この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論から言うと、自己破産を検討するとき「生命保険は種類によって扱いが違う」ことをまず押さえてください。定期保険のように解約返戻金がない契約は基本的に債権者に取り上げられにくく、貯蓄型(終身保険・養老保険など)の解約返戻金は破産財団に組み入れられる可能性が高いです。受取人が第三者(配偶者や子)に指定されている場合、死亡保険金は受取人に帰属することが多いですが、契約の状況や名義・契約時期によっては管財人が争うこともあります。この記事では、実務でよくあるケースや具体的な判断基準、名義変更や保険の見直し戦略、破産後の再契約のポイントまで、実名の保険会社を交えつつわかりやすく解説します。読み終わる頃には、次にどんな情報をそろえ、誰に相談すべきかが明確になります。
「自己破産」と「生命保険」──まず知っておくべきこと・最適な債務整理の選び方と費用シミュレーション
まず結論(要点を短く)
- 生命保険は種類によって扱いが違います。貯蓄性(解約返戻金)のある保険は「財産」として換価対象になり得ます。掛け捨て型(返戻金がないもの)は、通常その場で換価される資産はありません。
- 任意整理・個人再生・自己破産で保険の取り扱いが変わるため、保険内容を把握した上で最適な手段を選ぶことが重要です。
- 初回無料相談を受けられる弁護士事務所を早めに利用し、保険証券やローン残高、家計資料を持って相談することを強くおすすめします。
以下、読みやすく整理して説明します。
1) 生命保険はどう扱われるのか(まず確認するポイント)
債務整理の際に確認すべき保険の「3つのチェック項目」
1. 保険の種類
- 終身保険・養老保険など:解約返戻金(解約したときに戻るお金)が発生するもの → 債権者の対象(換価の対象)になり得ます。
- 定期保険(掛け捨て):原則として解約返戻金がないため、手元資産として換価されにくいです。
2. 保険の名義と契約上の受取人(被保険者・保険契約者・受取人)
- 契約者(保険料を支払っている人)が債務者で、解約返戻金がある場合は債務者の財産として扱われます。
- 受取人が別(家族など)に指定されている場合でも、解約返戻金自体は契約者の財産になる点に注意が必要です。ただし、死亡保険金は原則「将来の給付」であるため、現在の時点で換価されるものではありません(ただし契約の内容や過去の受取益の扱いによる例外あり)。
3. 解約返戻金の額(少額か大きいか)
- 金額が小さい場合は、手続きの種類(同時廃止での破産など)や裁判所の判断で「自由財産」や手続き上問題にならないこともあります。金額が大きければ換価される可能性が高くなります。
※ 保険会社に確認して「解約返戻金(現在の解約で受け取れる金額)」を明確にしておくと相談がスムーズです。
2) 債務整理別の「保険の扱い」とメリット/デメリット
任意整理・個人再生・自己破産それぞれのポイントをわかりやすく。
1) 任意整理(債権者と交渉して利息カット・分割交渉)
- 保険の扱い:原則として保険を解約して換価される手続きは行われません。保険は手元に残ることが多いです。
- メリット:保険を維持しつつ利息カットで返済負担を下げられる可能性がある。手続きが比較的簡単で影響が限定的。
- デメリット:元本自体は減らない可能性が高く、月々の返済負担が残る。交渉が不調だと再検討が必要。
2) 個人再生(借金の一部を減額して再建計画で分割返済)
- 保険の扱い:基本的には住宅や有価財等を残すことが可能だが、解約返戻金が大きい場合は計画に組み込まれることがあります。
- メリット:大幅な減額が期待でき、住宅ローン特則などを使えば家を残すことができる場合がある。
- デメリット:裁判所が関与する手続きで手続き費用がかかる。保険の解約返戻金があると調整が必要。
3) 自己破産(免責を得て債務を原則ゼロにする)
- 保険の扱い:解約返戻金のある保険は破産財団の資産として換価されることが多いです(破産管財人が解約して債権者に配当する場合があります)。掛け捨て保険や死亡時に支払われる保険金(将来の給付)は通常の時点では換価の対象になりません。
- メリット:借金が大幅に免除されるため原則的な負債整理効果が高い。
- デメリット:解約返戻金が換価されるため生命保険の保障が失われる可能性がある。職業や資格制限が一定期間続く場合がある(手続きの種類などにより差あり)。
まとめ:保険を「残したい」場合は任意整理や個人再生が有利な場合が多く、借金全体の圧縮が最優先であれば自己破産が適していることがあります。ただし個々の状況で最適解は変わります。
3) 費用の目安(弁護士費用・裁判所手続きなど)と簡単シミュレーション
※ 以下は一般的な目安です。事務所によって料金体系(着手金・成功報酬・実費)に差がありますので、相談時に明確に提示してもらってください。
一般的な費用目安(目安幅)
- 任意整理:1社あたり4〜10万円程度(着手金)+成功報酬(減額分の何%など)/複数債権で合算されることが多い
- 個人再生:総額で30〜60万円程度(弁護士費用)+裁判所費用や再生委員に係る実費
- 自己破産:総額で20〜50万円程度(同時廃止か管財事件かで差)+官報公告などの実費
簡易シミュレーション(イメージ)
ケースA(中程度の借金、保険は終身で解約返戻金50万円)
- 借金総額:500万円
- 月収(可処分):25万円
選択肢
- 任意整理:利息カット+分割で月返済3〜5万円(期間は債権者との交渉)。弁護士費用:1債権あたり数万円〜。保険はそのまま保有できる可能性が高い。
- 個人再生:総額を約200〜300万円程度に圧縮できる可能性(個人差)。月返済2〜4万円×3〜5年。弁護士費用:30〜60万円。保険の解約返戻金は計画に考慮される可能性あり。
- 自己破産:借金は免責され得るが、解約返戻金50万円は換価される可能性あり。弁護士費用:20〜50万円。生活再建に向けて早く借金を清算できる。
ケースB(高額の借金、掛け捨て保険のみ)
- 借金総額:1,500万円
- 保険:掛け捨て(解約返戻金なし)
選択肢
- 任意整理:返済負担が重く現実的ではないことが多い。個人再生か自己破産の検討が中心。
- 個人再生:住宅を残したい場合に有効。弁護士費用・手続き費用が必要。
- 自己破産:免責受けられれば借金がなくなる。掛け捨て保険なら保険の換価問題は生じにくい。
注意:上の数字はあくまで一例です。個別事情(債権者構成、収入、資産、住宅有無、保険の詳細)によって現実的な選択と金額は大きく変わります。
4) 弁護士無料相談を使うときの準備・聞くべきこと
無料相談を最大限活かすためのチェックリスト
- 持参(または事前送付)しておくと良い書類:借入の明細(契約書/取引履歴)、督促状、保険証券(保険種類・解約返戻金の記載があるもの)、給与明細・家計の収支表、資産の明細(不動産、車など)。
- 相談時に必ず聞くこと:
- 「この保険は解約返戻金がありますか?いくらですか?破産手続きでどう扱われますか?」
- 「私の場合、任意整理/個人再生/自己破産のどれが現実的ですか?メリット・デメリットは?」
- 「実際にかかる弁護士費用の総額と支払いスケジュールは?」
- 「申立てをした場合、家族(配偶者・子)にどんな影響がありますか?」
- 「手続き中に生活で注意すべきこと(クレジット利用、勤務先への影響など)は?」
無料相談は複数の法律事務所で受けることも可能です(比較検討)。窓口で曖昧な説明しかされない場合は別の事務所でセカンドオピニオンを取るのも有効です。
5) どんな専門家を選ぶか(弁護士 vs 司法書士 vs 債務整理業者)
- 弁護士:自己破産・個人再生など裁判所手続きが絡む場合や、債権者との交渉で法的対抗が必要な場合は弁護士が最適。複雑な保険の扱いや法的リスク評価も可能。
- 司法書士:任意整理や簡易な債務整理で対応する事務所もありますが、裁判所での本格的手続き(個人再生・自己破産)では弁護士が必要なケースが多い(裁判所対応、免責/再生計画立案などを考えると弁護士の方が安心)。
- 民間の債務整理サービス:聞き取りや交渉を代行するサービスもありますが、法的な判断や裁判所手続きに不慣れな事業者もあるため、実績と免責までのフォロー体制を確認してください。
選び方のポイント
- 保険や住宅など「手放したくない財産」があるか → 経験豊富な弁護士で交渉・計画作成が得意な事務所
- 料金体系が明瞭か(着手金・成功報酬・実費)か
- 債務整理の実績(類似ケースの経験)と裁判所対応の有無
- コミュニケーションの取りやすさ(説明が分かりやすいか)
6) 今すぐできる具体的なアクション(手順)
1. 保険証券を取り寄せ、解約返戻金がいくらか確認する(保険会社に電話か書面請求)。
2. 借入一覧を作る(貸金業者名・残高・利率・毎月支払額)。
3. 家計の収入・支出を整理する(直近3か月分の給与明細、通帳の入出金)。
4. 弁護士の無料相談に申し込み(複数候補を比較するのが安全)。
5. 相談の際、上で挙げた質問をして、弁護士に最適な手続きと費用見積りを出してもらう。
6. 費用や方針に納得すれば正式依頼。依頼後は弁護士が債権者との交渉や裁判所手続きを進めます。
最後に一言
生命保険が関係する債務整理は「保障を残すか」「借金を根本的に減らすか」の天秤になります。自分の生活設計(家族の保障が必要か、住宅を残したいか)と照らし合わせて最適な手続きを選ぶことが大事です。まずは保険の解約返戻金額を把握し、無料相談で具体的なシミュレーションをしてもらってください。弁護士に相談すれば「保険をどう扱うか」を含めた現実的な選択肢と費用を提示してくれます。
相談に行く前に、私が示したチェックリスト(保険証券、借入明細、家計表)を準備しておくと、話が早く進みます。必要なら相談時の質問例や資料の書き方もお手伝いしますので、お知らせください。
1. 自己破産と生命保険の基本知識:まずはここを押さえよう
自己破産とは何か?ざっくり言うと、支払い不能になった人が裁判所を通じて債務を免除してもらう手続きです。手続きには「同時廃止」や「管財事件」など種類があり、どちらになるかで保険の扱いが変わります。生命保険の「契約者」「被保険者」「受取人」の関係も必ず確認しましょう。契約者=あなたで、被保険者もあなた、受取人が配偶者や子どもなら、死亡保険金は原則として受取人に行きます。だが、問題は「解約返戻金(解約したときに戻るお金)」で、これは破産財団(債権者に分配される財産)に該当し得ます。保険の種類ごとに解説します。
- 定期保険(掛け捨て):一般に解約返戻金がないため、破産手続で換価されるリスクは低い。ただし、保険料の未払い等があると契約が失効するので注意。
- 終身保険・養老保険・学資保険など(貯蓄型):契約に解約返戻金があるため、破産管財人はこれを財産として扱う可能性が高い。特に解約返戻金が一定額以上ある場合は換価対象になりやすい。
- 変額保険や外貨建て商品:評価が複雑で、換価の可否や評価方法で争いになることがある。
実務上の注意点として、破産手続の開始日(破産申し立てをした日ではなく、裁判所が決定する日)で財産評価が行われる点、そして破産手続開始後に保険の名義を変更したり解約したりする行為は「財産隠し」と見なされるリスクがあるため厳禁です。私が法律相談を受けた経験でも、申立前にあわてて名義変更を行って問題になったケースを何件も見ています。専門家への相談は早めに行うのが得策です。
1-1 自己破産の流れと保険のチェックポイント
- 破産申立 → 管財人選任(管財事件)または同時廃止 → 財産調査 → 債権者集会 → 破産手続の終了(免責)
- チェックするもの:保険証券、契約開始日、契約者・被保険者・受取人、解約返戻金額の一覧(保険会社へ問い合わせる)、未払保険料の有無
1-2 「免責」と保険の関係
免責は借金の支払い義務を免除するもので、保険契約自体の効力には直接関係しません。ただし、免責によって債権者からの返済が不要になっても、破産財団になった財産(解約返戻金等)は債権者への配当に使われるため、免責が出ても保険の換価結果は変わりません。
(このセクションは実務的に押さえるべき基本を中心に、具体的に確認すべき書類や注意点を挙げました。保険商品の種類ごとの違いをまず理解するのがスタートです。)
2. 破産手続と生命保険の影響を詳しく解説:商品別に何が起きるか
ここでは「定期・終身・養老・変額」の主要4タイプに分け、自己破産の実務でどのように扱われるかを深掘りします。具体的な判断は管財人や裁判所の運用によりますが、一般的な実務感覚を示します。
2-1 定期保険(掛け捨て)の扱い
定期保険は解約返戻金がほぼゼロのため、破産手続上は財産になりにくいのが特徴です。被保険者が死亡した場合の保険金は受取人のものとなるため、生活保障として残せるケースが多いです。ただし、契約者が破産者で受取人が破産者本人になっていると状況が異なります。
2-2 終身保険・養老保険など貯蓄型の扱い(解約返戻金の影響)
終身・養老保険は解約返戻金があるため、破産管財人が換価を目指します。実務では「返戻金の相当額」を換価対象とし、保険会社から計算書を取り、一定の評価を行って売却または解約することが多いです。解約返戻金が少額であれば同時廃止になるケースもありますが、額が多いほど管財人が選任される可能性が高くなります。
2-3 契約者・被保険者・受取人の関係の法的意味
- 契約者=破産者、受取人=配偶者(第三者)の場合:死亡保険金は受取人の権利になりやすい。
- 契約者=破産者、受取人=破産者自身:死亡保険金は破産財団に属する可能性が高い。
- 名義が親族にされている場合:申立前に名義変更した直後だと「詐害行為(財産隠し)」として取り消されるリスクがある。
2-4 保険料の未払い・滞納がある場合
保険料を払えなければ契約が失効するか、保険会社が自動融資(保険会社による自動貸付)を設定している場合はその制度が働くことがあります。自己破産前後で未払いがあると、契約継続が難しくなる可能性があります。未払いの扱いは保険会社ごとに異なるため、早めに保険会社に状況確認をするのが重要です。
2-5 破産後の保険再契約(新規契約)の現実
破産を経験すると保険会社の引受条件に影響が出ることがあります。多くの保険会社は個々の与信情報を直接持っていませんが、健康状態や直近の告知事項、保険会社の内部規程に基づいて引受審査を行います。破産が直接的新契約の禁止になることは通常ありませんが、保険料の支払能力や既往歴などを見て加入可否が判断されます。結果的に、破産後に加入する場合は掛け捨て保険や保険料負担の軽い商品を選ぶ人が多いです。
(このセクションは商品別の扱いを中心に、実務的な流れと注意点をまとめました。次は実務で使える戦略を紹介します。)
3. 守るべき戦略と選択肢:賢く保険を整理する方法
自己破産にあたって保険をどう扱うかは「換価リスク」「家族の生活保障」「税・社会保障の影響」をバランスさせて考える必要があります。ここでは具体的な戦略と実行手順を示します。
3-1 返戻金がある場合の戦略
解約返戻金がある場合、次の選択肢が考えられます。
- 解約して換価に応じる:破産手続を早く進めたい場合や、返戻金で債務弁済がプラスに働く場合。
- 維持して保険料を支払い続ける:家族の保障を優先する判断。ただし破産管財人により換価対象とされる恐れあり。
- 保険乗換・減額:返戻金が少ない場合や支払負担が重い場合に、保険会社と相談して保険の種類変更や払い済みにする選択肢もあります(払い済みにすると保障は残り、保険料支払は停止)。
3-2 名義変更・契約者変更の実務とリスク
家族に名義変更して保険を「残す」方法は一見有効ですが、申立直前の名義変更は裁判所や管財人に「詐害行為」と判断され取り消されるリスクがあります。一般論として、以下の点に留意してください。
- 申立前の短期間での名義変更は危険。
- 長期間(数年)にわたる家族名義であれば事情が異なることもあるが、証拠(払い込みの実績、贈与の証拠など)を残すこと。
- 名義変更を検討する場合は、まず弁護士・司法書士に相談すること。
3-3 破産以外の選択肢(任意整理・個人再生)との比較
任意整理や個人再生は、自己破産よりも手続きで残せる財産が多い場合があります。特に貯蓄型の生命保険を残したい場合は、個人再生で住宅ローン特則を使ったり、任意整理で交渉する方が現実的なことがあります。とはいえ、債権者との交渉の結果次第なので、保険を残すことを最優先にするなら専門家と戦略を練るべきです。
3-4 専門家へ相談する手順と用意する資料
相談時に準備するとスムーズな資料一覧:
- 保険証券(契約書)
- 保険料の口座引落し明細
- 生命保険会社からの返戻金見積書(契約者ページで請求)
- 借入残高や債務の一覧
- マイナンバー等の本人確認書類
弁護士や司法書士に相談するときは、上の資料を揃えて「保険を残したい・生活保障を確保したい」など明確な希望を伝えましょう。私の経験上、準備が整っていると対応の幅が広がります。
3-5 実務的な手続きの流れ(例)
1. 保険会社へ返戻金見積もりを依頼
2. 弁護士と財産リストを作成
3. 破産申立(同時廃止か管財事件かで方針を決定)
4. 管財人との協議(換価の可否や払い済みの可否を確認)
5. 必要なら任意整理や個人再生の切替検討
(このセクションでは、現実的に取れる選択肢とリスク管理の方法を示しました。次はペルソナごとの具体例で実務に落とし込みます。)
4. ペルソナ別ケーススタディと実務的対応:自分の状況に当てはめて考える
ここからは、提示されたペルソナごとに実務的な対応案を示します。各ケースで何を優先し、どんな判断材料が必要かを具体的に示します。
4-1 ペルソナA(40代・会社員・住宅ローンあり)
現状:住宅ローンとカードローンで多額の債務、終身保険に解約返戻金あり。
対応案:
- 最初に保険の返戻金額を把握。返戻金が住宅ローンの担保に利用できないか(抵当権の有無を確認)。
- 解約するか維持するかは、「家族の生活保障」と「換価額」を比較。配偶者がいるなら受取人変更ではなく、弁護士と再建計画を作るのが現実的。
- 個人的経験:あるケースで私が関わったAさんは、返戻金を一部債務弁済に充てた上で、残債は個人再生で調整し、定期保険で最低限の保障を確保しました。
4-2 ペルソナB(専業主婦・家計保険管理)
現状:世帯主が破産申立予定。主婦自身は保険契約の名義・受取人の管理をしている。
対応案:
- 受取人が配偶者または子のどちらかを確認。受取人が第三者=家族であれば死亡保険金はその人に帰属する可能性が高い。
- 家計の補償を確保するため、掛け捨て保険や医療保険を検討。解約返戻金のある商品は換価対象となる点に注意。
- 実例:日本生命や第一生命のような大手では、払い済み(払込終了して保障を残す)制度があり、これを利用して保険料負担をゼロにしつつ保障を最低限確保したケースもあります(制度の詳細は契約会社に確認が必要)。
4-3 ペルソナC(自営業・資金繰りが厳しい)
現状:事業資金の代替として終身保険を解約検討。
対応案:
- 事業用資金と生活保障を明確に分け、解約返戻金の使い道を計画。税務面(解約による益金の発生)を税理士と確認すること。
- 破産手続に入れる前に任意整理や事業再生の選択肢も検討。
- 実務例:ある自営業者は終身保険を分割解約し、一部を生活費、残りを債務返済用に充当した上で、残った保障は払済保険に変更しました。
4-4 ペルソナD(20代・独身・貯蓄型保険加入)
現状:若年だが貯蓄性のある保険に加入。自己破産リスクが将来ある場合の対策を知りたい。
対応案:
- 長期の掛け捨て保険に切替え、貯蓄は別途預金や投資に分散することを検討。解約返戻金が少額であれば同時廃止に有利に働くことが多い。
- 破産後の再契約については、加入時の健康告知が重要。若年で健康なら割安な掛け捨てに加入し直す選択肢もある。
4-5 ペルソナE(高齢層・年金との関係)
現状:年金と併用する養老保険や終身保険を保有。高齢のため新規加入が難しい。
対応案:
- 解約返戻金が比較的小さいなら、生活保障優先で維持する方が賢明な場合が多い。年齢で新規契約が難しいため、既存契約を手放す判断は慎重に。
- 高齢者は保険金の受取人指定(例えば配偶者)を確認し、遺族保障が保たれるかをチェックする。
(各ペルソナに共通する点)
- まず保険証券を確認し、解約返戻金見積もりを取り、弁護士または司法書士に相談する。
- 名義変更は軽率に行わない(詐害行為とされるリスク)。
- 保険会社によっては「払い済み」「低解約返戻金型」などの選択肢があり、契約内容を柔軟に変更できることがある。
5. よくある質問(FAQ):実務でよく出る疑問に端的に回答
Q1:自己破産すると生命保険は全部取られますか?
A:全部取られるわけではありません。定期保険のように解約返戻金がない契約や、受取人が第三者に指定されている契約は取り上げられにくい。一方で、終身保険などの解約返戻金は破産財団に組み入れられる可能性が高いです。
Q2:破産申立前に家族に名義変更すれば保険を守れますか?
A:短期間での名義変更は「詐害行為」と見なされ取り消されることがあるため危険です。名義変更を検討する場合は必ず専門家に相談してください。
Q3:保険会社は破産を理由に保険金を支払わないことがありますか?
A:通常、死亡保険金の支払いは保険契約に基づく債務であり、契約に問題がない限り支払われます。ただし、受取人名義や契約内容によっては争いが生じることがあります。
Q4:破産後に保険に入り直せますか?
A:はい、可能ですが健康状態や保険会社の引受基準により審査されます。掛け捨てタイプの方が加入しやすいことが多いです。
Q5:解約返戻金を利用して債務弁済すると不利になりますか?
A:返戻金を弁済に使うと一部債務が処理されますが、手続や税務上の影響を専門家と確認する必要があります。換価後の配当率や免責の見通しを考えて判断しましょう。
(FAQは一般論をまとめたもので、個別ケースでは異なる判断になることが多いため、詳細は専門家へ。)
6. 体験談と実務で見た落とし穴
私(筆者)は法律事務所で破産関連の相談に関わった経験があります。実際に見た落とし穴をいくつか紹介します。
- 事例A:申立直前に「子ども名義に変更した保険」をめぐり、管財人が名義変更を取り消し、結局保険は換価されてしまった。本人は「家族のために残したつもり」だったが、時期と手続きが問題になったケースです。
- 事例B:解約返戻金を過小評価して同時廃止を見込んだが、保険会社の見積もりで想定外の高額が判明し、結局管財人が選任されたケース。事前に保険会社で正確な見積もりを取ることの重要性を痛感しました。
- 学び:破産は感情的になりやすい局面です。保険は家族の安心に直結するため、感情で急ぎすぎることなく、事実(契約書・返戻金額)を揃えて専門家と戦略を立てることが一番の近道でした。
7. 実務チェックリスト:破産前にやるべきこと(ステップ形式)
1. 保険証券・契約書を用意する(全ての保険会社の分)
2. 保険会社へ返戻金見積もりを依頼する(書面で)
3. 契約者・被保険者・受取人の関係を整理する(家族で共有)
4. 未払保険料や解約手数料を確認する
5. 弁護士・司法書士に相談し、破産以外の選択肢(任意整理・個人再生)を検討する
6. 名義変更は専門家の指示がない限り行わない
7. 破産後の生活再建プラン(家計の見直し、社会保険・年金の確認)を作成する
このチェックリストを手元に置いておけば、慌てて間違った判断をするリスクを減らせます。
8. 保険会社ごとの配慮例(制度の違いと対応のヒント)
保険会社によって「払い済み」「低解約返戻金型」などの商品の取扱いや内部手続きが異なります。実名で言うと、日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命などの大手は保険契約に関する変更や解約の手続きが比較的整っており、返戻金の見積もりや制度説明は契約者サービスで受けられます。一方、外資系や新興会社では商品の仕組みが異なるため、必ず契約会社に直接問い合わせを。重要なのは「書面での見積もり」を受け取っておくことです。
(注:各社の具体的な対応は随時変わります。契約中の会社に必ず確認してください。)
9. まとめ:まずは情報を揃えて、早めに専門家に相談しよう
自己破産と生命保険の関係は単純ではありません。ポイントは次の通りです。
- 保険の種類(掛け捨てか貯蓄性か)で扱いが大きく変わる。
- 解約返戻金は破産財団に組み入れられるリスクが高い。
自己破産 官報 いつ|公告が載るタイミングと影響をわかりやすく徹底解説
- 受取人が第三者であっても、名義変更の時期や事情によっては争いになる。
- 名義変更や解約の前に、必ず保険会社の見積もりを取り、弁護士等に相談する。
- 破産後も保険に加入する選択肢はあるが審査条件に注意。
最後に一言。保険は「万が一」に備える大切な商品です。焦って間違った手を打つと、家族の生活保障が失われたり、手続きが複雑になったりします。まずは保険証券と返戻金の見積もりを取り、可能なら専門家(弁護士・司法書士・税理士)に早めに相談してください。相談の際には本記事のチェックリストを渡すと効率的です。
(本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断や税務判断については弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。)