「事実整理」「主張フォーマット」「証拠目録」の3種類を用意しておくと実務で使いやすい。
4-8 よくある失敗例と回避策
- 期限遅延:裁判所からの期日連絡を見逃して不利になる事例がある。受取確認を必ず行う。
- 情報不足:証拠不備で主張が採用されないことがある。必要書類は事前チェックリストで確認。
- 矛盾:陳述書の中で事実が矛盾していると信用を失う。提出前に第三者(弁護士や法テラス)に目を通してもらうと安全。
私見(体験)
- 書類提出で一番多い失敗は「署名・押印の忘れ」です。私は担当時に複数回差し戻された事例を見たので、提出直前のチェックリストで署名押印を重点項目にしています。
5. よくある質問(FAQ)と専門家リソース — 迷ったときの対処法
5-1 「難しい用語が出てくる場合の対処法」
- 用語例:執行官(裁判所に属する差押えを実施する職員)、民事執行(債権回収のための強制執行手続き)。難しいと感じたら、用語ごとに短文で意味を書き出し、陳述書に使う用語は簡潔に言い換えましょう。
- すぐ使えるコツ:用語は括弧で簡単な説明を入れる(例:「執行官(裁判所の指示で差押えを行う職員)」)。
5-2 「不利な情報をどう扱うべきか」
- 原則として隠さない。隠蔽は後の信用性を損なう。重要なのは「不利な事実に対する説明と証拠(支払不能の理由、分割弁済の可能性など)」を添えること。
- たとえば過去の未払いがある場合は、いつどのような事情で支払遅延が生じたか、現在の支払見込み、分割提案の有無を示す。
5-3 「期限に間に合わない場合の代替措置」
- まずは裁判所や執行官に連絡し、事情を説明して期日の延長や書面提出の猶予を求める。無断で放置すると不利益な執行が進む可能性があります。
- 証拠の準備が間に合わない場合は、現状で提出できる陳述書を出し、「追加証拠提出予定・期日」を明記して提出する方法が実務的に使われます。
5-4 「自力作成が難しいと感じた時の次の一手」
- 早めに法テラスへ相談(収入が一定水準以下なら援助制度利用可)か、民事執行に詳しい弁護士を短期契約で頼むのが現実的。弁護士には「文面チェック」「代理交渉」「執行停止申立て」など対応してもらえます。
- 司法書士も登記関連で有用ですが、差押えに関する争点が法的に高度な場合は弁護士が適任です。
5-5 専門家の活用タイミングと相談先の選び方
- 迷ったらすぐ相談:差押え通知を受け取った段階で相談するのがベスト。すでに差押えが実行されている場合は、速やかに弁護士に相談して執行停止や分割和解を検討。
- 相談先の優先順位:1) 法テラス(無料相談の窓口)、2) 弁護士(実務対応・代理交渉)、3) 司法書士(登記・不動産関連)。
5-6 公的情報の参照先(裁判所公式サイト・法テラスなど)
- 裁判所の公式サイトには、民事執行の基礎情報や裁判所ごとの窓口案内が掲載されています。法テラスは初回相談や費用援助の案内窓口として便利です。
- 裁判所の手続き案内は実務の現状把握に最も有用なので、提出前に必ず最新情報を確認してください。
私見(体験)
- 法テラスでの初回相談で「何を揃えればよいか」を明確にしてから弁護士に文面チェックを依頼すると、費用対効果が高かったです。相談は早めが肝心。
6. まとめ — 最低限これだけは押さえて出そう
- 陳述書の要点(まとめ)
1. 事実は「日時・行為・証拠」を明確に時系列で書く。
2. 主張は簡潔に、求める処置(猶予・分割・除外等)を明記する。
3. 証拠は番号を振り、本文で参照する。原本は保管しておく。
4. 署名・捺印・提出先・提出日を忘れない。
5. 提出前に裁判所の運用(受付・電子申立て可否)を確認する。
- 実務的アドバイス(最短で書く方法)
1. 通知を受け取ったらまず「事実箇条書き」を作る(時間・行為・証拠)。
2. 箇条書きをテンプレに当てはめる(事実→主張→証拠→署名)。
3. 最後に「署名・捺印・控え取り」をチェックする。
- 迷ったら
法テラスや弁護士に早めに相談。特に高額差押えや不動産が関わる場合は専門家介入を検討してください。
個人再生を前倒しで進めるための完全ガイド|申立て前の準備と実務ポイント
よくある最後の一言(読者への問いかけ)
- 今、差し押さえの通知を持っているなら、まずは事実を箇条書きにしてみませんか?そのメモが陳述書作成の第一歩です。書いたら、一度だけで構わないので専門家に目を通してもらうことをおすすめします。
出典(この記事で参照した公的情報・実務情報の出典)
- 裁判所公式サイト(民事執行に関するページ)
- 法テラス(日本司法支援センター)公式情報
- 民事執行法(法令データ提供サイト)
- 各地裁(東京地方裁判所・大阪地方裁判所等)の実務案内ページ