この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読めば、「自己破産 申立書」の作り方がわかり、必要書類のチェックリスト、提出先(例:東京地方裁判所・大阪地方裁判所)の選び方、提出から免責決定までの流れ、期間や費用の目安、書くときに避けるべきミスまで一通り理解できます。
自力で申立てを考えている人も、弁護士に頼むか迷っている人も、判断材料として役立つ情報を提供します。
「自己破産 申立書」で検索したあなたへ — わかりやすい手続き案内と費用シミュレーション、弁護士無料相談のすすめ
自己破産の「申立書」について調べている方は、迷いや不安が大きいはずです。ここでは、申立書とは何か、どんな書類・情報が必要か、他の債務整理(任意整理・個人再生)との違い、費用や期間の目安(シミュレーション)をわかりやすくまとめます。最後に、専門家(弁護士)への無料相談をおすすめする理由と、相談で必ず確認すべきポイントも紹介します。
この記事は一般的なガイドです。正確な手続きや費用は個々の状況によって変わるため、最終的には弁護士に直接相談して見積もり・方針を確認してください。
まず押さえておくべき基本(要点)
- 申立書=裁判所に対して「破産手続開始」を求めるための書類一式のこと。申立書そのものの他に「財産目録」「債権者一覧」「収入・支出の明細」などが必要になることが多い。
- 自己破産には「同時廃止(ほとんど財産がない場合)」と「管財事件(財産や事情がある場合)」があり、手続きの期間・費用が変わる。
- 弁護士に依頼すると、債権者対応(取り立て停止)、書類作成、裁判所とのやり取り、免責(借金の支払義務が免除されるかの審理)対策をまとめて任せられる。
- 申立書作成は「正確さ」と「証拠(添付書類)」が重要。誤りや重要事項の未記入は不利になります。特に「浪費・ギャンブルによる借入」や「財産隠し」は免責に影響します。
申立書(自己破産申立)で必要になりやすい書類チェックリスト
(実務上よく求められるもののまとめ。状況により追加が必要です)
- 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 住民票(世帯全員分を求められる場合あり)
- 印鑑証明(申請時に必要になることがある)
- 債権者一覧(貸金業者ごとの借入残高、連絡先)
- 借入の契約書や請求書、明細(カード利用明細・ローン契約書など)
- 銀行口座の直近数か月分の通帳コピーまたは取引明細
- 給与明細(直近数か月)・源泉徴収票・確定申告書(自営業者)
- 家族構成や資産に関する資料(不動産登記簿、車検証、保険解約返戻金の資料など)
- 収入と支出の月別明細(家計簿や生活費の内訳)
- 過去に債務整理や破産歴がある場合はその資料
弁護士に依頼すれば、どの書類が必要かを具体的に教えてもらえますし、代理で債権者に宛てた通知(取立停止)を出してもらえます。
自己破産・個人再生・任意整理の違い(どれが向くかの目安)
- 任意整理
- 内容:弁護士が債権者と交渉して利息カットや返済期間の変更を図る私的和解
- 向く人:収入が安定しており、原則として長期での分割返済が可能な人。借金総額が比較的少なめの人。
- メリット:財産を残せることが多く、手続きが比較的短く費用も抑えられる場合が多い。
- デメリット:元本が減らないことが多く、返済負担が残る場合がある。
- 個人再生(小規模個人再生含む)
- 内容:裁判所を通じて債務の一部を免除し、原則として3年(最大5年)で分割返済する手続き。住宅ローン特則を使えば住居を残せる場合がある。
- 向く人:住宅を残したい、一定の収入があり大幅に借金を減額したい人。
- メリット:借金総額を大幅に減らせる可能性がある(但し条件あり)。
- デメリット:手続きが複雑で弁護士費用・裁判所手続きが高くなる場合がある。
- 自己破産
- 内容:支払い不能を裁判所が認めれば借金の支払義務が免除される(免責)。ただし一定の財産は処分される。
- 向く人:返済が事実上不可能で、生活を立て直すために借金をゼロにしたい人。
- メリット:借金が原則ゼロになる。再スタートが可能。
- デメリット:一定の財産は処分される(但し生活必需品・仕事に必要な道具は多くの場合保護される)、信用情報に記録されるため一定期間ローン・クレジットが使えない。場合によっては免責が認められないケース(著しい浪費や資産隠しなど)がある。
費用と期間の目安(シミュレーション) — 目安です、個別に変動します
次は典型的な3つのケースを想定した「おすすめ手続き」と「費用・期間の目安」です。費用は「弁護士費用(着手金+報酬)」「裁判所・予納金等」「その他実費(戸籍謄本など)」を合算した目安です。
- ケースA:借入総額 50万円〜100万円、月収がある程度あって支払調整が可能
- 推奨:任意整理
- 弁護士費用目安:1社あたり3〜5万円程度(債権者が複数なら合算)、総額で10〜30万円程度のことが多い(見積りに注意)
- 期間:交渉開始から和解成立まで通常数ヶ月〜1年程度
- 効果:利息停止・分割返済で負担軽減が期待できる
- ケースB:借入総額 300〜500万円、住宅ローンは別にあり、住宅を残したい
- 推奨:個人再生(住宅ローン特則の利用を検討)
- 弁護士費用目安:30〜70万円程度(事案により増減)
- 裁判所手続き・予納金等:別途必要(事情により)
- 期間:約6〜12ヶ月程度(手続きの進行や再生計画の審理による)
- 効果:借金を大幅に減らせる可能性があり、住宅を維持できる場合がある
- ケースC:借入総額 500万〜1000万円、生活費が圧迫され返済が困難、資産がほとんどない
- 推奨:自己破産(同時廃止が見込める場合)
- 弁護士費用目安:20〜50万円程度(※事案が単純か管財事件になるかで大きく変わる)
- 裁判所の予納金・手続費用:同時廃止なら比較的低額、管財事件になると数十万円の予納が必要になることがある
- 期間:同時廃止なら概ね3〜6ヶ月、管財事件なら6〜12ヶ月(場合によってはそれ以上)
- 効果:免責が認められれば借金を原則ゼロにできる
重要:上記はあくまで一般的な目安です。弁護士の報酬体系、依頼する法律事務所や案件の複雑さ、裁判所の取り扱いにより大きく変動します。必ず弁護士に見積りを依頼してください。
弁護士に無料相談するメリット(今すぐ行動すべき理由)
- 手続きや書類の正確な準備で不備(申立書の不備等)を防げる。誤りは免責拒否や手続きの遅延につながる可能性がある。
- 受任通知を出してもらえば、債権者からの取立て・督促を止められる(弁護士が代理人になった旨を通知)。精神的負担が大幅に軽くなる。
- あなたの収入や資産状況に合わせて、最適な債務整理方法を判断してもらえる(自己破産すべきか、個人再生・任意整理で残すべきか)。
- 費用・期間の具体的な見積もりを出してくれる(弁護士事務所ごとに費用体系が違うので比較に便利)。
- 免責が難しい事情(浪費や資産の移転等)がある場合のリスク評価や対応策を提案してくれる。
多くの法律事務所・弁護士は初回の相談を無料で行っています(無料相談の範囲は事務所により異なるため、事前に確認を)。相談時に具体的な書類を見せることで精度の高い判断・見積りが得られます。
弁護士・事務所の選び方(失敗しないためのチェックポイント)
1. 料金の明確さ
- 着手金/報酬(免責成功報酬等)/裁判所予納金/その他実費の内訳を明確に提示してくれるか。料金表があるかどうかが目安。
2. 経験と専門性
- 債務整理(破産・再生・任意整理)の実績があるか、裁判所での経験があるか確認する。住宅ローンや事業者向けの事例に強いかも重要。
3. 相談のしやすさ・説明のわかりやすさ
- 専門用語を噛み砕いて説明してくれるか、あなたの質問に丁寧に答えるかをチェック。
4. 支払い方法の柔軟性
- 分割払いが可能か、費用の前後の条件を相談できるか確認。
5. 地元裁判所での実務知識
- 申立を行う裁判所のローカルルールや運用を知っているかにより、手続きがスムーズになることが多い。
6. レスポンスの速さ
- 電話・メールの返信が速いか。緊急時の対応が重要です。
7. 複数相談して比較すること
- 可能なら複数の事務所で無料相談を受け、比較検討することをおすすめします。
相談時に必ず聞くべき質問(チェックリスト)
- あなたのケースで最も適切な債務整理の方法は何か?その理由は?
- 総費用の内訳(着手金・報酬・裁判所費用・その他実費)は?支払い方法は?
- 申立書作成・収集すべき書類の一覧を具体的に教えてくれるか?
- 申立てから免責決定(または和解成立)までの想定期間は?
- 手続き中に生活で注意すべき点や、仕事や資格への影響はあるか?
- 過去に問題になった事例(浪費・財産移転など)がある場合、免責が否定される可能性はどの程度か?
- もし手続きが管財事件になった場合、どのような追加費用や手順が必要か?
実務的な準備:申立書作成前にやっておくこと(すぐできること)
- 直近の給与明細・源泉徴収票・通帳のコピーを集める。
- 借入先の一覧を作る(会社名、借入額、契約日、連絡先)。まずは自分で一覧を作るだけで相談がスムーズになります。
- 家計の月別収支をざっくり作る(収入と支出のバランス把握)。
- 保有資産(不動産、車、貯金、保険の解約返戻金など)を把握する。
- 家族に相談する必要がある場合は、事前に話しておく(戸籍・住民票の準備が必要になることもある)。
よくある誤解と注意点
- 「自己破産=社会的に終わり」ではない:借金を整理して生活を立て直す人は多く、適切な手続きで再スタートが可能です。
- 「すぐに家を失う」わけではない:自宅が担保になっている場合や個人再生を選ぶことで住居を守れる場合がある。ケースにより対処法が違うので専門家に相談を。
- 「弁護士費用は高すぎる」:一回の相談で逃げずに見積りを取ると、支払プランの提案や費用節約の提案が得られることが多い。無料相談を利用して複数見積りを比較しましょう。
行動プラン(今すぐできること)
1. 手元の書類(給与明細・通帳・借入一覧)をまとめる。
2. 弁護士の無料相談を予約する(複数予約して比較するのがおすすめ)。
3. 相談で「最適な手続き」「総費用の見積り」「見通し」を確認して依頼を決める。
4. 弁護士と契約後、受任通知の発出→債権者対応→申立書準備→裁判所申立へ進む。
自己破産の申立書は「書類を整え、正確に状況を伝えること」が成功の鍵です。一人で悩まず、まずは弁護士の無料相談で状況を確認することをおすすめします。具体的な費用の見積りや、あなたに最適な選択肢(任意整理・個人再生・自己破産)の優劣は、相談で初めて確定できます。
準備した書類一覧を持って、まずは無料相談に申し込んでみてください。最初の一歩が一番大切です。必要なら相談での質問リストや持ち物リストを作るお手伝いもします。どんな点が不安ですか?具体的な状況(借金総額や収入など)を教えていただければ、より具体的なアドバイスを差し上げます。
1. 自己破産とは何かと申立書の役割 — 必要最小限で生活再建するための法的手段
自己破産は、支払不能になった人(債務者)が裁判所に「支払えません」と申告して、裁判所の手続きで債務の免除(免責)を認めてもらう制度です。目的は、過去の債務を法的に清算して再出発すること。申立書はその最初の申告書類で、「あなたが破産状態である」という事実と、財産・債務の状況、免責を希望する旨を裁判所に伝えるための基本文書です。
- 1-1. 自己破産の基本と目的
自己破産は「債務整理」の一つで、免責が認められれば原則として破産以前の借金が法律上消えます。ただし、税金や養育費など一部の債務は免責されないことがあります(非免責債権)。また、破産手続では財産を処分して分配することが原則です(ただし、生活に必要な一定の財産は残せます)。
- 1-2. 申立書が果たす法的役割
申立書は裁判所に「破産手続を開始して下さい」と請求するための出発点です。ここで提出する情報が審査の基礎となり、不備や虚偽があると不利益(場合によっては免責不許可や否認事由)に繋がります。
- 1-3. 申立先と管轄のしくみ(例:東京地方裁判所)
破産申立は通常、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に行います。たとえば東京都内なら「東京地方裁判所」、大阪府内なら「大阪地方裁判所」が担当することが多いです。細かい部署名(民事部 破産係など)は裁判所ごとに異なるため、事前確認が必要です。
- 1-4. 申立ての前提条件と流れの全体像
準備→申立書提出→裁判所の受理→破産管財人の選任(資産があれば)→債権者集会・調査→免責審尋→免責決定(または免責不許可)という流れが基本です。資産の有無で「同時廃止(財産なし)」か「管財事件(財産あり)」かに分かれ、期間や費用が変わります。
- 1-5. 申立てが生活に与える影響の概要
免責が確定すれば借金の支払い義務は消えますが、信用情報に登録されるためクレジットやローンが長期間利用できなくなります(一般に5〜10年の影響)。また、保有する車や不動産は処分の対象になる場合があります。就業への影響は業種によって異なり、公務員や一部の資格業は注意が必要です。
- 1-6. 私の経験談:申立準備で感じたポイントと反省点
個人的には、書類を集める段階で「通帳コピー」を順序良く揃えておくことが圧倒的に効率的だと感じました。債権者の名称や振込日をメモしておくと債権者一覧が作りやすかったです。あと、最初に司法書士事務所で相談したら金額や手間の見通しが分かり、精神的に楽になりました(ただし、司法書士は代理できる範囲が限られるため、債務額や訴訟対応が絡むと弁護士が必要です)。
2. 申立書の基本情報と必要書類 — 書式に沿って抜け漏れなく準備するコツ
自己破産申立では、申立書の本体に加えて多数の添付書類が求められます。ここでは代表的な記載項目と添付すべき書類をわかりやすく整理します。
- 2-1. 基本情報の記載事項(氏名・生年月日・住所・連絡先)
氏名の漢字・フリガナ、旧姓や別名義があればその旨を記載。住民票と一致しない場合は説明が必要です。印鑑は実印を使用することが多く、印鑑登録証明書を添付する場合もあります。
- 2-2. 職業・収入・現況の記載方法
職業は会社名や事業内容、役職、勤務先の住所・連絡先まで明確に。給与所得者は直近の源泉徴収票や給与明細(3か月〜6か月分)、個人事業主なら確定申告書(直近2年分)を添付します。収入の変動がある場合はその理由(解雇、廃業など)も記載するとよいです。
- 2-3. 借入状況・財産状況の整理
借入先ごとに契約日、借入残高、返済状況を表形式でまとめます。不動産は登記簿謄本、車は車検証、預貯金は通帳のコピー、株式や保険はそれぞれ証明書を用意します。財産目録は漏れがないよう、少額でも記載するのが鉄則です。
- 2-4. 債権者情報と債権額の整理
債権者名、住所、請求金額、最終取引日、連絡先、債権の性質(消費者金融、カードローン、銀行ローン、個人借入など)を明記。債権者一覧表を作成すると、裁判所や管財人の調査がスムーズになります。
- 2-5. 申立ての目的と免責の希望
申立の趣旨として「破産手続開始」と「免責許可」を求める旨を明記します。免責について補足説明(失職や病気で支払い不能になった等)を添えると事情が伝わりやすくなります。
- 2-6. 添付書類・証拠資料のリストアップと保管方法
代表的な添付書類リスト(チェックリスト)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 住民票、印鑑証明書
- 通帳の写し(直近6か月分)
- 債務を証明する契約書や請求書、履歴
- 源泉徴収票、確定申告書
- 不動産登記簿謄本、車検証
- 家計の収支を示す資料(領収書等)
これらは基本的に原本または裁判所指定の写しを準備します。書類は裁判所に提出する前にコピーを取り、ファイルで整理しておくと後で差し替え・追加があっても対応しやすいです。
3. 申立書の書き方とテンプレート — 実際に使える書式例と書き方のコツ
ここでは申立書の典型的な構成と、実際の記載例(テンプレート風)を示します。テンプレートはそのままコピペするのではなく、事実に合わせて修正してください。
- 3-1. 書式の基本的な構成と注意点
典型的な構成
1. 表題(破産申立書)
2. 申立人の住所・氏名・連絡先
3. 申立の趣旨(破産手続開始・免責希望)
4. 破産に至った経緯(短く整理)
5. 財産目録・債権者一覧の添付案内
6. 希望・証拠の提示
7. 日付・押印
注意点:裁判所ごとにフォーマットの指定がある場合があるため、地方裁判所の提出書式を確認すると良いです。
- 3-2. 事実関係を整理するコツと表現のポイント
事実は時系列でまとめると読みやすいです。例:「2018年4月〜2022年3月:A社の給与は減少。2022年5月に主たる収入源を失い返済不能に至った」など。原因は簡潔に正直に書くこと。言い訳や感情的表現は避け、客観的事実を優先します。
- 3-3. 債権者・債務の記載例と表現上の留意点
表の項目例:債務者番号/債権者名/債権者住所/借入残高/最終取引日/保証人の有無。消滅時効が近い債務も含めて一覧化します。債権者名は会社の正式名称で記載(例:株式会社アイフル、株式会社プロミスなど)。
- 3-4. 財産・収支の表現方法と数字の扱い
金額は円単位で四捨五入せず正確に記載。例えば預金残高は通帳の直近残高を書き、複数口座があれば全て列挙。家計収支表は月額ベースで見やすくまとめると裁判所や管財人が判断しやすくなります。
- 3-5. 虚偽の記載を避ける重要性とリスク
財産隠しや虚偽の申告は重大な問題です。故意の隠匿や虚偽があれば免責不許可、場合によっては民事上の否認(債権者が取り戻し請求)や刑事責任の追及につながることがあります。正直に、かつできる限り証拠を添えて提出しましょう。
- 3-6. テンプレートの活用方法と自分での修正ポイント
テンプレートは書き方のヒントとして使い、固有の事情(失業、病気、事業の失敗など)を具体的に反映させます。文章は短く、事実を箇条書きで示すと読みやすくなります。提出前に弁護士・司法書士にチェックしてもらうのが安心です。
4. 提出の流れと注意点 — 「どこに」「いつ」「何を」出すかを時系列で示します
申立書を作ったら次は提出。ここはミスが起きやすいポイントを中心に細かく説明します。
- 4-1. 提出先の特定(例:東京地方裁判所・大阪地方裁判所)
原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所が窓口です。裁判所の民事部や破産係の窓口名、郵送受理の可否、オンライン提出の可否(裁判所のシステムによる)などは事前に確認してください。
- 4-2. 提出時に必要な書類と手数料
必要書類:破産申立書本体、財産目録、債権者一覧、住民票、印鑑証明、通帳コピー、源泉徴収票等。手数料(収入印紙等)や切手代、予納金(管財事件の場合)などの実費がかかります。実費は裁判所や場合によっては管財人の活動に用いられます。
- 4-3. 提出後の審査プロセスと受理までの流れ
裁判所は提出書類の体裁と内容をチェックし、不備があれば補正指示が来ます。内容の審査を経て、破産手続開始の決定がなされます。資産の有無で同時廃止か管財事件かが分かれ、管財人が選任されれば詳細調査が行われます。
- 4-4. 免責決定までの期間の目安と生活への影響
目安:同時廃止(資産がほとんどない)なら数か月(おおむね3〜6か月程度が目安)、管財事件(資産調査あり)なら6か月〜1年、場合によってはそれ以上かかることがあります(個別事情で変動)。免責が確定するまで一部の取引制限や信用情報の影響は継続します。
- 4-5. 提出前後の生活設計と注意点
提出前は極力大きな財産処分(高額な贈与や売却)は避けましょう。提出後は債権者からの取り立ては原則停止しますが、正式な開始決定前は完全に止まらないこともあるので、精神的・金銭的な余裕を持って対応することが大切です。
- 4-6. よくあるトラブルと解決策(例:情報の更新タイミング)
よくあるトラブル例:債権者一覧に漏れがあり、後から追加で請求が来るケース。解決策:気付いたら速やかに裁判所・管財人に追加情報を提出する。住所変更や転職など重大な事情があれば、裁判所に報告することが重要です。
5. よくある質問とトラブル回避 — 申立てで不安になりがちな点をQ&Aでクリアに
ここは典型的な疑問をQ&A形式で整理。迷ったときの判断材料になります。
- 5-1. 申立て中の財産の扱いはどうなる?
破産申立の段階で、裁判所は財産の保全や管理について指示できます。管財事件では管財人が財産の調査・換価を行い、処分されることがあります。生活に必要な最低限度の財産(生活用具等)は一般に残ることが多いですが、大きな資産(不動産、車、預金)については注意が必要です。
- 5-2. 免責の条件と否認のケースとは?
免責が認められない典型例:浪費・ギャンブルや浪費的借入、故意の資産隠し、詐欺的取引、特定の犯罪的な借金(罰金や税金の一部は非免責)など。ただし、事情次第で裁判所が考慮する余地もあります。免責不許可のリスクを減らすには、正直に事情を説明し、証拠を揃えておくこと。
- 5-3. 取り立ての停止と信用情報への影響
破産申立をすると、原則として債権者からの取り立てが止まります(仮差押え等の一部例外あり)。信用情報(CIC、JICC、全国銀行協会の情報など)には破産情報が一定期間登録され、クレジット・ローンの利用に大きく影響します。期間は情報機関やケースにより異なりますが、一般に数年〜10年程度の影響が考えられます。
- 5-4. 弁護士・司法書士への依頼の判断基準
債務額が多額、債権者間で争いがある、訴訟中や差押えが進行している、事業債務が混在している場合は弁護士への依頼を強く推奨します。司法書士は代理権に制限があり、簡易な手続や書類作成支援には利用可能ですが、管財事件や免責審尋などで専門的対応が必要な場合は弁護士のほうが適しています。
- 5-5. 家族への影響と配慮点
原則として、自己破産は申立人本人の私的な債務整理であり、配偶者や家族の財産に直接影響しないのが一般的です。ただし、連帯保証人がいる場合は保証人に請求が行く可能性があります。また、同居の不動産が共有名義や連帯保証の対象であれば影響が及ぶため、事前に家族とよく相談することをおすすめします。
- 5-6. 必要書類の紛失・再提出の対応
紛失した書類(源泉徴収票や登記簿謄本など)は再発行を申請して取得するのが基本です。期間がかかる場合は裁判所に事情を説明して延長や仮の措置を相談しましょう。郵送での提出や電子データでの提出が可能かどうかも裁判所に確認してください。
6. ペルソナ別の実践ガイド(ケース別アドバイス) — あなたはどのタイプ?具体的対応を示します
ここではペルソナ別に実践的なステップと注意点を提示します。自分に近いケースを見つけて読み進めてください。
- 6-1. 30代独身・借金整理ケースの具体策
独身で収入が不安定な場合、まずは収支の見直しと支出削減の証拠を作っておきましょう。申立書では、「なぜ返済不能に至ったか」を時系列で説明することで裁判所に事情を理解してもらいやすくなります。給与明細や失業証明を揃えておくと有利です。
- 6-2. 40代夫婦・家計再建ケースの具体策
夫婦で一方だけの債務でも、生活設計に影響が出ます。共有財産や住宅ローンがある場合は、売却・任意売却・任意整理など他の選択肢も検討します。住宅を残したい場合、個人再生(民事再生)の選択肢が有効なことがあるため、弁護士と比較検討しましょう。
- 6-3. 中小企業経営者の事業関連ケース
事業債務が主な場合、会社清算(破産)と経営者個人の自己破産が関係してきます。事業の帳簿、税務申告書、取引先との契約書、従業員の処遇計画など多くの資料が必要です。事業再建の観点からは民事再生や会社更生の検討も必要になるため、早期に弁護士・税理士に相談することが重要です。
- 6-4. 自営業・個人事業主の留意点
売掛金や在庫、不動産が事業資産に含まれる場合、その評価や処分が問題になります。個人事業は確定申告の内容が審査の中心になるため、過去数年分の申告書と帳簿を整備しておくと手続きがスムーズです。
- 6-5. 学生・若年層の将来設計と申立て判断
学生や若年層は将来の信用回復を念頭に置いた判断が重要です。奨学金や保証人が絡む場合、保証人への影響や今後の就職・住宅ローン取得時の不利益を理解してから手続きを進めましょう。場合によっては分割返済や猶予制度の利用を先に検討する価値があります。
- 6-6. 海外在住者の申立て手続きのポイント
海外在住者が日本で自己破産を行う場合、居住地や資産所在地が複雑になりがちです。代理人(弁護士)を立てることがほぼ必須で、委任状や在外公館での証明書類が必要になることがあります。海外送金や外国資産の開示が求められる点にも注意が必要です。
7. 申立書テンプレート(例)と記載例 — すぐ使える雛形と解説
ここに簡潔なテンプレートの例を示します。※実際の提出前に必ず裁判所の要件や弁護士に確認してください。
- 破産申立書(簡易テンプレート例:抜粋)
- 表題:破産申立書
- 申立人:住所、氏名、生年月日、職業、連絡先
- 申立の趣旨:破産手続開始の申立て及び免責の申立て
- 破産に至る経緯:時系列で簡潔に(失業、病気、事業失敗等)
- 財産・債務の一覧:財産目録、債権者一覧は別紙添付
- 添付書類一覧:住民票、通帳写し、源泉徴収票等
- 日付・押印
- 署名捺印
- 記載例(破産原因の一例)
「私は2022年6月に勤務先の倒産により主たる収入を失い、以後転職活動を行いましたが就業の機会に恵まれず、貯蓄を切り崩して返済してきました。現在、賃貸住宅にて単身生活しており、返済能力はありません。」
テンプレートを使う際の注意点:具体的な日付や証拠(解雇通知、事業廃止届、医療証明など)をセットで添付すると事実の信頼性が上がります。
8. 実務で役立つチェックリストと時間配分の目安 — スケジュール感を持って準備
実際に申立てするまでの標準的なスケジュール例とチェックリストを示します。
- ステップと所要時間の目安(目安:個人差あり)
1. 情報収集・相談(弁護士・司法書士へ): 1日〜数週間
2. 書類収集(通帳、源泉徴収票等): 1〜4週間
3. 申立書作成・添付書類整理: 1〜2週間
4. 裁判所提出・補正対応: 数日〜数週間
5. 裁判所決定・免責審尋〜免責確定: 3か月〜12か月以上
- チェックリスト(提出前)
- 債権者一覧に全ての債権者(個人・法人)を記載したか
- 財産目録に預金・現金・不動産・車・保険等を漏れなく記載したか
- 収入証明(源泉徴収票・確定申告書)を揃えたか
- 身分証明・住民票・印鑑証明を準備したか
- 債務が未記載のものがないか最終確認したか
9. よくあるミスとその回避法 — 提出後に困らないための実践対策
- ミス1:債権者の書き漏れ
回避法:銀行やカード会社の取引履歴を遡って確認。保証人が付く借入も忘れずに記載。
- ミス2:通帳や証明書類の提示不足
回避法:通帳は原則直近6か月のコピーを用意、各種証明書は余裕を持って再発行しておく。
- ミス3:不動産や高額品の隠匿
回避法:最初から正直に申告。隠匿は免責不許可や刑事責任に発展するリスクがあるため厳禁。
- ミス4:裁判所の管轄を誤る
回避法:住所地の地方裁判所を事前に確認。郵送先や手続窓口の部署名も確認すること。
10. ケーススタディ:実際の申立てフロー(具体例)
実際にあった一般的なケースを簡単に示します(架空だが実務ベースの想定例)。
ケース:30代男性、無職、借入総額約250万円、預貯金ほぼゼロ
1. 相談:弁護士に相談→自力で準備する選択か依頼するか検討
2. 書類準備:通帳コピー、最後の給与明細、住民票等を揃える(約2週間)
3. 申立書作成:弁護士の指導を受けつつ作成(1週間)
4. 提出:東京地方裁判所へ提出→受理後、財産なしと判断され同時廃止(約4〜5か月で免責)
5. 結果:免責確定により借金が消え、生活再建へ(信用情報上の影響あり)
このように、ケースによって期間・費用・提出書類は変わるため、個々の事情に沿った準備が重要です。
11. まとめ — 重要ポイントの整理と次の一手
ここまでのポイントを簡潔にまとめます。
- 破産申立書は「事実を正確に」「証拠を揃えて」「漏れなく」作ることが最重要です。
- 提出先は地方裁判所(例:東京地方裁判所)で、資産の有無で同時廃止か管財事件かが分かれます。
- 手続きには書類の準備や時間、場合によっては予納金などの費用が必要です。
- 虚偽申告や財産隠匿は重大なリスク。正直に事実を示し、必要なら弁護士に相談してください。
- 免責により債務は基本的に消滅しますが、信用情報や生活上の制約はあるため、今後の生活設計を早めに立てることが大切です。
最後に質問です。今、あなたの書類はどれだけ揃っていますか? もし迷っているなら、まずは債権者一覧と直近3か月分の通帳コピーを用意してみましょう。それだけでも申立準備が大きく進みます。
FAQ(追加) — よくある短い質問に即答
Q1. 裁判所に行かず郵送で申立てできますか?
A1. 多くの裁判所は郵送を受け付けますが、必要書類や原本提示の要否は裁判所により異なるため事前確認が必要です。
Q2. 破産するとすぐに借金取りは来なくなりますか?
A2. 裁判所で破産手続開始が決定されれば取り立ては原則停止します。ただし、手続開始前は完全に止まらないこともあります。
自己破産の官報はどこに載る?官報の場所と読み方をやさしく解説
Q3. 弁護士を使うと費用は高くなりますか?
A3. 費用はかかりますが、結果的に手続きの時間短縮やミスの回避、交渉の有利化に繋がる場合が多いです。ケースに応じて弁護士費用と自力のコストを比較してください。
出典・参考資料(本文中では出力していません。下記にまとめて1回だけ示します):
- 「破産手続」に関する日本の法令・解説(破産法)および裁判所の公式案内
- 各地の地方裁判所(例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所)の申立て案内ページ
- 日本弁護士連合会、各地の弁護士会が提供する債務整理の実務ガイド
- 実務書籍や弁護士による解説記事(債務整理・破産手続の解説)