この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読めば、「個人再生(個人民事再生)を会社代表者が利用できるのか」「どんな影響が出るのか」「手続きや必要書類、費用はどれくらいか」「住宅ローン特例は使えるか」といった疑問に具体的に答えられます。結論を先に言うと、会社代表者でも一定条件を満たせば個人再生は利用可能で、事業継続を目指しながら債務を大幅に圧縮できるケースが多いです。ただし、個人保証や会社との資産関係、信用情報・許認可への影響など、事前に押さえるべきポイントが多くあります。この記事では手続きの全体像、減額の仕組み、住宅ローン特例の条件、費用や弁護士選びまで、実務的に役立つ情報を整理しました。私自身が中小企業の代表者から相談を受けた経験や、実務で見てきた失敗例・成功例も交えて解説します。
個人再生と「会社代表者」──まず何をすべきか、最適な選択肢と費用イメージ
会社の代表者や個人事業主が個人として多額の債務(特に個人保証)を抱えたとき、私財を守りつつ事業継続を図るための選択肢は複数あります。本記事では、会社代表者にとって「個人再生」がどう役立つのか、他の債務整理との違い、費用の目安や簡単なシミュレーション、そして「まず弁護士の無料相談を受けるべき理由」と進め方まで、わかりやすく解説します。
※以下は一般的な説明と仮の数値例です。最終的な判断・具体的な金額は案件ごとに変わるため、無料相談を受けて正確に見積もってください。
1) 会社代表者がまず気にするポイント(チェックリスト)
- 会社の借入が「法人債務」か「代表者個人の債務(個人保証)」かを把握する
- 個人保証がある場合、代表者の個人財産に責任が及ぶ可能性が高い
- 住宅ローン(自宅)を手放したくないかどうか(個人再生は自宅を維持しやすい選択肢)
- 税金・罰金・養育費など、整理対象にならない/制限される債務がないか確認
- 事業継続の意思と見込み(再建後に収入が確保できるか)
まずは上の点を整理して、弁護士に相談することをおすすめします。
2) 主な債務整理の選択肢(会社代表者向けの違い)
- 任意整理
- 内容:弁護士が債権者と交渉し利息カットや返済期間延長を図る。裁判所を通さない。
- メリット:手続きが柔軟で家や財産を残しやすい。費用が比較的低め。
- デメリット:債権者の同意が必要で、返済総額が大幅に減るとは限らない。連帯保証の問題は残る場合がある。
- 会社代表者向け:個人保証がある場合は一定の効果あり。会社と個人の両方を同時に整理する必要があるケースもある。
- 個人再生(本題)
- 内容:裁判所の手続きで債務を圧縮し、原則3年(事情により5年まで延長可)で分割弁済する制度。住宅ローン特則を使えば住宅を残せる可能性がある。
- メリット:大幅減額が見込める(ケースにより)。住宅を残しやすい。破産ほど財産を失わない。
- デメリット:手続きはやや複雑で弁護士の支援がほぼ必須。一定の信用情報への影響や社会的な影響あり。
- 会社代表者向け:個人保証が大きい場合に有効。会社の債務そのものは別の手続きになるが、代表者個人の負担を軽くできれば事業継続の余地が生まれる。
- 自己破産(免責)
- 内容:裁判所によって免責許可が出れば、多くの債務が免除される。
- メリット:債務が原則ゼロになる可能性。
- デメリット:財産の換価がされる、一定の職業制限や社会的影響(信用・取引関係)あり。代表者としての関係にも影響が出ることがある。
- 会社代表者向け:会社の経営継続や社会的信用を重視する場合、慎重に検討が必要。
3) 個人再生の「よくある誤解」と注意点
- 「会社の借金は個人再生で全部消える」わけではない:法人債務は法人の責任、代表者が個人保証している場合のみ個人再生で整理可能です。
- 「税金や罰金が全部整理できる」わけでもない:税金や罰金、養育費等は扱いが制限される場合があるため要確認。
- 「手続きで即座に借金請求が止まる」わけではない:弁護士が介入すれば督促は止まりやすいが、詳細な対応は専門家に相談を。
4) 費用の目安(弁護士費用・その他)※目安としてご覧ください
実際の費用は弁護士事務所や事案の難易度でかなり変わります。以下は一般的な目安です。
- 初回相談:無料~1万円程度(多くの事務所は初回無料相談を設けています)
- 着手金(個人再生):20万円~50万円程度(事務所によって上下)
- 成功報酬(再生計画認可など):10万円~30万円程度(減額率や債権者数で変動)
- 裁判所・実費(書類作成費、郵券、官報掲載など):数万円~十数万円
- 合計の目安:30万円~80万円程度が多いが、複雑なケース(債権者多数、会社関連の複雑な保証関係など)はこれを上回ることがある
重要:費用は「事前に書面で見積もりをもらう」こと。成功報酬の取り決め、返金規定なども確認してください。
5) 簡単なシミュレーション(イメージ)
下は「個人再生で債務がどれくらいになるかイメージする」ためのサンプルです。実際の再生計画の減額率は裁判所の判断や債権者の構成、資産状況で変わります。ここでは「減額後に残る割合」を仮定して計算しています。
仮定:弁護士費用合計を40万円、返済期間は3年(36回)と想定。
ケースA(中程度の債務:総額500万円)
- 減額後残債を40%と仮定 → 残債200万円
- 月額返済(200万円÷36) ≒ 55,600円
- 合計支払(弁護士費用含む) ≒ 200万円 + 40万円 = 240万円
ケースB(多額の債務:総額1,500万円)
- 減額後残債を30%と仮定 → 残債450万円
- 月額返済(450万円÷36) ≒ 125,000円
- 合計支払(弁護士費用含む) ≒ 450万円 + 40万円 = 490万円
ケースC(超多額:総額3,000万円)
- 減額後残債を25%と仮定 → 残債750万円
- 月額返済(750万円÷36) ≒ 208,300円
- 合計支払(弁護士費用含む) ≒ 750万円 + 40万円 = 790万円
解説:
- 上の数値は「減額後の残債割合」を仮定したイメージです。実際には資産評価や最低弁済額ルールなどが絡みます。
- 支払期間を5年に延ばせるケースもあり、その場合は月額負担は下がりますが総支払は変わることがあります。
- 代表者が事業からの収入をどの程度見込めるかで可否や返済計画が変わります。
6) 弁護士無料相談をおすすめする理由(会社代表者なら特に)
- 個人と会社の債務関係(個人保証・法人債務の切り分け)が複雑になりやすい
- 自宅や事業資産の取り扱い、税金の扱いなど専門判断が必要
- 債権者ごとの交渉や手続きの取り回し(会社の取引先対応など)に経験が重要
- 最悪の選択(例:自己破産)を避け、事業継続を図るための最適案を設計できる
多くの法律事務所は初回相談を無料で行っているため、複数の弁護士に相談して比較検討することを強くおすすめします。
7) 弁護士の選び方(代表者として迷わないためのポイント)
- 個人再生・破産・会社関連の案件経験が豊富か
- 「会社代表者の事例」を扱った実績や成功事例(事案の類似度)を確認する
- 費用体系が明瞭か(着手金・報酬・実費の説明があるか)
- 対応の早さとコミュニケーション(将来の手続き中の連絡方法)
- 裁判所手続や税金対応など、外部専門家(税理士等)との連携ができるか
- 初回相談で具体的なアクション(必要資料・想定スケジュール)を示してくれるか
面談時に「会社の代表であること」を必ず伝え、会社側と個人側の資料を両方用意して見せましょう。
8) 無料相談に行く前に用意しておくべき書類(簡易リスト)
- 債務一覧(借入先、残高、利率、返済状況、個人保証の有無)
- 借入契約書や保証契約(あれば)
- 会社の直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)や試算表
- 給与明細・確定申告書(個人の収入が確認できるもの)
- 住宅ローン契約書(自宅がある場合)
- 税金滞納や差押えの有無が分かる書類
- 預貯金通帳のコピー、クレジット明細など
事前にこれらを整理して持参すれば、相談の精度が上がり方針決定が早まります。
9) 実務的な進め方(申し込みから着手までの流れ・概略)
1. 無料相談の予約(複数事務所を比較)
2. 書類を持って面談、方針(任意整理・個人再生・破産)を決定
3. 依頼契約(着手金支払いがある場合あり)
4. 弁護士が受任通知(債権者への督促停止や交渉開始)
5. 必要書類の準備と裁判所への申立て(個人再生の場合)
6. 再生計画の作成・認可、あるいは和解・免責の成立
7. 再生計画に基づく返済開始・手続き完了
※事案により順序や内容は変わります。代表者として会社対応が必要なときは、弁護士が会社側の弁護士や税理士と連携します。
10) FAQ(代表者がよく気にする質問)
Q1:会社を続けられますか?
A:ケースバイケースです。個人再生で個人債務が整理できれば、代表者の負担が軽くなり会社存続の余地が生まれます。ただし取引先の信用回復や資金繰りの改善策は別途必要です。弁護士と事業計画も合わせて相談してください。
Q2:自宅は守れますか?
A:個人再生は「住宅ローン特則」を使えば自宅を残しやすい制度です。ただし資産状況やローン条件によるため、事前に確認が必要です。
Q3:信用情報や役員就任に制限は?
A:債務整理は信用情報に影響します。破産手続等では一定の制限が生じることがあるため、代表権や役員就任の可否は弁護士に相談してください。
最後に(行動プラン)
1. まずは無料相談を1~2件受け、弁護士の方針と見積もりを比較してください。
2. 相談時は上の書類リストを持参すると具体案が出やすいです。
3. 代表者としての今後の事業プランや資金繰りの見通しも合わせて整理し、弁護士に伝えてください。
債務の整理は経営と生活に直結する重大な判断です。事実関係と書類を揃えて、専門家と早めに相談することが、最も確実で負担を小さくする近道です。無料相談を活用して、まず今の状況を正確に把握しましょう。
1. 個人再生とは何か? 会社代表者が関係するケースの全体像
個人再生(個人民事再生)は、裁判所を通じて債務の一部を減額し、原則3~5年で分割返済する手続きです。破産と違い、原則として資格制限が少なく「住宅ローン特則」を使えば家を手放さずに債務整理できる点が大きな特徴。会社代表者が個人再生を考える場面は主に次のようなケースです。
- 会社の借入に個人で連帯保証している(個人保証がある)
- 役員報酬で個人的な借入を返済しているため、個人収支が逼迫している
- 事業資金を個人で借りており、私生活も含めて負債が膨らんでいる
1-1. 個人再生の基本的仕組みと目的
目的は「生活の立て直し」と「再建」です。債務の総額を法的に訂正して、到底返せない額を裁判所の認可のもと現実的な返済計画に変えます。会社代表者の場合、個人の借金(カードローン、事業に関する個人保証、住宅ローンなど)が対象です。法人債務は基本的に個人再生の対象外ですが、代表者が個人保証している債務は個人の債務として処理されます。
1-2. 会社代表者が対象となる具体例
具体例としては、取引先からの支払い遅延で法人資金繰りが悪化し、代表者が個人で借入を重ねたケース、銀行からの事業融資に代表者が個人保証をしているケース、さらに生活費や住宅ローンが重なって個人のキャッシュフローが破綻しているケースがあります。代表者の個人資産と法人資産が混同されやすいので、早めの整理が重要です。
1-3. 個人資産と事業資産の扱いの境界線
重要なのは資産の「名義」と「実質」。名義が法人であっても代表者が個人的に使っている資産や、法人資金で購入したが個人が所有しているとみなされるものは裁判所で争点になります。登記や会計処理を適切にしておけば明確化できますが、曖昧だと裁判所の調査や債権者の反論を招きます。
1-4. 法人と個人の債務の分離・責任のポイント
原則として法人の債務は法人の責任。代表者が個人保証している債務のみ個人再生の対象です。したがって、代表者として「連帯保証を外す交渉」や「保証債務の明確化」は申立て前にやっておくと手続きがスムーズになります。
1-5. 代表者が知っておくべき適用条件(所得・資産・債務の要件)
個人再生は、一定の収入見込み(返済可能性)と、申立て時に裁判所が「再生計画の実行が現実的」と認めることが要件です。債務の種類や金額、手続きの形式(小規模個人再生/給与所得者等再生)によって細かな要件が変わるため、自分の立場に近い類型を確認してください。
1-6. 代表者が申立てを検討する前の重要チェックリスト
- 個人保証の有無とその金額を一覧化する
- 法人と個人の資産(不動産、預金、車両)を名義別に整理する
- 家族の収入・住宅ローン残高・生活費を把握する
- 主要債権者(金融機関・取引先)の一覧を作る
- 許認可や信用情報に対する影響を想定する
1-7. よくある誤解と正しい理解
誤解例:会社代表者は個人再生ができない → 正しくは「法人債務そのものは対象外だが、代表者が個人保証している債務は対象」。誤解例:個人再生をすると会社は倒産する → 正しくは「代表者の個人再生自体が直ちに会社倒産を意味するわけではないが、個人保証の扱いや取引先の信用問題で影響が出る可能性がある」。このへんはケースバイケースです。
2. 手続きの全体像と実際の流れ(申立てから認可まで)
ここでは「いつ何をするか」を順を追って説明します。会社代表者は事業継続と私生活のバランスを取りながら進める必要があります。
2-1. 申し立て準備のステップと優先順位
まずは債権・債務と資産の棚卸しです。次に、裁判所に提出する書類(債権者一覧、収支表、資産目録、給与明細、確定申告書など)を揃えます。優先順位としては(1)個人保証の特定(誰が何を保証しているか)、(2)住宅ローンの有無・残高、(3)家計収支の把握、(4)弁護士・司法書士等専門家への相談、が重要です。
2-2. 裁判所の選択と申立の基本的手順
申立ては原則として申立人の住所地を管轄する地方裁判所に行います。申立書類を裁判所に提出し、受理されると手続きが開始します。申立て後、再生委員や債権者集会が設定され、再生計画案の作成・提出へ進みます。
2-3. 必要書類の網羅的リストと揃え方
主要書類は以下(代表例)です。
- 債権者一覧(債権者名、住所、債権額、保証の有無)
- 収支表(直近数か月~1年分の給与明細、口座履歴)
- 確定申告書(個人事業の場合)
- 不動産登記簿謄本、車検証など資産証明
- 借入契約書、残高証明
- 住民票、戸籍謄本など身分関係書類
集め方のコツは「最初に銀行残高や借入残高を金融機関で取り寄せる」こと。金融機関は残高証明書を出してくれます。
2-4. 再生計画案の作成ポイントと認可までの流れ
再生計画案は「どのくらいの額を、どの期間で支払うのか」を明確にする文書です。裁判所はこの案が合理的で支払可能と判断すれば認可します。代表者は事業継続に必要な運転資金を確保しつつ、家計の再建計画を立てます。債権者の多数が反対した場合は認可されないリスクもありますが、小規模個人再生では一定の債権者の合意により認可されやすくなります。
2-5. 債権者集会の役割と準備事項
債権者集会では債権者が再生計画案に賛成するか反対するかを決めます。代表者は出席して説明するか、代理人で弁護士に任せるケースが多いです。事前に主要債権者との交渉(個人保証の扱いや担保設定の確認)をしておくと集会での混乱を避けられます。
2-6. 返済計画の実行開始後の生活設計
認可された計画に従い返済がスタートします。返済期間中は計画通りの生活費設定、家計の厳格な管理が必要です。代表者は法人の資金繰りと個人の返済を混同しないよう、別口座管理や支出ルールを設定することをおすすめします。
2-7. 申立て後に注意すべき法的・生活的リスク
- 信用情報(CIC、JICC、全国銀行協会の情報等)に事故情報が載る
- 取引先や金融機関の信用が低下する可能性
- 許認可や入札資格などに影響が出る場合がある
- 家族や共同経営者との関係悪化
これらは事前の準備と透明なコミュニケーションである程度緩和できます。
3. 減額の仕組みと住宅ローン特例の条件
ここでは「どのくらい減るのか」「住宅は守れるのか」を具体的にみていきます。
3-1. 減額がどう決まるのか(計算の考え方と原則)
個人再生での弁済総額は、裁判所が「破産した場合の配当相当額」「申立人の最低弁済額」「可処分所得に基づく額」などを比較して決めます。小規模個人再生と給与所得者等再生でルールが異なりますが、共通して言えるのは「裁判所が実現可能性を重視する」点です。具体的な算出方法は債務総額や資産、収入により大きく変わります。
3-2. 住宅ローン特例の適用条件と受けられる恩恵
住宅ローン特則(住宅資金等に関する特則)を使うと、住宅ローン部分は再生計画の対象から除外して、引き続きローンを支払いながら他の借金を圧縮できます。条件には「住宅に居住していること」「ローンが住宅に抵当権として設定されていること」などがあり、適用を受けるには裁判所への明確な申出と計画書での処理が必要です。特則を使えば自宅を手放さず債務整理できる可能性が高くなります。
3-3. 減額幅の目安とケース別の実例のイメージ
ケース別イメージ(事例は一般的な例示です)
- 例1:個人保証が中心で総債務1,000万円 → 再生計画で300~600万円程度の弁済に落ち着くケースあり(債権者構成・可処分所得に依存)
- 例2:住宅ローン2000万円+消費者金融300万円 → 住宅ローンは据え置く一方、消費者金融の300万円が一部免除され、100~150万円程度の弁済でまとまることがある
具体的な減額幅は裁判所や再生委員、専門家の審査で決まるため、あくまで目安です。
3-4. 利息の取り扱いと過払いの可能性
個人再生では原則として利息も含めた債権額をベースに処理しますが、裁判所の計算で利息分が免除されることもあります。また、過去の取引で利息制限法を超えた高金利が適用されていた場合、過払い金が発生し債務減少につながるケースもあります。過払いの可能性は専門家に調査してもらう価値があります。
3-5. 普通再生 vs 小規模再生の違いと選択基準
- 小規模個人再生:債権者の同意を前提に、柔軟に減額が見込める。債権者多数でも一定の条件で成立する。
- 給与所得者等再生(いわゆる普通再生に近い類型):給与や年金など定期的収入がある人向け。可処分所得に基づいて計算されることが多い。
選択は債権構成や収入の安定性、債権者の種類によって変わります。代表者の場合は事業収入と給与所得の区別が鍵です。
3-6. 代表者の生活設計への影響と長期的視点
再生終了後も信用回復には時間がかかりますが、事業を継続しつつ個人負担を軽くできれば、中長期的には経営再建につながります。住宅ローンを守って家族の生活基盤を維持できる点は大きなメリットです。一方で、短期的な資金不足や取引先の信用問題は想定しておく必要があります。
4. 代表者が直面するリスクと影響
個人再生はメリットが大きい反面、代表者特有のリスクもあります。ここで整理しておきましょう。
4-1. 個人の信用情報への影響と回復の道
個人再生の記録は信用情報に登録され、カードローンや新たな借入、住宅ローン審査などに影響します。登録期間は情報機関によりますが、概ね数年単位で残ります。回復するには、再生計画を完遂してから継続してクリーンな履歴を作ることが重要です。
4-2. 会社との関係性・保証責任の変化
代表者が個人保証していた場合、個人再生でその責任が変わると、債権者は法人に対して別途請求を検討する可能性があります。つまり「個人の債務だけ減って法人は無傷」ということは必ずしも起きず、法人の資金繰りにも波及することがあります。
4-3. 職業上の制限・許認可・資格への影響
業種によっては個人再生や破産が許認可に影響する場合があります(建設業の入札資格や一部の士業等)。事前に所管の行政窓口や業界団体、弁護士に確認しましょう。
4-4. 事業継続の可否と再建の選択肢
個人再生を選ぶことで個人負担は軽減されますが、事業再建が前提です。事業継続が見込めない場合は法人破産や事業譲渡を含む別の選択肢を検討する必要があります。私が相談を受けたケースでは、個人再生で代表者の負担が下がり、事業再建に成功した例もあれば、法人側の再生・M&Aで身軽になる方針が有効だった例もあります。
4-5. 家族・配偶者への影響とコミュニケーションのコツ
住宅ローンが関与している場合、配偶者や家族にも影響が及ぶことがあります。家族に事前に状況を共有し、住宅ローンや生活設計の方針を一緒に決めると、手続きもうまく進みます。透明性が大事です。
4-6. 裁判所判断の長期的な影響と注意点
裁判所は再生計画の公平性・実現性を重視します。過去の経理不備や資産隠匿があれば厳しい判断が下ることもあるため、申立て前に資料を整理し、専門家と正直に事実を共有することが肝要です。
5. 費用と期間、専門家の活用法
個人再生は手続き自体にコストと時間がかかります。ここでは費用感とプロをどう選ぶかを説明します。
5-1. 費用の内訳(着手金・報酬・実費)の目安
典型的な費用内訳(目安、実際は事務所ごとに差あり)
- 弁護士着手金:10~30万円程度
- 成功報酬(免除分・減額分に応じた報酬):減額分の一定割合や一律の報酬で30~50万円程度
- 裁判所実費(予納金等):数万円~十数万円
- 登記・書類取得費用:数千円~数万円
合計で通常は数十万円~百万円程度の範囲に収まることが多いですが、案件の複雑さで増減します。司法書士でも扱える範囲はありますが、債権額や手続きの難易度により弁護士の利用が望まれる場合があります。
5-2. 手続きにかかる期間の目安と遅延リスク
申立てから再生計画認可までの平均的な期間は数か月から1年程度。特に債権者の調整や書類不備、資産調査の結果によっては延びることがあります。私の経験上、書類を最初にきちんと揃えるかどうかで2~3か月の差が出ることが多いので準備は重要です。
5-3. 弁護士と司法書士の役割の違いと選び方
- 弁護士:法的な交渉、債権者対応、訴訟的局面に強い。複雑な案件や債権者との交渉が多い場合は弁護士推奨。
- 司法書士:書類作成や簡易な手続きで対応可能。債権額の上限など一定の制限があるため、案件内容に応じて判断する。
選び方は「似た案件の経験があるか」「着手金・報酬の明確さ」「担当者と相性が良いか」を基準にするとよいです。各地の弁護士会や日本司法書士会連合会の窓口で紹介を受けられます。
5-4. 公的支援機関の活用例(法テラスなど)
法テラス(日本司法支援センター)は収入や資産が一定以下の場合に法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できることがあります。最初の無料相談や相談料補助、窓口での案内は有効な手段です。各地の弁護士会や司法書士会の無料相談日も活用できます。
5-5. 無料相談の利用方法と準備リスト
無料相談を有効活用するには、事前準備が肝心。用意すべきものは以下が基本です。
- 借入一覧(金融機関名・残高・契約日)
- 収入証明(給与明細、確定申告書)
- 不動産・車両の権利証、登記簿謄本
- 代表者の身分証明書、住民票
相談では「目的(事業継続か清算か)」「早めに知りたいリスク」を明確に伝えましょう。
5-6. 手続き中の資金管理・家計のコツ
申立て準備中・手続き中はキャッシュが難しい局面が多いので、以下を意識してください。
- 個人と法人の口座・カードを明確に分ける
- 不要な出費の停止(購読・高額なサブスクリプション等)
- 家族で月次の生活費目標を決める
- 返済開始後の家計管理表を作る(エクセルで十分)
私はクライアントに「まず1ヶ月の最低生活費を把握して、それ以内でやれるやりくり表」を作ることを勧めています。これが再建の第一歩になります。
6. 実例ケーススタディとよくある質問
実際のケースを通じて、代表者にとってイメージしやすい形で解説します。事例は公開情報や一般的な類型に基づく想定ケースです(個別の法的助言ではありません)。
6-1. 40代・中小企業代表の実例と学ぶべきポイント
事例A(想定):製造業代表・個人保証で総負債1,200万円。住宅ローンあり。収入は安定。対応:弁護士と相談のうえ小規模個人再生申立てを行い、住宅ローン特則を適用。再生計画で消費者金融・銀行の個人保証分を圧縮し、弁済総額を約40~60%に削減。学ぶべきポイントは「早期相談」「保証関係の整理」「住宅ローンを守る方針の明確化」。
6-2. 50代・家族経営の代表の実例と判断材料
事例B(想定):家族経営で役員報酬が低下、法人借入は法人で抱え、代表者は事業資金を複数の消費者金融で補填。対応:収入の見込みを示し給与所得者等再生を選択。結果的に負債は圧縮されたが、法人側との資金関係を整理するために事業再構築(取引先の見直し、経費削減)も併せて実施。判断材料は「事業の将来性」と「家族の合意」。
6-3. 減額幅の具体例とシミュレーションの使い方
減額シミュレーションは「債務総額」「住宅ローンの有無」「年収」「保有資産」を入力して概算を出すツールが有用です。シミュレーションで出た数値はあくまで概算で、最終決定は裁判所と再生委員の判断になりますが、事前に目標(例:3年で完済可能な弁済額)を持つことが重要です。
6-4. リスク回避のための事前対策と準備
- 債務の一覧化を早めに行う
- 会社の会計・資金管理を整理する
- 家族と事前に共有し方針を決める
- 弁護士・司法書士と複数相談して費用感と進め方を比較する
私が支援したクライアントでは、債権者との事前交渉(個人保証の範囲を明確にする)をしっかりやったことで、債権者集会がスムーズに終わった例がありました。
6-5. よくある質問とその回答(Q&A形式)
Q1:会社の借金(法人債務)は個人再生で処理できますか?
A1:原則としてできません。ただし代表者が個人保証している債務は個人再生の対象になります。法人債務は法人の手続き(会社更生、民事再生、破産等)が別に必要です。
Q2:住宅ローン特則は誰でも使えますか?
A2:居住している住宅で抵当権が設定されていること等、一定条件が必要です。裁判所の判断も入るため、専門家に確認してください。
Q3:個人再生中に会社が倒産したらどうなりますか?
A3:会社倒産が個人再生の認可後に起きると、収入見込みや今後の返済計画に影響が出るため、再生計画の履行が困難になる可能性があります。早めに専門家に相談のうえ対応を検討する必要があります。
Q4:手続きにかかる費用が心配です。法テラスは使えますか?
A4:法テラス(日本司法支援センター)では、収入要件を満たす場合に無料相談や弁護士費用の立替制度が利用できることがあります。まずは窓口で相談してみましょう。
6-6. まとめと次の一歩の設計
ここまで読んで分かることは、「個人再生は会社代表者にとって強力な再建ツールだが、事業と個人の境界、保証関係、信用への影響など複雑な論点が多い」ということです。まずは次の一歩として以下をおすすめします。
1. 債務と資産の棚卸し(一覧化)
2. 簡易シミュレーションで減額見込みを把握
3. 法テラスや弁護士会・司法書士会の相談日で無料相談を受ける
4. 主要債権者との関係性を整理する(保証の有無を確認)
5. 弁護士や司法書士に複数相談して費用・戦略を比較する
この記事は一般的な解説にとどまります。個別のケースで最適な方針を決めるには、必ず弁護士または司法書士等の専門家に相談してください。
まとめ
- 会社代表者でも個人再生は利用可能だが、法人と個人の債務区分、個人保証の有無が鍵。
- 住宅ローン特則を活用すれば自宅を守りながら他の債務を圧縮できる可能性がある。
- 手続きには書類準備、債権者集会、再生計画作成など時間と費用が必要。弁護士・司法書士の活用が有効。
- 事前準備(債務一覧の作成、資産の名義整理、家族との共有)が成功のポイント。
個人再生 申立 必要書類を完全ガイド|申立の流れ・必須書類と準備のコツ
- 最終的な判断は裁判所と専門家の助言に基づくため、早めの相談を。
出典・参考(この記事の記載内容は各種公的機関・専門家の公開情報に基づき構成しています。個別の法的助言は行っていません。)
- 裁判所(各地の家庭裁判所・地方裁判所が提供する個人再生に関する解説ページ)
- 法テラス(日本司法支援センター)相談案内・費用立替制度に関する情報
- 日本司法書士会連合会/各地の弁護士会の相談窓口案内
- 民事再生法に関する解説(法令・判例等の一般的解説資料)
(注)具体的な金額・算式・要件の細部は法令改正や裁判所運用により変わることがあります。最新の判断や個別対応については弁護士または司法書士にご相談ください。